新型コロナによって“今日食べることに困る人をゼロにする”プロジェクト

団体名 伊賀市社会福祉協議会

都道府県 三重県

助成額 1,000,000

活動開始日 2020/6/1

活動終了日 2020/8/31

助成金で行った活動の概要
●緊急食料提供事業の実施 ・生活困窮者への緊急食料提供事業を安定的に実施するために、提供可能な食糧を確保し、必要な世帯に届けられるように整備した。 ・緊急食糧セットの希望者は延べ487セット(4月~8月末)にのぼり、助成事業期間である6月~8月には月平均130セットを提供した。(参考=令和元年度実績68セット) ●緊急食糧備蓄のための機器整備 ・助成金により、企業や市民から受けた食糧の備蓄保管と提供のために玄米保冷庫を購入整備し、フードドライブで集まった野菜や卵等の生鮮食品の保冷や、精米した米を安全で衛生的な環境で備蓄し、提供できた。また、精米機を購入整備し、玄米でいただいた寄付米を当会で精米し、緊急支援食糧としてスムーズに提供することができた。 ●フードドライブやフードパントリーの試行実施 ・外国人支援NPO団体とともに、過去に養成した地域食堂担い手ボランティアとともに、8月6日(木)にフードドライブ、8月9日(日)に外国人住民向けフードパントリーを試行実施した。 ・フードドライブでは、余剰食材等を家庭や地域、企業、組合組織等に働きかけて募集したところ、10団体91人からの食材協力、箱詰め作業へのボランティア協力などが得られた。また、フードパントリーでは、61組171人への食糧提供および1組の相談対応を行った。 ・フードパントリー申込時および提供後のアンケートにより、コロナ禍における生活上の困りごとの現状やニーズ把握ができた。把握したニーズをもとに、9月に「第2回食糧支援事業(子育て世帯向けフードドライブ・フードパントリー)」の実施企画に至った。 ・フードドライブ・フードパントリー活動報告書の作成により、フードドライブおよびパントリーのノウハウの蓄積により、今後さまざまな主体が取り組みの参考にするとともに、支援者への感謝報告にも活用した。 ●新型コロナウイルス対策緊急支援募金の募集  「今日、食べるものがない」ことへの課題解決のための支援を募る活動を通じて、多くの企業・団体・市民からの地域課題への関心や共感を高めながら、解決に向けての協力や参画が得られ、約500万ものご寄付をいただいた。募集にあたり、新聞社等の報道機関、地元情報発信メディア(CATV、タウン情報誌)、広報誌、SNS等メディアミックスによる情報発信を工夫し、活動への認知度が高まった。

