団体名 一般社団法人宮古島こどもこそだてワクワク未来会議

都道府県 沖縄県

助成額 1,420,000円

活動開始日 2022/4/1

活動終了日 2022/12/31

助成金で行った活動の概要
沖縄県の離島・宮古島市では、社会資源が限られ、インフォーマルな支援が不足していた。具体的には、休日・夜間に対応できる機関がほぼ無く、初回の相談対応において支援に繋がりにくいケースが多く、民間シェルターも不足していた。また、警察や配偶者暴力相談支援センター等にDV等被害者が相談に訪れた際、一時保護が提案されても、携帯電話の持ち込み不可や子どもの学校通学や保護者の就労継続が難しいことなどから、利用に繋がらないケースがみられていた。本事業ではこうした状況を改善するため、2022年4月1日から2022年12月31日の約8ヶ月間、DV・虐待被害等にある母と子を主な対象として、無償(6ヶ月間)の住居提供(2-3戸)、心理カウンセリング、就労支援、利用終了後の居住支援等を実施した。通称はこまサポルーム(略称こポル)とし、実質的な民間シェルターの役割を果たした。スタッフには主に福祉職、医療職が参画し、初回面談からシェルター利用、6ヶ月の利用が終了した後の自立支援をワンストップで実施した。

活動日数 270

支援対象者実人数 21

支援対象者延べ人数 711

参加ボランティア実人数 4

参加ボランティア延べ人数 4

本助成金による活動の成果
相談22件(実数)のうち、利用は8件(実数)であった。利用8件のうち2件は、DVからの避難を目的に、島外から島内への転入であった利用8件のうち2件は、DVからの避難を目的に、島内から島外への転出であった利用8件のうち4件は、島内居住中に本事業を利用し、利用終了後も島内での居住となった。離婚へすすんだのは、相談者22件中の10件(利用8件中の8件)となった。ただし、離婚へすすんだ10件のうち、6件は離婚調停中である。利用終了後の居住状況は、公営住宅3件、民間賃貸住宅4件、不明1件である。利用終了時、居住+就労確保(自立)に至ったのは、8件中6件である。そのうち、居住確保は7件、不明が1件である。居住のみ確保(就労無し)の1件は、制度利用へと繋がり、シェルター利用終了後の現在も継続して相談支援中である。初回相談のきっかけは、相談22件のうち、12件が直接(紹介無し)、10件が関係機関からの紹介、2件が元利用者からの紹介であった。紹介のあった関係機関は、警察、配偶者暴力相談支援センター、婦人相談所、社会福祉協議会、教育委員会、市福祉部署の6機関(延べ10件)である。本事業から関係機関へ連携をとったのは、利用8件のうち8件(全件)である。連携をとった関係機関の内訳は、警察8件、配偶者暴力相談支援センター6件、法テラス6件、社会福祉協議会7件、教育委員会4件、市福祉部署8件であった。【関係機関の声】宮古島市社会福祉協議会コミュニティソーシャルワーカー(CSW) 川上よしえ氏困ったときの「こポル」頼み。こポルは、今の宮古島では無くてはならない存在です。このシェルターの真の価値は場所だけでなく、緊急のケースでも柔軟な対応が可能な点ではないでしょうか。制度がすきまをつくっているケースや行政等フォーマルな機関では対応しきれないケースも多々あり、「こポル」があることで、よりフレキシブルな支援が可能になっています。これはDV被害者だけでなく、ケースに関わる支援者や関係機関にとっても連携をスムーズに行う上で重要な要素となっていると思います。日々の連携を通し、とても頼もしいと感じています。 私どもCSWも社会資源の一つとして、これからも知恵とのりしろを出し合いつつ連携を図っていけたらと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
【法的支援の必要性】島内には2つの法律事務所と、1つの法テラス窓口がある。法テラスや各支援機関が提供する無料相談を利用しても、本事業の利用者の多くが調停へとすすむことから、その後の弁護士費用を負担できないケースが多い。弁護士費用は分割支払いなど配慮があるが、自立を考える利用者の精神的・金銭的な負担となっている。支援者からみても、自立支援の障壁となっている。DV等を理由として子とともに別居へとすすむ場合、子の引き渡し、婚姻費用の請求、不動産の所有権など多くの法的課題が伴う。その多くは公的な支援機関では対応が難しく、法律家の支援の有無が、その後の各機関の支援の有効性にも大きく影響することとなる。既存の各機関が提供する無料法律相談のほか、調停等にも対応できる法律家の支援が必要である。島外を含めた弁護士、司法書士等との連携を深め、無料相談にとどまらず調停対応等の低廉な利用方法を検討していく。【離婚未成立の間の被害者の不利益と経済的支援の不足】行政の一時保護を経れば給付があるが、多くのDV被害者は一時保護を希望しない。子が休学、転校等を要する場合や、携帯電話を持ち込めない、仕事を休む必要があるなど負担が大きいため、一時保護を希望するのは激しい身体的暴力がある場合などに限られるのが現状である。そうした背景から本事業を実施しているところであるが、民間事業として受け入れた場合の不利益もある。大きな課題として児童扶養手当がある。別居時点から実質的にひとり親家庭になっているにも関わらず、一時保護または保護命令がないケースでは、児童扶養手当の申請が離婚成立までできない。DV被害をもとにした離婚調停は特に長引くケースが多くみられるが、その間の生活困窮は顕著であり、公的給付でのカバーは十分ではない。離島では県外支援団体等の給付金・支援金等の情報が届きにくいため、弊団体が積極的に民間資金による給付金・支援金等を情報収集、申請を支援していく。また、別居、調停、相談には大きな心理的・時間的負担が伴うため、心身の不調となるケースも多く、就労を短時間に切り替えざるをえないなど、間接的な不利益もある。心理ケアを継続していく。【居住支援の必要性】要配慮者に向けた低廉な賃貸住宅の提供、家賃債務保証等が不足している。入域観光客数が急増する宮古島市は、ここ数年間地価が高騰し、賃貸相場は首都圏並みと指摘されている。高額な家賃で空室が少なく、シェルター利用終了時の予算も限られる中での居住支援は大きな課題となっている。今後は、居住支援法人立ち上げの必要性の検討、及び県外をモデルに公営住宅の目的外使用等を行政に提案していく。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
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寄付してくれた人へのメッセージ
この度は赤い羽根共同募金にご寄付をいただきありがとうございます。いただいたご寄付をもとに助成をいただき、沖縄県の離島・宮古島でDV被害等にある沢山の方々を支援することができました。引き続き精一杯取り組んでいきます。今後とも、赤い羽根共同募金をどうぞよろしくお願いします。