都道府県 東京都
助成額 1,834,312円
活動開始日 2024/8/1
活動終了日 2025/3/31
助成金で行った活動の概要
本助成を通じて、能登半島地震により避難を余儀なくされた石川県金沢市に暮らす高齢者を主な対象に、孤独・孤立のリスクを軽減するためのコミュニティづくりを行った。地域団体や市民と連携し、広域避難者が集まり交流できる場を提供し、市民リンクワーカー(当事者の声を傾聴し、当事者同士及び地域の資源とのつながりを提供する存在、LW)が傾聴と伴走を通じてコミュニティ形成や地域活動への参加を促進した。
1. 交流型イベントの開催
・2024年12月から2025年3月の間、計6回の交流型イベント『笑語ひろば』を開催。毎月2回程度の頻度で、共に「笑う」と「語る」をテーマに、料理、音楽、能登の魅力を教えてもらう等のコンテンツと茶話会を組み合わせ、各回2時間程度で開催した。会場は地域の図書館、銭湯、お寺等、地域の交流拠点を利用した。
・ イベント企画に際しては、如何に (1)対象層の方々に興味を持ってもらえる企画をつくるか(企画設計)、 (2)必要としている方々及び当事者を支える方々に情報を届けるか(アウトリーチ)、 (3)興味を持ってくださった方が自力で来れる場所で開催するか(開催場所/モビリティ)の3つの観点を意識した。
・対象層への情報発信においては、石川県庁、金沢市社会福祉協議会と連携して取り組んだ。
2. LWの発掘・養成・実装
・2024年8月に「社会的処方」の認知向上及び本事業への「市民リンクワーカー」としての協力者の募集を目的としたイベントを金沢で開催し、約30名のうち6名が面談等を経てLWとして参画した。LWは福祉の専門知識のある方、地域コーディネーターとして活動する方、、自ら地域活動を行う方など多様なメンバー構成となった。
・9月に研修を実施した後、LWは『笑語ひろば』への参加や自身の仕事/暮らしの延長線上でLWとしての活動を実践し、月次の振り返り会を通じて実践と学習を重ねた。また、広域避難者支援を行う団体との情報交換を行い、地域の団体との連携を広げた。
3. 自発的なコミュニティ形成の促進
・LWは地域包括支援センターや市内外の支援団体と情報交換を行い、地域資源との連携を深めた。参加者の困り事以上に、参加者の「小さな願い」に耳を傾けながら、地域資源を紹介し、一緒に訪問する等により、地域資源につなぐ活動を行った。
活動日数 44日
支援対象者実人数 60人
支援対象者延べ人数 130人
参加ボランティア実人数 6人
参加ボランティア延べ人数 48人
本助成金による活動の成果
・2024年10月から2025年3月までの間に金沢市内に居住する高齢の広域避難者を対象に交流型イベント『笑語ひろば』を計13回開催し、延べ270名が参加(自己資金による開催を含む。本助成事業としての開催はこのうち6回)。
・事業評価の結果、『笑語ひろば』が以下の3つの機能を発揮していることが確認された。
i. 他者とのつながりづくりの場
ii. つらい体験や不安感の払拭の場
iii. 共通の痛みを抱える方々が安心して集える場
・i. について、参加者のうち70%以上が同イベントを通じて1名以上の新たな友人・知人を得ており、一人当たり各回平均1.37名、最多で5名の新たなつながりを築いていたことが確認された。
・また、継続的なコミュニティ形成や地域参加につながる以下のような事例が確認された。
- 80代男性が市民農園で区画を借りて畑を開始した例
- 80代女性複数名が近所のこども食堂に継続的にボランティア参加するようになった例
- リンクワーカーが編物同好会を立ち上げ、広域避難者の参加の輪が広がった例
- 80代女性が現在居住の地域で傾聴ボランティアとしての活動を開始した例
- 80代女性が新たな友人ができ、定期的にお茶や映画など一緒に外出するようになった例 等
・本事業に参画したリンクワーカーは、広域避難者向けの居場所事業を行う団体を設立、自団体にて被災者と地域住民が自然体験を通じて交流する取り組みを開始、被災者の居住支援を開始等、それぞれの新たな活動に踏み出している。
