開催レポート「withコロナ時代を支える社会貢献セミナー」2021 (11/30開催)

2021年11月30日、オンラインにて「withコロナ時代を支える社会貢献セミナー」2021を開催しました。
コロナ禍において顕在化した社会課題のなかでも、特に「社会的孤立」の問題がより深刻化し多世代へ増幅する中、「誰一人取り残さない」地域共生社会の実現のために、企業、活動団体、助成団体、それぞれの立場から、今必要とされる社会貢献活動について共に考えました。オンラインを通じて、企業の社会貢献担当者や中間支援団体、NPO等活動団体の皆さん、約200名が参加されました。(開催レポートPDF版はこちら
プログラムと概要は下記の通りです。(参照:開催要項登壇者プロフィー

2022年1月中旬には、アーカイブ録画を公開予定です。(公開時には、新着情報やSNSでお知らせします)。

開催日時 2021年11月30日(火)14:00〜16:30( Zoomウェビナーにより開催)

◆プログラム
1.主催者挨拶(社会福祉法人中央共同募金会 副会長 古都賢一)

2.基調講演(25分) 
【テーマ】withコロナ時代の新たな社会的孤立と地域共生
講師】原田正樹氏(日本福祉大学 社会福祉学部教授)

 パンデミックは、全ての国民に対して長期的に降りかかってきた「災害」といえます。従来の血縁・社縁・地縁に頼れなくなった社会へ、コロナ禍による急激な生活の変化が襲い、失業やDV等が増加して生活困窮が多くの業種・年齢層に広がり、人々を社会的孤立に陥らせています。特に、ひとり親家庭、若者、女性、外国人等に支援が届きにくい状況です。

社会や家族・集団からの孤立は、自己尊厳の喪失となり、それが社会的排除を引き起こして更に孤立する「負の連鎖」を断たねばなりません。
「感染防止か経済活動かの二者択一ではなく、社会の分断を防ぐために『つながりの再構築』が必要」です。
感染防止対策を行いながら、ボランティア活動を再開したり、オンラインで人々が交流し合ったり、それらwithコロナ時代の「つながりづくり」を後押しする動きが、地域で新たに起こっています。支え手と受け手に分かれるのではなく、全ての人が「社会的役割」を持ち、自分らしく活躍できる地域コミュニティづくりのために、公的保証をしっかり行うことと、民間同士の連携、共助=市民社会の創出が重要です。

3.助成事業に見るコロナ禍での社会課題と緊急支援活動(報告)(15分)
「赤い羽根 新型コロナ感染下の福祉活動応援全国キャンペーン」第2弾(中間報告)
 
いのちをつなぐ支援活動を応援!~支える人を支えよう!~
【報告】社会福祉法人中央共同募金会 基金事業部長 秋貞由美子
赤い羽根の共同募金会では、コロナ禍においても「人と人とのつながりを絶やさない」ことを念頭に、地域の福祉活動を途切れなく支援してきました。
まず、他に先がけ昨年3月から「臨時休校中の子どもや保護者を支えよう」と緊急支援の募金&助成プログラムを立ち上げ、昨年5月からは「赤い羽根 新型コロナ感染下の福祉活動応援全国キャンペーン」へ規模を拡大し、子どもや家族の支援、フードバンク支援、居場所を失くした人への支援、草の根活動支援の4つのプログラムを実施。2020年度はのべ3,422団体へ総額8億円以上の助成を決定し、現在は同キャンペーン第2弾として「いのちをつなぐ支援活動を応援!」をテーマに募金&助成を継続中です。
助成事業報告サイトこちら

4.パネル・ディスカッション(事例報告、質疑応答含む)(1時間40分)
テーマ】「withコロナの時代を支える社会貢献について」
【コーディネーター】金田晃一氏(株式会社NTTデータ 総務部 サステナビリティ担当 シニア・スペシャリスト)
【コメンテーター】原田正樹氏(日本福祉大学 社会福祉学部教授)
【パネリスト】(ご登壇順)
・荒井佑介氏(NPO法人サンカクシャ 代表理事)若者の居場所や就労を支援
・和田京子氏(NPO法人伊賀の伝丸 代表理事)
外国ルーツの人たちを支援
・世良和美氏(マツダ株式会社 総務部 地域リレーショングループ アシスタントマネージャー)

・東郷琴子氏(パナソニック株式会社 オペレーショナルエクセレンス社 企業市民活動推進部 事業推進課 主幹)

調講演をふまえて、コロナ関連支援の助成先団体、企業で社会貢献を担当されている方々と共に、今後の実践へつなげるために、「withコロナの時代を支える社会貢献」について考えました。

若者の居場所や就労を支援しているNPO サンカクシャ・荒井氏は、15歳~25歳の若者への支援が不足している現状について語りました。社会や家庭に頼ることのできない若者は、ひとり暮らしやアルバイト等の経験もなく、深刻な社会的孤立に陥りがちです。
サンカクシャでは、そうした若者一人ひとりの状況に合わせて、居場所支援から就労支援・居住支援へと、ステップを踏んで伴走しながら社会参画をサポートしています。

 

