都道府県 宮城県
助成額 2,910,000円
活動開始日 2024/4/1
活動終了日 2025/3/31
助成金で行った活動の概要
「能登を支える東北の会」は、令和6年元旦に発生した能登半島地震の緊急対応・応急・復旧・復興について、平成23年3月に発生した東日本大震災における被災者及び支援者が経験した教訓を伝え、地域コミュニティの維持・再生を基軸に添え、被災者発の復興を後押しすることを目的として結成しました。
主な活動としては、以下の3つです。
①東日本大震災などの教訓から能登の復興を考える勉強会(24年7月まで)
炊出し支援を通じた被災者との対話において、東日本大震災などのかつての被災地・被災者の復興について「なんとなくうまくいったのでしょう?」といった曖昧な成功イメージがあることが判明しました。しかし、東日本大震災の被災地は時計の針を20年先に進めたと表現される極度の少子高齢化が進むなど、「復興がうまくいった」とは言い難い状況です。そこで、東日本大震災などの災害復興に尽力した方に登壇してもらい、過去の被災地の現状や、得られた教訓を伝える勉強会を不定期に実施しました。能登現地での対面会場とオンライン配信も行い、アーカイブをYouTubeに公開することで、避難などによって現地で参加ができない方へも発信しました
②被災集落の地域コミュニティ再接続・再建のための伴走支援(24年1月~現在)
能登半島地震の被災地では金沢以南への「広域避難」が大規模に行われました。結果として、能登半島の人口6万人中4万人が一時的に地元を離れることとなり、地域コミュニティの離散が各地で発生しました。しかし、地域コミュニティが緊急・応急・復旧・復興の各フェーズで果たす役割は大きく、その自治機能を維持・発展させることは、被災者の生活維持・再建にとって非常に重要な要素となります。そこで、被災者自らによる集落の避難者台帳の作成および地域新聞の発行など、地域コミュニティの自律的な機能を維持・再生する伴走支援活動を行いました。建築家など専門家とつなぎ、被災者のニーズに沿った被災者発の仮設住宅や災害公営住宅団地の計画策定支援を行いました。
③令和6年奥能登豪雨災害への緊急対応(24年9月~3月)
9月下旬に発生した奥能登豪雨災害に対して、現地に滞在していた本会スタッフも孤立を経験しながらも、避難所の開設・運営、その後の民間ボランティアセンターに通うボランティアの方々の宿営所の開設・運営支援など、緊急対応を行いました。
活動日数 200日
支援対象者実人数 535人
支援対象者延べ人数 4,606人
参加ボランティア実人数 65人
参加ボランティア延べ人数 130人
本助成金による活動の成果
①東日本大震災などの教訓から能登の復興を考える勉強会(24年7月まで)
能登半島地震発災から3週間目の第一回目(本会代表阿部晃成登壇「新築の限界集落をつくらないために」)を皮切りに、6ヶ月で計10回の勉強会を実施いたしました。「住民の声を復興計画に反映させるには」「関係人口」「対立を乗り越えて」「撤退と再興の農村戦略」など、かつての被災者たちによる復興の厳しく切実な教訓をテーマとして取り上げました。主な参加者は被災当事者の中でも、復興への意欲が高い方々が中心となり、いわゆる「復興のキーパーソン」の発掘や、各地のキーパーソンの横つなぎなどの副次効果も果たせました。本勉強会は能登・石川県内の行政職員なども参加し、官民産学の枠組みを問わず、復興における様々な課題・問題への共通認識を醸成する一要素になりました。
②被災集落の地域コミュニティ再接続・再建のための伴走支援(24年1月~現在)
被災集落に対する伴走支援を行い、住民が中心となる自治活動の支援を進めました。具体的には、集落内の避難者台帳作成や地域新聞の発行を支援し、広域避難や仮設住宅への入居などにより離散の進む被災者同士の連携を促しました。また、建築士や不動産業会関係者などの専門家と協力して、集落内の災害公営住宅建設計画の策定支援を行い、地域特性に合った仮設住宅の選定や、地域住民の意見を反映させるための支援を行いました。これらの活動を通じて、地域コミュニティの再接続と再建が進み、復興に向けた強固な土台を作り上げることができました。
③令和6年奥能登豪雨災害への緊急対応(24年9月~3月)
