地域の拠点を作り、社会や未来に希望を持つ子どもたちを育成する事業

団体名 北野コミュニティネットワーク

都道府県 東京都

助成額 1,382,000円

活動開始日 2020/12/1

活動終了日 2021/12/31

助成金で行った活動の概要
■地域の拠点作り:子ども食堂の起ち上げと様々なイベントの開催地域の方から出資と支援を募り、また様々な団体や個人の協力によって当団体の対象地域北野地区に「子ども食堂カフェ北野」を起ち上げ、2021年4月から活動を始めた。起ち上げに際して、施設本体は、地域の方からの出資があり、また内装についても多大な支援があったため、頂いた助成金は、食堂や厨房などの備品購入に多く充てた。4月~6月は月に2回の食堂とお弁当配布会、次の事業に向けた会議や準備などを行った。7月からは平日毎朝のあさごはん事業を始め、小学生~大学生までの子どもたちには無料で、パンとスープと飲み物の朝ごはんの提供を始めた。夏休みには子どもたちの居場所の提供のために休日以外ほぼ毎日朝から夕方までオープンし、朝ごはんの他、昼食の提供や様々なイベントも行った。10月からは夜ごはんの提供も開始し、子どもたちと子どもを持つ家庭への支援を継続している。また、当地域に多い外国籍の子育て家庭支援として、子ども食堂において日本語教室の開催や学習支援を行った。さらに現在は、外国籍の方を講師に招いて、出身国の料理を紹介してもらう料理教室を毎月開催している。夏休みに子どもたちに好評だった「駄菓子屋」さんも月に1回開催し、子どもたちがお店番をする体験も行っている。運営は全てボランティアで行った。

活動日数 140

支援対象者実人数 730

支援対象者延べ人数 3940

参加ボランティア実人数 80

参加ボランティア延べ人数 880

本助成金による活動の成果
多くの方の協力を得て地域の中に子どもと地域を繋げる拠点を作ることができた。ところが、拠点を作っただけでは地域の人々の繋がりを作ることはできなかった。起ち上げ当初、月2回の食堂とお弁当配布から始めたが、困っている子どもたちを多く支援できている実感がなく、近隣の小学校などと何度も話し合いを持ち、「朝食を摂らずに学校に来る子がいる」という話を受けて、朝ごはん事業を始めた。毎日開催するので朝の方がボランティアが集まりやすかったのも始めた理由であった。始めてみたところ、これまで家では食べなかった子が子ども食堂に来て食べるようになった、これまで朝ごはんが準備されていなかったので朝食を抜いていた(あるいは一人で食べていた)子が子ども食堂で食べるようになった、これまで遅刻ばかりしていた子が朝食を食べに出ていき遅刻がなくなった、不登校だった子が朝ごはんを食べに家から出るようになった、など、学校の先生も驚くような成果が出てきた。家庭や学校に悩みなどを抱えている子も多く、子ども食堂がガス抜きや癒やしの役割をしているように見受けられた。近所の高齢者や一人暮らしの若者、学生なども利用してくれ、徐々に繋がりが形成されている。朝ごはんは12月末までに122日開催した。また毎月行う食品配布会では毎回130人分を予約制で配布するが、日本語の分からない外国籍の家庭のために別途枠を設け、予約なしでも受け取れるようにしたところ、多くの家庭に利用してもらえるようになった。これまで地域との繋がりが全くなかった人たちが、子ども食堂に来るようになって「顔見知り」が増えた、言われていた。更に、外国籍の方に子ども食堂でのボランティアをしてもらったり、お料理教室で自国料理を教えてもらうようにしたところ、一方的な支援を受けるよりも楽しく「繋がり」ができて良かった、と高評価だった上に、参加した日本人も外国文化に触れて視野や世界が広がった、という感想が出た。夏休みには毎日夕方まで開け、学習支援、英会話教室、マンガ喫茶、プログラミング講座、音楽教室、本の読み聞かせ、自炊塾、ボードゲームなど、毎日イベントを実施し、多くの子どもたちが利用してくれた。特に人気だった駄菓子屋さんについては、休み明けも毎月開店するようにし、子どもたちがレジを打ったり商品を並べたりする役割もするようになり、社会勉強の一環にもなっている。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
朝ごはん事業を継続していく中で、子どもたちが直面している困難を目の当たりにした。「お母さんが怒ってばかりいる」「お父さんがお酒ばかり飲んで暴れる」「楽しいことが何もない」「お母さんがいなくてお父さんと二人暮らしだけど、子ども食堂に行ってはいけないと言われた」「朝ごはんも夜ごはんも何も準備されていない」「お父さんの部屋がダニだらけで体中を食われた」などなど。子どもたちに問題があるような子は一人もいなかったが、親や学校の先生との関係が上手くいっていない子が多くいた。当初子どもの貧困の解消を目的の一つにしていたが、貧困そのものは子どもたちの幸せにとって致命的な原因ではなく、親や先生など身近な大人との関係によって、子どもたちの幸せが奪われているのではないかと思うようなことが多く見られた。これに関連して、「子どもの貧困を対象に活動している子ども食堂」という外からの見え方では、子どもたちは子ども食堂に来てくれないことが分かった。「あそこに行く子は貧しい家庭の子」という偏見がある以上、本当に貧しい家庭も、経済的に余裕がある家庭も、そのように見られたくないため来ないし、本助成の「居場所を失った人」というタイトルも同様の見られ方をすることが分かったことから、この場所や活動を明るく楽しく見せることに腐心した。活動を通して見えてきた子どもたちは、楽しいことが大好きなのに、コロナ禍に関わらず、所謂「正しいこと」や「迷惑を掛けないこと」を大人により強制され、それができないと将来の不安を聞かされ、楽しい未来を見出せない姿であった。核家族化が極端に進み、子どもたちが多様な価値観に触れたり、視野を広げたりする機会が奪われていることが原因のように思われる。今後の取り組みは、これらの課題を踏まえ、いかに子どもたちを家庭という単一価値観の場所から出し、楽しませる取り組みをするかである。これが地域で子どもを育てる最大のメリットである(価値観のセーフティネット)。また貧富の差は大きな幸福格差は生まないものの教育格差に繋がっている現状も見えたことから、今後は社会で活躍できるようなスキルを身に付ける講座を無料または安価で、楽しく行う。日々の食堂の活動を継続し、美味しい幸せを子どもたちにもたらしつつ、社会から誰も取りこぼさない地域を目指す。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://www.cafekitano.com/
https://www.instagram.com/cafe.kitano/



寄付してくれた人へのメッセージ
皆さんの寄付のお陰で「子ども食堂」を起ち上げることができました。子ども食堂には子どもだけでなく沢山の大人も訪れて、地域の中で子どもを育てる拠点の1つになりつつあります。「食」という子育てを地域で分担して行うことで、子どもにとっては楽しみが増えると共に、家庭以外の価値観を知る良い機会となっており、閉塞的な環境にいた子にとっては「救い」や「息抜き」になっています。現在当子ども食堂には、毎日のように物品やお金の寄付が届き、多くの温かい思いを受け取っていますが、赤い羽根にくださった方も、同じ温かい思いがあって寄付してくださったと思っています。その思いを大切にして、今後も活動を継続していきたいと思っております。ありがとうございました。