17人に1人は外国籍である三重県伊賀市で、外国ルーツの人たちを支援しているNPO 伊賀の伝丸(つたまる)・和田氏からは、言葉や文化、制度の壁だけでなく、情報不足や差別・偏見等が加わって、生活課題をさらに複雑にしている現状が語られました。2020年度は、「三菱財団」と中央共同募金会が協働で実施した助成を受けて、オンラインで外国ルーツの子どもたちの学習支援を行い、高校合格や自立につながる成果をあげました。一方で、支援する側の連携不足も痛感し、2021年度は支援団体同士の連携をはかりながら、アウトリーチや相談支援等を行っています。

マツダ株式会社・世良氏からは、顧客の賛同を得ながら実施した支援を中心にご発表いただきました。創立100周年を迎えた2020年、コロナ禍により記念事業が中止になりましたが、全社一丸となった皆の思いを社会貢献へと向けて、記念グッズの売上げの一部を寄付しました。
また、お客様のアンケート回答1件につき50円を同社が寄付するしくみを、2011年から継続し、災害やコロナ関連の支援活動へ累計1億円を超える多大な支援を行っています。賛同したお客様のあたたかい声も紹介され、まさに「三方よし」の好事例をご報告いただきました。

パナソニック株式会社・東郷氏からは、「共生社会の実現に向けた貧困の解消」を重点テーマにした様々な取組みの中でも、特に従業員を対象とした募金キャンペーンについてご報告いただきました。2020年度は、中央共同募金会を含む3団体へ、特設の募金サイト等を通じて、3千人以上の従業員から2千万円近い寄付が集まり、会社からのマッチング寄付と合わせて総額4千万円を支援しました。従業員向けにオンライン寄付の仕組みや、「社会課題講演会」を開催して寄付先の団体から困難を抱える方々の現状や支援の取組みを話してもらい、寄付への理解を深めたことが大きな成果につながりました。創業103年目となる現在も、「事業を通じて人々のくらしの向上と社会の発展に貢献する」という、創業者・松下幸之助氏の経営理念が息づいています。

株式会社NTTデータ・金田氏からは、パネル・ディスカッションに先立ち、”SDGs時代における社会貢献活動「提供価値」と「社会課題」”と題し、企業と市民社会の双方向的なあり方について、同社のデジタル・フィランソロピーの事例も交えながらご紹介いただきました。SDGsがめざす「誰一人取り残さない」社会のために、お金や物だけでなく、企業が有する人材やスキル、サービス、ネットワーク、メディア、施設等、様々なリソースをもっと支援に活用することができるとヒントをいただきました。

以上の報告や基調講演をふまえてパネル・ディスカッションが行われました。

①「コロナ禍によって、今までの活動がどう変化したか?」
支援団体側からは、家族形態の縮小や家族からの孤立といった「家族関係の変化」が挙げられ、そのことが住まいや生活全般に影響して問題が深刻化している現状や、「家族に代わるつながりづくり」や伴走支援が求められている様子が語られました。また、社会的孤立の長期化による依存症や心の病いなど、1団体のみでは解決できない例が増え、適切な支援につなぐためには、地域での支援者同士・団体同士の連携が一層重要になっています。
一方、企業側は、オンライン化が進んだことで、「募金活動や支援情報の共有、CSR研修等が全国展開できた」「オンラインでプロボノができた」、ステイホーム等で「従業員も『地域社会の一員』であるとの意識が高まった」など、変化に柔軟に対応している様子がうかがえました。

②「企業と市民団体のより良いパートナーシップについて」
団体からは「企業には、寄付だけでなくノウハウやスキルなどいろいろな面でサポートいただきたい」、企業からは「支援現場の困りごとがわからないので、ぜひ『助けて』と声を挙げてほしい」。
サンカクシャのように、企業や行政、他団体に上手に頼って支援の輪を広げている事例がもっと広がっていくとよいですし、伊賀の伝丸のように、自ら支援者同士の連携化に立ち上がる例もあります。
共同募金会や社会福祉協議会、NPO支援センターなどの中間支援団体には、団体間、団体・企業間のネットワークづくり、両者をつなぐ情報発信が求められています。

「活動の成果の可視化」と言うと、数値などで示さなくてはいけないと考えがちですが、企業からは「受益者のちょっとした変化でもいいから知りたい」「感謝の言葉に動かされる」「どこに支援が足りないかを教えてほしい」」といった声があがりました。
原田氏は、団体から企業(支援者)へどうフィードバックするか、現場からの発信が社会を変える力となり、そこに企業の協力が加わって、さまざまなセクターが連携しあうことが重要である、と語りました。
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今回のセミナーが、皆さんの活動の一助となれば幸いです。
中央共同募金会では、今後もこのような場を開催してまいります。「社会貢献メールニュース」でお知らせしますので、配信ご希望の方は下記へご連絡ください。よろしくお願いいたします。

「赤い羽根 新型コロナ感染下の福祉活動応援全国キャンペーン」第2弾について
「赤い羽根 新型コロナ感染下の福祉活動応援全国キャンペーン」ご報告サイト

【主催・問合せ】
社会福祉法人 中央共同募金会 基金事業部(セミナー担当)
TEL 03-3581-3846
メール kikinアットc.akaihane.or.jp ※アットを半角@に直してご送信ください。