事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
『笑語ひろば』参加者との継続的な対話と事業の効果測定を目的としたインタビュー調査によって、広域避難者が抱える2つのニーズが明らかになった。
①共通の痛みを抱える方々が安心して集える場に対するニーズ震災から1年が経ち、広域避難者が地域住民と接する機会が増えているが、地域に馴染めず疎外感を抱えているケースは少なくない。広域避難者からは、被災者同士が安心して集まり、地域住民とオープンに交流できる場を求める声が引き続き強い。インタビューでは次のような意見が寄せられた。(以下、参加者のインタビュー結果から抜粋) 「地域包括支援センターが開催する地域サロンに参加したが、震災の話をしづらい雰囲気があり、被災者であることを隠して過ごしている。同じ痛みを抱えた能登の人同士の集いの方が安心して話せる。」 「地域サロンに参加したが、コミュニティに溝を感じ、被災者であることを言うことが憚られる。被災者同士で集える場が欲しい。」
②支援の受け疲れと自発的な活動に対するニーズ広域避難者からは、金沢で受けた様々な支援に対する感謝の声が多数である一方、「支援を受けてばかりではいられない」「そろそろ自分も何かしたい」「自分にできることがないか探している」という声が多く聞かれる。支援を受ける立場から、自ら主体的に活動し、地域に貢献したいという気持ちが高まっている。このことから、広域避難者が自分の力を活かせる場や機会を創出する必要があると考えられる。当団体は上記を踏まえ、『笑語ひろば』の開催及びリンクワーカーの活動を継続することで、広域避難者が安心して集える場や他者・地域とのつながりの場を提供し続けるとともに、今後は『笑語ひろば』の中で広域避難者の知恵や経験を活かし、広域避難者が活躍できる場や主体的に参加できる場づくりに取り組む。
助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://hblp.crossfields.jp/warakata-hiroba
https://note.crossfields.jp/n/nb04634616211
寄付してくれた人へのメッセージ
『笑語ひろば』の参加者からは、以下のような言葉を頂いています。
・「慣れない地域で知り合いもいないため、行くところもない。『笑語ひろば』に来れば誰かに会って話すことができる。同郷の方との語らいが楽しみでいつも参加している。」
・「震災以来、この1年間感情を失っていて、怒ることも笑うこともできずにいた。今日、久しぶりに心の底から笑うことができた。」
・「長く塞ぎ込んでいたが、自分の人生このままでいたくないと思い、重い腰を上げて『笑語ひろば』に参加してみた。それがきっかけで二次避難開始当初にお世話になっていたリンクワーカーに再開できたり、前回の『笑語るひろば』では同年代の新しいお友達ができたりした。娘に報告したらとても喜んでくれた。やっぱりこうやって外に出ていくといいことがあるね!」
金沢では、現在も1,900世帯6,000人が広域避難生活を続けています。能登への帰還を望みながらも、金沢での暮らしを続けざるをえない人が過半に及び、中には、被災による多くの喪失とともに、自身の選択に心苦しさを覚えながら、慣れない地域で暮らす高齢者も多くいらっしゃいます。広域避難者の社会的な課題に対する認知は依然として低く、広域避難者は制度の狭間に置かれ、時間の経過とともに孤独・孤立が深刻化しています。
この半年間、広域避難者の方々との信頼関係を構築するため、リンクワーカーと当団体は丁寧な傾聴と対話を心がけてきました。はじめは緊張感があった広域避難者のみなさんも、継続的な接点を通じてフラットな関係性が芽生え、リンクワーカーとともに運営する『笑語ひろば』が参加者のみなさんにとって安心できる居場所になり始めていると感じます。
当団体はこれからも地域の団体や市民、そして当事者である広域避難者の方々と連携して広域避難者が安心して生活できる居場所づくり・地域づくりに取り組んでまいります。