想定外の二重被災となった豪雨災害においては、現地で活動していたスタッフにより道路網が土砂災害で寸断された輪島市(鴻ノ巣)深見町において、廃校になった小学校を利用した私設避難所の開設・運営・近隣住民の避難誘導、道路の仮復旧、被害状況の情報発信などがリアルタイムで行われました。緊急の役割が落ち着いたあとは、輪島市町野町にて開設された民間ボランティアセンターに通う泥かきなどを行う災害ボランティアの宿営所に利用すべく、深見町・町野町の両地区のキーパーソンを繋ぎ、協力体制を構築しました。
事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
能登半島地震の復興支援活動を行う中で、いくつかの課題が明らかになりました。
第一に、地域の高齢化が進んでおり、復興の担い手となる人材が著しく不足している点です。加えて、広域的な二次避難が進んだことで、地域を離れて生活する住民が多く、復興の議論に参加することが難しい状況があります。
また、在宅の方、集落外の仮設住宅に住まわれている方、金沢市等の「みなし仮設」に住んでいる方など、住まいの形態が分かれていることにより、地域コミュニティの分断も進んでいます。
さらに、災害を機に自治活動が途絶えた集落と、引き続き自治を行っている集落との間に復興格差が生じていること、公費解体が進められた結果として、地域住民の集会所なども失われていることも大きな課題です。加えて、建築費用の高騰や修繕に対する支援の乏しさから、地域に戻りたいと考えている高齢者が安心して戻れる仕組みが十分に整っていない現状があります。住宅再建や各種支援制度の選択肢も乱立しており、被災者にとっては情報の整理と判断が難しい状況にあります。
これらの課題を踏まえ、今後は次のような取り組みを進めてまいります。
まず、意欲はあっても手が回らない集落の区長に代わり、避難先の住民へのヒアリングを実施します。
また、災害公営住宅の集落内建設に向けた支援を行い、「戻りたい人が戻れる」仕組みづくりを進めます。加えて、これまで本団体が実践してきた支援の方法論を言語化・マニュアル化し、他の支援団体や将来の災害対応に活かせるよう共有していきます。 さらに、自宅修繕や空き家活用など、現実的な選択肢の可能性を広く訴えます。そして、中心部から離れた集落に戻った住民の姿を積極的に発信し、集約化一辺倒ではない「原型復旧」の選択肢を提示し続けます。
最後に、弁護士や建築士などの専門家との連携により、被災者にとっての「考える材料」を提供し、より納得感のある意思決定を後押ししていきます。
助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://www.facebook.com/ogatsu.abe.akinari
寄付してくれた人へのメッセージ
このたびは、「能登を支える東北の会」の活動にご理解とご寄付を賜り、心より御礼申し上げます。
私たちは、令和6年能登半島地震の被災地において、生活に密着した「集落単位」での支援にこだわり、住民に寄り添う伴走型支援を継続して行っている市民団体です。被災した集落の区長などのキーパーソンに繰り返し話を聞き、そこで暮らす方々が「集落として何を必要としているのか」をともに考え、支え合える地域の再構築を目指して活動してきました。
これまでの支援内容は、地域新聞の作成、集落内の被害状況の可視化、避難先にいる住民とのつながり維持、支援者リストの整備、そして祭りの再開支援など、多岐にわたります。これらはすべて、地域の最小単位である「集落」が自治機能を取り戻し、自立した復興へと歩み出すための基盤づくりです。私たちの支援は、一過性の応急措置ではなく、地元の力を引き出しながら続けていく「息の長い支援」であることが特徴です。
さらに、現場で得られた知見や課題を、学会報告やシンポジウムといった学術的な場でも発信し、集落単位での自治支援の重要性や復旧復興の過程で地域を離れる人への支援の必要性を主張しています。こうした実践と発信の両輪によって、能登の復興を社会全体の学びと今後の災害被災地につなげていくことを目指しています。
皆さまからのご寄付は、こうした活動の継続に欠かせない大切な支えです。今後も一つひとつの集落に丁寧に向き合い、そこに暮らす人々の声に耳を傾けながら、地に足のついた息の長い活動を進めてまいります。引き続きのご支援を、心よりお願い申し上げます。