クルド人支援のための活動拠点立ち上げ事業

団体名 クルドを知る会

都道府県 埼玉県

助成額 384,693円

活動開始日 2021/1/8

活動終了日 2021/12/30

助成金で行った活動の概要
多くの在日クルド人が利用しているJR蕨駅から徒歩2分の場所に事務所を借り、2月1日から活動を開始した。衣類やランドセルなどの学用品を収納する棚を作り、日本語テキストや事務用品などを揃え、地域の拠点となる事務所の整備を進め、新型コロナウイルスの感染症対策を取りながら活動を行なった。事務所は、寄付された食品や物品の保管、資料・書籍の保管、定例会議、メディア取材、インタビュー取材、日本語教室、生活相談や打ち合わせの場所として使用。事務所があることで可能となった活動や事業もあり、以下主な活動を記す。このほかに個人単位での支援活動などが多数ある。2月:戸田市の日本語スピーチコンテストの録画/お米100kg・衣類・学用品などの寄付を受け取り配布3月:当会の会報誌の編集会議開始4月:小学校に入学する在日クルド人の子どもたちのために学用品に名前を書いて配布/大人を対象にした日本語教室を再開(毎週日曜日)/在日クルド人の医療相談会を他団体と共同で開催5月:会報誌発行・配布/展覧会の準備6月:「世界難民の日」にあわせ川口市内で「在日クルド人の現在2021」(展覧会・写真展・上映会・講演会)を開催7月:仮放免の実態についてのテレビ取材/地域の病院と医療費に関する打ち合わせ8月:新型コロナワクチン接種に関してのテレビ取材9月:住民票のない外国人に対する新型コロナワクチン接種券発行について川口市と交渉/ワクチン接種の相談受付10月:被仮放免者の実態、収容施設内の実態についての雑誌取材11月:大学生や研究者からの支援活動に関するインタビュー調査への対応12月:お米100kg以上の寄付を受け取り各家庭に配布

活動日数 70

支援対象者実人数 50

支援対象者延べ人数 230

参加ボランティア実人数 50

参加ボランティア延べ人数 250

本助成金による活動の成果
1)支援物資の保管 これまでは寄付されたランドセルなどの学用品や食料品などの支援物資をそれぞれの個人宅で預かっていた。このため在日クルド人への配布に際しては、別の場所を借りたり、一軒一軒届けたりするなどの手間がかかっていた。事務所ができ、支援物資の保管場所と配布場所が一緒になったことで、物資の受け入れが容易になり、配布も気軽にできるようになった。家庭を訪問して支援物資を渡す際にも、一カ所に集積されているので非常にやりやすくなった。資料なども個人宅に散財することなく1カ所に集めることができた。2)地域活動の活発化 事務所を作ったことで、他団体との打ち合わせ、生活相談をいつでも行えるようになった。特に毎週日曜日に日本語教室を開催できるようになったことが大きい。それまでは公民館を借りていたが、先約があったり、市の行事等で使えないことがあり、恒常的に開催することができなかった。事務所で恒常的に開催することで、地域の在日クルド人が定期的に参加し、ボランティアも集めやすくなった。日本語教室は、日本語学習だけでなく、お互いの文化や言葉などを教え合うコミュニケーションの場にもなっている。日本語を教えるボランティア・大学生は、在日クルド人と交流することで様々な経験を得ており、一方的な支援ではない「支援の交換」が生まれている。現在は人数が増えたので近くの公民館も借りているが、事務所という拠点ができたことで、メンバーやボランティアにとっての物理的・心理的な結集軸ができたといえる。3)郵便物の配達 以前は名義上の事務所から不定期に郵便物が送られてくるため、遅れて届くことが多かった。事務所を作ったことで郵便物などが遅滞なく受け取れるようになった。そのため事務処理がスムーズに進み、信頼性の向上につながった。4)インタビュー取材 喫茶店などではなく、きちんと取材を受ける場所ができた。テレビや雑誌などメディアの取材や、大学生・研究者などのインタビュー調査を受け、支援活動や在日クルド人の置かれた状況を伝える機会が増えた。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
〈課題〉今回の事業は、①活動拠点となる事務所の設立 ②通訳者の派遣と組織化、の2本柱であった。①の事務所設立は達成できたが、②通訳者派遣システムは構築できなかった。その原因として以下のようなことが考えられる。1)医療通訳は、正確さを求められるために専門用語を理解する必要がある。しかし、そうした人材の確保や養成の方法、料金体系などを確立することができなかった。2)病院との連携関係が十分に築けておらず、課題・ニーズを十分に把握しきれていなかった。〈今後の取り組み〉まずは、地域での支援体制をより充実させるために、当会のメンバーが中心となって、新団体「在日クルド人と共に」を立ち上げることになった。在日クルド人との交流・支援を主な目的として、運営方法などを定めた規約を作り、本年より発足した。当会はその立ち上げを資金面でも支援することにした。現在、新団体のメンバーは地域の病院と定期的に打ち合わせを行い、医療に関する課題や通訳のニーズなどを話し合っている。医療支援の専門家や団体とも連携・協力関係を築いており、様々な課題について協議する予定である。今後、新団体では、すでに実施されている医療通訳システムの調査を行い、そのうえで実際の通訳者と病院関係者が懇談し、どのような通訳派遣システムが可能であるのかを検討し、小規模な試験運用を行うことを考えている。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://www.facebook.com/%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%89%E3%82%92%E7%9F%A5%E3%82%8B%E4%BC%9A-100116513516461



寄付してくれた人へのメッセージ
この度、皆様のおかげで、念願の事務所を作ることができ、地域に密着した活動を飛躍的に発展させることができました。この場を借りて御礼申し上げます。まことにありがとうございました。