活動日数 92

支援対象者実人数 171

支援対象者延べ人数 563

参加ボランティア実人数 6

参加ボランティア延べ人数 6

本助成金による活動の成果
【①ニーズ評価】 ●新型コロナによって“今日食べることに困る人をゼロにする”をめざした、安定的な食糧提供の仕組みづくりと、食支援ニーズがある方と支援者双方へのニーズへの対応 ・緊急食糧備蓄のための機器整備によって食糧の備蓄が可能となり、市民は生命を維持するための一週間程度の食糧を受け取ることが安定的・継続的に実施できるようになった。 ・フードドライブとフードパントリーの手法を導入することで、イベント的な要素もあって、食糧支援ニーズのある方が支援に繋がる可能性が広がるメニューであることがわかった。 ・困っている人に何らかの支援をしたいと考えている市民や、どのような社会貢献活動が市民ニーズに応えられるか判らないといった企業等のニーズにも、食支援は非常に参加しやすいメニューとして対応することができた。 【②セオリー評価】 ●地元で起こっている生活課題を伝え、支援の輪を広げる ・新型コロナウイルスが身近な生活にも影響を及ぼす中、「今日食べるものがない」というチラシ等での情報発信は、身近な地域でも食べることに困っている人がたくさんいるという現状に対し、市民や企業から改めて驚きとともに、食支援等の緊急支援活動の必要性への共感を得られた。 ・フードパントリーでは、地域内で食糧受付の窓口を設置してくださるなど、主体的にたすけ合いの輪が広がったことも大きな力となった。また、今回初めて地元の食品関係の企業や組織にも現状をお伝えし、多くの企業や団体から食糧寄付をいただいたり、企業の社会貢献活動の一環として箱詰め作業に協力いただいたりなど、ソーシャルセクターとの新たな繋がりができたことは大きな成果といえる。 【③プロセス評価】 ・当初計画では、外国人住民やひとり親家庭へのフードパントリーおよび相談会の試行実施に向けて啓発活動等の準備をする予定であったが、助成決定をいただいた後押しもあって食糧支援活動に緊急性があると判断し、実際にフードドライブとフードパントリーと試行実施することに至るなど、スピード感をもって対応することができた。 ・当初計画では、フードパントリーのノウハウ共有および支援を目的として、民生委員児童委員が箱詰め作業に24名、パントリーに40名のご協力のいただける予定であったが、三重県新型コロナウイルス「緊急警戒宣言」を受け、社協およびNPOスタッフ等の最小限度のスタッフで行うこととなったことは残念であった。 ・事業の周知や受付などは、多文化共生NPOや行政などの協働により、多言語の広報誌掲載やチラシ・申込フォームなど、支援情報にアクセスしやすい工夫が可能となった。また、食糧配布直前にNPOスタッフから希望者への電話確認による申し込み忘れの防止や、電話で相談につながるなどのケースもあった。また、NPOスタッフの協力により、アレルギーやハラル対応への配慮や、食支援を通じて国や信条によって食文化や慣習が異なることなどを知るきっかけともなった。 ・パントリー申込やアンケートなどを通して、外国人住民が直面している生活課題を把握し、今後の対策を検討する貴重なデータとなった。 【④アウトカム評価】 ・外国人住民向けフードパントリーでは、食支援を相談支援の入り口として、困った時に助けを求められる場所があることを知ってもらえた。また、食糧を受け取られた方からは、「支援してくれたすべての人々に神の祝福を」「日本の社会福祉に感謝します」といったメッセージを受け取り、それを支援者にも伝えていく活動により、同じ地域に住む住民としてたすけ合いや繋がりが生まれたのではないかと実感している。 ・1回目の試行実施の際は、事業の周知協力として協力団体であった市内社会福祉法人連絡会より事業への共感を得られ、第2回目ではフードドライブで寄せられた食糧の仕分け作業への協力、さらに今後は主催者として実施する方向性が出るなど、今後主体的に食糧支援に取り組む動きが生まれてきた。 ・当会として、助成事業を通して一連のファンドレイジングの流れを実践的に取り組むことができたことは、今後も多くの市民の参画を得ながら地域課題を解決していく道標となった。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
■協働実践により、“今日食べることに困る人をゼロにする”をめざして・外国人住民向けフードパントリーの申込世帯のうち、5割以上が子育て世帯であったことから、新型コロナウイルスにより、子育て世代や子どもへの影響が大きいことが明確となり、9月に「第2回食糧支援事業(子育て世帯向けフードドライブ・フードパントリー)」を実施することになった。・食支援等、生活支援ニーズがあっても助けを求めにくい状況があることも懸念され、潜在的なニーズにどう対応していくか、この事業で得られた調査や様々な相談支援機関等の意見等を踏まえて、今後の支援策を組み立てていく必要性があると考える。・今後は、地域食堂や社会福祉法人連絡会やNPO法人等、様々な主体がフードパントリーを市内で継続的・安定的に実施できるよう、食支援プラットフォームを形成しながらホームページ等で市民に情報提供するなどの取り組みを広げていく必要性が出てきた。また、ソーシャルセクターのみなさんとの協働により、SDGsの目標達成を目指して社会貢献活動のコーディネートを継続的に行っていくことが求められている。・まだまだ不況が予測される中、この苦境をみんなでたすけ合いながら乗り越えることができるよう、「今日、食べることに困る人をゼロにする」を多様な主体の協働により実現を目指していくこと、また多様な国籍や言語、文化を持つ人々とのつながりや絆づくりをしながら、多文化共生のコミュニティづくりに向けて取り組んでいく。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://www.facebook.com/igashakyo/posts/2612004272387477