志賀町における被災住民の自立支援

団体名 富来さくら会

都道府県 石川県

助成額 3,000,000円

活動開始日 2024/7/1

活動終了日 2025/3/31

助成金で行った活動の概要
能登半島地震の震度7、高齢化率5割を超えた地点にいます。1分近い揺れの後、辺りは目を疑う光景が広がりました。そんな中、地域の住民は、倒壊した家屋から近所の住民を引っ張り出し、ガレージや農業用ハウスに身を寄せ合っていました。自宅のあった場所を離れて仮設住宅で暮らす中、地域の絆が切れないように、世代間交流を通じて1日も早く自立して新しいコミュニティを再構築できるようにと、助成金を使って3つの活動をしました。①心まで暗くなりそうな暗くて危険な場所を明るくすること。②地域の住民が座って語り合えるベンチを設置すること。③体を動かし、世代を通じて楽しめること。
学校薬剤師の立場を生かして学校に協力をお願いし、まず小中学生たちに、次に仮設住宅の住民に意見を聞き、明るくしたいところと座りたいところの場所を募集しました。子供たちは大人の行動をよく見ていますね。住民目線で意見を出してくれました。子供たちが暗くて危ないと言ったところを中心に、ボランティアや地元住民達と電気代のかからないセンサーソーラーライトを設置しました。ベンチは、バス停でいつも高齢者が荷物を持って立って待っているところ、バス停のベンチが古くなっているところ、高齢者が地べたに座って話し込んでいるところ、景色がいいので座ってみて欲しいところなど、子供たちが町じゅうから探してきた座らせてあげたい場所に設置しました。各公民館へは、倒壊家屋から取り出した木で作ったベンチも設置しています。体を動かして楽しむためには、老人会からの希望でe-スポーツを取り入れました。老人会が10年前から希望していて叶わなかったそうで、指導役には小・中・高校と支援に入る大学生にお願いしました。楽しむもう一つはカラオケセットです。心がうつうつとこもらないよう、声に出して発散していただきます。いずれも、離れ離れになったコミュニティをつなぎ、自宅が残った住民と仮設住宅に住む住民が、新しいコミュニティを再構築するのに役立つのではないかと考えて実施しました。

