コロナ危機によって居場所を喪失した者のための命をつなぐ情報および社会的資源提供事業

団体名 特定非営利活動法人 仙台夜まわりグループ

都道府県 宮城県

助成額 2,175,937円

活動開始日 2020/7/1

活動終了日 2021/3/31

助成金で行った活動の概要
2020年2月以降、新型コロナウイルス感染症の社会的影響が仙台市においても見られるようになりました。さらに、同年4月に「緊急事態宣言」が発令されると、工場が停止した非正規労働者や、休業を余儀なくされた飲食業の従業員やタクシー運転手などから当法人に対する相談が加速的に増加しました。その内容は、仕事が激減して、今後どのように生活すればよいのかわからないという窮状の相談でした。マスメディアでもコロナ禍による生活困窮者の報道がなされるようになりますが、コロナウイルス感染症の社会的影響により生活困窮に陥った方の特徴は、コロナという未曾有の感染症がなければ生活困窮に陥ることのなかった、いわば、緊急事態によって社会的に急速に生み出された点にあります。コロナ危機によって生活困窮に陥った方々の中には、生活困窮の支援の情報を持ち合わせておらず、今日の食料がなくなるまで我慢し続け、今日の命の危険がある方がいました。そこで、私たちの支援活動において、SOSをしてきた方に対して迅速に支援を行うようなスキームがコロナ禍以前よりも必要となりました。こうした背景があり、私たちは、コロナ禍によって生活困窮や路上生活に陥った方の支援として、本事業を行うことにしました。 本事業は、コロナ危機によって居所を失った方々に対して居所を回復するための支援として、三つの柱を軸として行いました。(1)すでに居所を失った方に対しては、居所を回復するための支援として、仙台市内のホームレス支援の情報を伝達し、その中で、希望する者に対しては当法人のシェルターおよび中間施設(無料定額宿泊所)の利用を通じてホームレスからの脱却を促進する、(2)居所を失う危険のある方に対しては、居所を失わないための情報提供および物資の提供、(3)居所を失う寸前、もしくは居所を失って間もない緊急性のある方(コロナ感染症の影響等により家賃滞納や雇止めによる寮退所に陥りそうな方)に対しては、居所回復のための情報提供および食料等の支援等、を行いました。 具体的には、(1)ほぼ24時間365日の体制で、電話でSOSを受け付けて、その方の相談に即したオーダーメイド相談の実施、(2)当法人の支援活動(毎週月曜日:衛生改善事業、木曜日:大人食堂、第一・第四土曜日など) において対面相談の実施、(3)必要に応じて、緊急でアウトリーチ相談を実施し、支援の情報、食料等、場合によっては緊急的に当法人のシェルターに誘導する、(4)コロナ禍によって住まいを失った方が路上生活を脱却して、再び社会生活を送る方に対して、洗濯機・冷蔵庫・炊飯器を含む、生活用品と寝具を無償で提供することにより、社会生活を安定させる支援、(4)路上生活を脱却した方で、当法人のシェルターおよび無料低額宿泊所を利用している方に対して、毎日、一回の面談と、必要に応じて生活保護の申請同行、病院同行、各種関係機関(債務整理のための法テラス同行、依存症のためのAA同行など)(5)報告書の作成を行いました。                        

活動日数 274日

支援対象者実人数 11人

支援対象者延べ人数 1,000人

参加ボランティア実人数 5人

参加ボランティア延べ人数 50人

本助成金による活動の成果
2020年7月から2021年3月までに行なった活動の成果は下記の通りです。 (1)活動実施した270日は、ほぼ24時間体制で、当法人にSOSの緊急の電話の相談を受け付けました。SOSの相談のあった中から、夜間や命の危険等の緊急性がある相談として、緊急アウトリーチ相談を15件実施しました。具体的には、コロナの影響により仕事が激減し、雇止めとなった40代男性、名古屋で派遣の仕事をしてきたが、コロナの影響により雇止めとなり、仕事を探すために出身地の仙台に戻ってきた若年夫婦、専門学校に通学している外国人学生、派遣の仕事をしてきたものの、コロナの影響により仕事が激減したために肉親を頼って仙台にきたものの折り合いが悪く、住まいを失ったカップルなどがいました。それぞれの事情が異なるとはいえ、支援の情報を持ち合わせておらず、途方にくれていました。一人一人に対面により支援の情報提供を行い、当面の食料支援を実施しました。 (2)夜まわりを18回(月2回)、深夜夜まわりを18回(月2回)実施しました。深夜まわりは、仙台駅の東西通路、市内中心部の公園を巡回しました。夜まわりでは、毎回40名を超える当事者と直接話をしました。深夜まわりでも、毎回10名を超える当事者にチラシや、寝袋もなしで横になっている当事者に支援物資(寝袋やカイロ)を手渡し、支援の情報を伝えました。この活動を通じて数名の方が路上生活を脱却しました。 (3) 対面での相談として、聞き取りの中から、コロナ感染症の社会的影響によって、路上生活もしくは生活困窮に陥った方46名の対面相談を行いました。その中で、15名に対してシェルターおよび当法人の無料低額宿泊所への入所によって、路上生活を脱却することができました。 (4)(3)で路上生活からの脱却のお手伝いをした15名のうち、11名に対して、寝具および什器備品、生活用品セットを無償で提供しました。路上生活を脱却するにあたって、初期の社会生活を安定してスタートさせることができました。 (5)毎日、路上生活を脱却した方15名の見守りを実施しました。必要に応じて、生活保護の申請同行15件、病院の同行25件、債務整理のための司法書士事務所同行2件、その他各種関係機関の同行3件を行ないました。                        

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
まずは、情報をもっていない当事者に対してどのようにアプローチすることができるのかという課題があります。生活に困窮した方の中で、インターネットやSNSをみることができない当事者に対してまずは私たちの支援を認知してもらう必要があります。どのようにして情報弱者に対して情報を伝達するのかという課題がみえています。また、2021年4月の段階で、新型コロナウイルスのワクチン摂取が開始されてはいますが、コロナウイルスの社会的影響の収束が見えません。いまはなんとか他の制度(緊急貸付制度など)によってなんとか生活している方が、今後、収束がなければ、貧困が拡大することは明らかです。今後は、役所および関係機関に対して、当法人の取り組みを再度周知徹底させること、また、より迅速な対応することを徹底させたいと思っています。                        

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
http://www.yomawari.net