コロナ禍で孤立した10代の子ども若者のためのアウトリーチ事業

団体名 こおりやま子ども若者ネット

都道府県 福島県

助成額 1,798,276円

活動開始日 2021/10/1

活動終了日 2022/3/31

助成金で行った活動の概要
高校生世代を中心とした若年世代の中には、コロナ感染症予防の為に部活動や授業の中止や制限がされ、また学習場所として利用していた公共施設の利用制限されており、放課後の居場所等を失っている方も少なくない。その事によって若年世代に必要な様々な経験機会が失われている。その反面、家庭で過ご過ごす時間の増大によって、若年世代が家族関係の悩みを抱えたり、精神的・身体的虐待を受けるケースも報告されている。そこで、彼らに対して第三の居場所を創出する事により、経験機会の確保と共に家庭で過ごす時間の減少を図り、様々なリスクの軽減を図った。また居場所に繋がった対象者の中に課題を抱えた方(困窮、不登校、ひきこもり、虐待等)がいた場合には、必要な対人支援機関への接続を支援し問題解決を図った。●学校や公共スペース等でのアウトリーチ活動 学校内や公共スペース(駅前の広場)に訪問し、当事業の説明会(個別・集団)や交流プログラムの提供を行いました。また、本事業の居場所スペースや相談支援への誘導を行った。●少人数制の居場所スペースの設置と体験プログラムの提供 孤立リスクが高い若者を対象に、日中過ごせる居場所スペースを週1回程度実施しました。活動として、感染リスク予防の観点からソーシャルディスタンスがとれるよう少人数制にし、コロナ禍で失われた様々な体験機会(ものづくり、アート、コミュニケーションゲーム、料理等)の提供を行った。また、オンラインを活用して感染拡大の予防に努め、交通弱者や対人不安が高い対象者でも参加しやすい企画(おしゃべり会や動画視聴会)を実施した。●複雑な社会課題を抱えている若者への相談・援助のサポート 困窮や不登校等の困難を抱える対象者に対して相談支援を実施した。必要に応じて適切な支援機関への誘導・連携をし、課題の解決を図った。

活動日数 35

支援対象者実人数 84

支援対象者延べ人数 265

参加ボランティア実人数 4

参加ボランティア延べ人数 5

本助成金による活動の成果
【本事業の実績】●学校や公共スペース等でのアウトリーチ活動…12回開催、延べ126名参加 学校や駅前にて余暇スペース(テントやハンモック、カーペット、ボードゲーム等)を設置し、自由に過ごせる場所を提供した。学校内では新型コロナウイルスの影響で集団活動を制限されてきたところもあり、本活動が学年を超えての交流機会や、外部の大人との交流のきっかけとして位置づけられていた。アウトリーチによって若者たちの声を直接聞くことができ、相談サポートだけでなく、アウトリーチ活動や居場所スペース内にて若者たちの自己実現ができる場を形成することができた(卓球をしたい、小物づくりにチャレンジしてみたい、楽器を弾いてみたい等) ●少人数制の居場所スペースの設置と体験プログラムの提供…23回開催、延べ135名参加 週1回程度、居場所スペースを設置し、アウトリーチ活動や日々の居場所スペースの中で生まれてきた若者たちの声をもとに様々な体験プログラムを提供した(料理、バドミントン、もちつき、地域散歩、誕生日会等)。またコロナ禍で若者たちの「自己決定」する機会と選択肢が喪失しているため、月に1度の居場所の運営会議を若者たちと一緒に行っている。それにより、若者達が自ら広報活動や場のルール決めを行うなど、地域の中で若者が主体的に参加できる場になっている。若者たちが自身の活動を発信することで、それを応援したい地域のボランティアの参加も見られた(3名)。●複雑な社会課題を抱えている若者への相談・援助のサポート…7名(不登校、障がい、中退リスク等) アウトリーチ活動や居場所スペースでつながった若者の中で、上記のような社会的リスクを抱えている方に対し、個別の相談や支援機関の情報提供を行った。その結果、本人の望む形で学びの場につながったり、学校と連携して中途退学の未然防止になったりと、若者の孤立化を防ぐことができた。 また、学校内でのアウトリーチの活動を実施した結果、先生方に事業の必要性の理解をいただき、居場所と探究活動が連携した新たな形の校内居場所へと発展もしている。事業終了後も継続して学校内での活動プログラムを提供できることになっている。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
新型コロナウイルス感染症拡大は様々な世代に影響を与えた。当然、ティーンエイジャーに対しても変化を求める状況となった。本事業を通じて出会う若者たちの姿からコロナ禍における変化の要請に対して、10代世代のいくつかの課題を発見する事ができる。日常的な部活動の制限や、または大会の中止、修学旅行や文化祭等の行事の開催方法における制限、黙食など、様々な場面で、“自由”が制限されている。新型コロナウイルス感染症拡大禍における“自由”の議論は、とりわけ「経済活動の自由」として語られる。一方、経済活動に従事する以前の若者世代は経験や意思表明の“自由”が制限される事については当然とされているせいか議論の俎上に上がっていないと活動を通じて実感する。若年世代にとって“自由”の意味は、多様な人との関係や経験、失敗や成功を享受するために、とても大切な要素だと考えられいる。一方コロナ禍においてその“自由”は、当然として制限されているが、その手当は充分ではない。経済活動の自由に対しては給付金などの手当はあるが、10代世代の活動の“自由”に対しては、それにあたるものがないとの事だ。今後、新型コロナウイルス感染症が私たちの生活に対して、制限を加え続ける状況は大なり小なりある中で、私達はその制限によってもたらされる負の影響に対して、手当を考え続けなければならと考える。10代世代の“自由”の制限に対して手当の模索と実践を続けたい。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://kowakanet.localinfo.jp/posts/23982667
https://www.instagram.com/cafesukima/



寄付してくれた人へのメッセージ
10代世代が新型コロナウイルス感染症拡大にともなって受ける影響に対して、まだ社会保障や教育領域での対処が充分ではないと感じています。その中で浄財によって実施することができる事業の様々は、今現在、貴重な若い時間を生きる10代世代へ、素早く届けられる貴重なもと感じています。正解が見えないこういった状況だからこそ、柔軟かつ素早く実践を作れる寄付でなりたつ領域が求められていると感じています。上記の状況の中、実践を支えて頂き感謝申し上げます。