コロナ渦で居場所を失ったり孤立したりする若者たちのための居場所・シェルター・関わり活動事業(継続)

団体名 若者を応援する地域ネットワークの会「ぶーば・にーば」

都道府県 新潟県

助成額 563,133円

活動開始日 2021/4/1

活動終了日 2021/12/31

助成金で行った活動の概要
【1、居場所事業】 居場所を失った若者のための居場所を101日開催し、のべ121人(実数14人)の利用がありました(夜間を家で過ごせない若者の対応として宿泊を伴う居場所も一回あり)。参加者は、去年と同様、コロナ禍で社会参加の機会が失われた人、就活が困難になった人、家族間のストレスが増して家に居られなくなった人、ヤングケアラー、仕事が減らされ寮に居場所がなくなった外国籍の若者などでしたが、新たに参加する人もいた半面、自立して居場所を卒業していく若者もいました。活動内容は、去年同様参加者の希望に添いましたが、去年多かった一対一の活動(悩み相談、制作活動、機械組み立て、PC作業等)だけでなく、今年は、複数での活動や戸外で行う活動、地域の人と一緒に行うボランティア活動、大勢の人の前に立つ活動などにも積極的に取り組む様子が見られました。ジョブトレーニング(中間的就労)に参加した若者も、のべ121人(実数14人/計上13名)いました。感染対策として、消毒、マスク着用、手洗い、人との距離の確保を心がけ、室内では、換気、定員4人、スリッパの消毒などを徹底し、安心安全な空間であることを心がけました。 【2、訪問・関わり事業】 外出が困難な若者たちのために訪問活動(4名に対してのべ31回)や電話による関わり(2名に対してのべ14回)、SNSによる関わり(11人に対してのべ395日)を行いました。家でできる仕事にチャレンジする若者のために、営業や品物の運搬なども行いました。スタッフと山菜取りに出かけることができた若者もいました。また今年は、外国籍の若者へのワクチン接種支援を通じた関わりがあり、病院や役場との連絡の他、接種に関する説明、問診票の作成の手伝い、接種会場までの同行等を行いました。SNSによる関わりでは、いつまでも先が見えないコロナ禍の生活の中、特に就労への道が閉ざされていることへの不満や不安、将来への絶望などの吐露が増え、心配なケースも出てきました。他にも病院に行くのが怖い、家族が濃厚接触者になって恐怖を感じる、ずっと家にいることによるストレスなど、コロナに関連する相談内容が目立ちました。 【3、研修・運営会議】 当事者理解のための勉強会を中心に、ひきこもりに関する学びや機関連携の学びも含めて20回の研修会(すべてオンライン)と19回の運営会議(ミーティング)を行い、より質の高い活動を目指しました。特に、研修によるスタッフの資質向上には顕著なものがありました。

活動日数 254

支援対象者実人数 17

支援対象者延べ人数 166

参加ボランティア実人数 12

参加ボランティア延べ人数 240

本助成金による活動の成果
1,居場所のない人たちに居場所を提供できたことは第一の成果だったと言えますが、継続事業であったことによる成果が多々ありました。例えば、継続して参加している居場所参加者の心的エネルギーが去年よりも増加し、地域とかかわる活動を希望する人が増えたことがあります。具体的には、環境への関心が深い若者たちによってエコの勉強会が始まり、地域の人たちと一緒にヘチマを育ててたわしを作りそれを「販売」したり、環境問題について行政への提案書を作成したり、と活動の範囲を広げました。若者同士が一緒に何かに取り組むこと、地域の人と関わること、これらは、以前の彼らにはできなかったことであり、大きな成果だと考えます。外へ向かうそれらの活動がひと段落してからは、以前から興味を持っていたさおり織りに取り組むようになった若者たちもいます。難しい機械の組み立ても若者たちが説明書を見ながら最後まで行いました。さおり織りは、エコバッグの飾りにするとのことで、内発的な動機によって自分らしく活動ができるようになったことに驚きます。外に向かっていくエネルギーや、難しいことにも最後まで取り組む姿勢は、彼らの回復と成長を表していると感じます。居場所は、単なる逃げ場所としての居場所ではなく、一人ひとりが自分らしく時間を過ごし、ステップアップする場所となっていることを事業2年目の今年、さらなる成果として実感しています。2,訪問・関わり活動によって、行政とも誰ともつながっていない若者たちとつながりをもち続けたことは、以前から意義ある成果だったと認識していましたが、今年は、さらなる成果が見られました。去年、会うのがやっとだった若者が、スタッフとの信頼関係を深めた結果、スタッフの投げかけに応えて網戸の張替えや障子貼りなどの仕事(家で行う)ができるようになりました。スタッフとならば関わりが持てるため、会の地域ネットワークで仕事を見つけ、それを担当スタッフが軽トラで若者宅に運ぶ、という発展がありました。事業継続の成果と皆で喜んでいます。また、山菜取りにスタッフと出かけることができるようになった若者もいました。地道な活動を通して、彼らと関係性をもち続けることで、彼らを「孤立から守り」「ひとりにさせない」ことにつながっているだけでなく、確かな前進を見ることができていることは、大きな成果であると言えます。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
今回の活動を通して明らかになった課題は、以下の2つです。1、前回の課題だった支援機関との連携については、子若センターや保健所、社協、作業所などと連絡を取る回数が増えました。しかし、関係機関との相互理解は今後の課題です。会の活動内容を理解してもらえるように、まずは情報発信を続けていこうと考えています。2、社会のまなざしの変革も、前回見えた課題でした。今回の事業では、地域で応援する、ということに力を入れて取り組んだ結果、若者たちの心のエネルギーがたまってきたこともあり、地域活動や地域の人と関わる活動が増え、かかわった人たちも若者たちへの評価を肯定的に評価するようになりました。このことは大変うれしいことでしたが、それは、大きな社会の中の、ほんの数人の変革であり、地域の批判的まなざしや就労への同調圧力が少なくなったとはとても言えません。今後も長い時間をかけてこのような取り組みを継続していくことだと考えています。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://www.facebook.com/buba.niba/posts/5441373145908456