活動日数 274日

支援対象者実人数 5,622人

支援対象者延べ人数 5,917人

参加ボランティア実人数 121人

参加ボランティア延べ人数 201人

本助成金による活動の成果
子供たちは大人の行動をよく見ていますね。小中学生の行動は、ほぼ徒歩と自転車ですから、車では通らない場所や、車で通ると怖さに気づかない暗くて危険な場所をよく知っていて、今まで暗かった場所が明るくなったと住民に喜ばれました。最近は、野生動物の出没も頻繁になりましたが、設置したセンサーソーラーライトは野生動物にも反応するので、出没が分かって危険が少なくなっています。家屋が倒壊した住民には仮設住宅が建てられましたが、十分な街灯がなく真っ暗で心まで暗くなると言われていました。夜に余震が来れば暗くて逃げられないだけでなく、玄関の鍵を開けられないほど暗く、中高校生が事故に遭わないかと心配するほどでした。設置したのはソーラーライトですから、電気代もかかりませんし、結構明るいです。明るくなって危険も少なく、喜んでいただいています。 ベンチも子供たちが指摘してくれた場所に設置しました。「地震以来引きこもっていた高齢者が、毎日ベンチに座るためだけに家から出て来ているよ」と住民から連絡が来ています。お友達とのウォーキング途中に、座っておしゃべりをする場所や、家の倒壊で車を失った高齢者がバスを待つ随所のバス停にも設置しました。各公民館区には解体家屋から取り出した木を使った木製ベンチも設置していて、失くした家を慈しむかのように喜んでもらっています。
eスポーツゲームは、世代間交流になります。今まで使っていたグラウンドゴルフ場は仮設住宅が建って使えず、e-スポーツが高齢者たちの運動不足解消になって大喜びなのですが、線をつないでスイッチを入れるところが慣れません。子供たちが、普段のゲーム感覚でラインをつないで遊ばせてやってくれています。孫世代に世話をしてもらって、高齢者たちは嬉しそうです。各公民館区や仮設の集会場にも設置してありますから、行政のフレイル予防にも取り入れられ始めています。前期高齢者集団は、やがてWi-Fiで町じゅうをつないで地区対抗大会をしようと意気込んでいます。
 カラオケは、準備ができたと公表すると同時に希望が出て、翌朝一番にレンタルに来るほど人気です。復旧復興はまだでも、今までのコミュニティから散らばった住民たちが、一堂に会して楽しむ機会となることを願っています。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
本会の役員には、当地区以外に日本の各地で災害対応を実施する立場の者も入っており、今後起きうる他地域での災害への学びにしています。見えてきている課題として、行政や各住民単位の地域の管理者に、ボランティアに対する考え方が一定ではないことがあります。ほとんどの住民も行政職員も管理者も被災するのは初めてで、被災地を支援した経験が無ければ当然のことかもしれませんが、考え方次第で支援は住民が自立して行動していく力になるものと考えています。「ボランティアは自己完結が原則である」と言われます。ところがこの言葉は「ボランティアは自己完結で何でもタダでやってくれる便利な人」と理解する人も中にはいて、ボランティアに対して注文やクレームの山が築かれます。我々は、住民たちが望む未来があって、それに対してボランティアは手を添え、力を貸してくれるものだと考えています。したがって、なんでもやってしまうのではなく、可能な限り住民も参加して、ボランティアとして手伝ってもらい、コミュニティの自立を心掛けました。ベンチやライトの設置も、希望を出した小中学生に現場確認に来てもらい、区長や住民の意見を取り入れました。中には私有地を提供くださった方々もあります。住民同士が仲間を集めて自立して動き始める地域は、コミュニティの結束が強まり、ボランティアに対して住民たちが感謝の集いまで企画・実施してくれるところも現れています。今後は、e-スポーツやカラオケセットを各公民館区や仮設団地のみならず、介護施設、地域の活動グループなど広く住民が地域行事に使えるよう案内しています。住民たちのコミュニティの再構築になっていくことを願っています。発災直後には難しい事ですから、各地域のBCP計画の中にボランティアの運用や被災地支援の経験にかかわることもあってもいいのではないかと感じます。



寄付してくれた人へのメッセージ
みなさんの寄付を使わせていただいてありがとうございます。今回の応募が採択されるまでは、私たちも寄付者の経験しかありませんでした。教えてくれたのは東日本大震災に遭ったあと各地に支援の恩送りをしているグループです。住民に教えて帰ってくれました。ハッと我に返った住民たちは、自分たちも何か支援をもらって頑張ろう!と思っただけの全員が後期高齢者。太刀打ちできないことに気づいて、発災以来夢中で住民支援をしていた薬剤師の我々に丸投げに来まして、締め切り間際の募集に飛び込むように申し込みました。当会代表は、発災以来避難所巡回を続けてきていましたし地元の複数校の学校薬剤師でもあり、当会役員の中に電気工事等の有資格者もいたので、住民の生活状況や設置のイメージもしやすかったです。助成金があったおかげで、待っても届かない行政支援を待つだけでなく、ボランティアの力を借りて住民が自分たちで力を合わせて動き始めました。みなさんの寄付が、震度7地点の住民の心を照らし、力づけています。
感心したのは、小中学生の子供達です。どこの避難所を巡回しても、子供たちの姿を見ることが少なく心配していました。遠方への避難や、若い世代の家が新しく倒壊を免れたこともあるでしょう。静かにしてくれていたこともあるでしょう。少ない子供が、避難所のアイドルになっていました。小中学生の子供達は大人たちをよく見ていて、「明るくしたいところ、座りたいところ」を募集しましたら、「明るくしてあげたいところ、座らせてあげたいところ」を探してきたのです。子供たちの心を生かして、世代間交流につなげられることは、大変幸運に思いましたし、皆さんの寄付が子供たちの心も育んでくれています。
暗くて不安なところを明るくするだけで人の心が明るくなり、座るところがあるだけで人は語り合い、世代間が共有できる道具によって小学生から後期高齢者までをつなぐことができます。みなさんが寄付して下さったおかげ、みなさんの寄付を助成金として使わせていただいたおかげです。
当地は、能登金剛国定公園内にある自然豊かな土地です。地震で道路も大地も凸凹にはなっていますが、豊かな自然は残されています。当会の名前の由来である桜貝をはじめ36歌仙貝の流れ着く浜もあります。皆さんの寄付が生かされているところをぜひ見に来てください。この度は、本当にありがとうございます。