都道府県 兵庫県
助成額 2,550,000円
活動開始日 2024/3/1
活動終了日 2024/9/30
助成金で行った活動の概要
1 2次避難所への避難者訪問「お元気ですか」プロジェクト
奥能登の被災地である珠洲市や輪島市などから、金沢市・加賀市:白山市に広域避難を行い避難生活を送っている方の思いに寄り添い、少しでも感情・思いを出す機会をつくるとともに、現状を把握するための訪問聞き取り活動を実施する。
2 炊き出しプロジェクト
社会福祉施設・事業所の利用者・職員・周辺地域の住民が、被災地外のボランティアと一緒に炊き出しを楽しみ、交流する機会をつくるために、「炊き出しプロジェクト」を立ち上げ、珠洲市内、輪島市・能登町・穴水町の社会福祉施設、2次避難所(加賀市ホテル百万石)にて合計〇回実施した。
3 聴覚障害者等の障害就労支援事業所「やなぎだハウス」復旧・応援プロジェクト
被災した「やなぎだハウス」の事業再開に向けた支援を開始した。支援内容として、①事業再開のためのサポート職員派遣、②福祉仮設建設支援、③利用者の手作り作品の販売促進支援を実施した。
4 よりそい居場所づくりプロジェクト
社会福祉施設の利用者と周辺地域住民等が集い、ほっと一息つける居場所づくりをしたいという施設の声に寄り添い、施設が主体となった居場所づくりの側面的な支援を開始した。輪島市内の2ケ所の福祉施設にて、計4回の支援を行った。
5.タッピングタッチ・心のケアプロジェクト
自らも被災しながら走り続けてきた社会福祉施設の職員と避難生活を続ける利用者の心のケアを目的に、セラピスト派遣を行った。合計7日、8ケ所での支援活動となった。2次避難所にも出向き、涙を流す体験者も見受けられた。また、職員研修を兼ねた場づくりを希望し、研修を受けた職員が利用者に対して継続的な支援を行う動きも生まれることとなった。被災地においてはじめてのタッピングタッチ提供の機会となり、充分な手応えが感じられた。
活動日数 158日
支援対象者実人数 694人
支援対象者延べ人数 4,447人
参加ボランティア実人数 228人
参加ボランティア延べ人数 434人
本助成金による活動の成果
1.ふんばる社会福祉施設の職員と利用者、地域の思いによりそうことができた
本ネットワークは、地震直後から被災した社会福祉施設への調査活動を行い、物資支援と専門職派遣支援を行ってきた。そして、広域避難を選択しなかった社会福祉施設への専門職派遣支援の継続と合わせて、新たに積み重ねることが望ましい5つのプロジェクトについて、本助成金により活動を積み重ねることができた。
本助成金による活動では、関係者のさまざまな思いにふれることができた。
「能登に帰りたい思い」「あたたかい、おいしい、選べるメニューの炊き出しをたべ、非常食ばかりの生活から抜け出せてほっとしたような、ちょっと嬉しい思い」「地震さえなければできることをやってみたい、できてしまった、前進への意欲」「ボランティアから感じられる安心感」「先の見えない不安感」「食生活が乱れていることへの不安感」「行政や支援への不満感」「被災により生活環境が変わったことによる生活のしづらさ」などなど。プロジェクト支援だからこそ、時間をかけて心や身体にふれて、声や声なき声に耳を傾けることができた。
2.ふんばる社会福祉施設の職員から、復興への意欲を感じることができた
震災後、3月末になっても、断水対応が必要な避難生活が続く社会福祉施設がいくつかあった。事業再開のメドがつかなくても、広域避難を選ばず「能登でふんばる」職員と利用者たちは、支援を活かして交代で休みを取り、支援の質の向上や地域との連携を模索する動きが生まれた。能登町にある聴覚障害者の就労支援事業所である「やなぎだハウス」は石川県聴覚障害者協会が運営しており、平時には能登地域の聴覚障碍者のコミュニティづくりや手話通訳者養成などに取り組んでいた。「被災した生活困窮者に終の棲家を提供できないか」「少しでも早く授産活動を再開し1円でも多く工賃を支払いたい」など、前向きな受援を受けるため情報発信を続けていた。
複数の社会福祉施設が、「これだけの応援をもらったのだから、利用者や地域のためによりよいサービスや交流の機会を作っていきたい」と力強く復興への思いを語れるまでになった。
事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
「広域避難」に対して、懐疑的な視点を持っていた。「住みなれた地域を離れる避難生活」リスク・福祉施設BCP推進支援などへの総合的な見地から行う避難トリアージ指標は示されず、奥能登被災地で苦難を抱える社会福祉施設への支援が展開されたことに違和感があった。そのため、広域避難に応じず、「能登でふんばる」選択をした社会福祉施設の職員と利用者によりそうことを願い、本助成金を得て継続的支援を行うことができた。コーディネーターによる相談支援、専門職派遣、プロジェクト活動を積み重ねることにより、福祉施設職員の不安や疲労感に配慮し、利用者や地域とともに前に進むきっかけづくりを行うよう取り組んだ。結果として、「能登でふんばる」選択をした社会福祉施設・事業所の方が、広域避難を選択して離散状況に陥った社会福祉施設・事業所よりも、早期の事業再開を実現できた、と考えている。また、施設利用者は、サービスや支援を住みなれた地域で受けられることにより安心感があった、と見立てている。また、2次避難所の避難者において、孤立避難となった避難者ほどとまどいと先の見えない不安が高く、地域まるごとの避難を選択した避難者たちは「みんなでできるだけ早く能登に帰る」「同じ地域の人に行政から連絡があったならば、自分も」などと、住みなれた地域に近づくための具体的な言動に至りやすかった。今後は、水害により、二度の被災を受けた社会福祉施設や被災地域のみなさんが、絶望せず「能登でふんばる」ことをあきらめないでいられるよう、支援のあり方を模索する必要がある、厳しい状況がある、と考えている。支援した事業所では、福祉人材の不足が共通課題となっている。今後は、「復興と福祉のまちづくり」にむけた協議の場や検証の機会が必要である。
助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
http://www.facebook.com/noto.fukushi/
寄付してくれた人へのメッセージ
この度は、多額の助成を頂き、ありがとうございます。
本ネットワークでは、被災した社会福祉法人とその周辺地域に対する支援に特化して活動を継続してきました。特に、本助成活動では、複数のプロジェクトを並行して継続的に展開することができ、被災した施設職員や利用者の声に耳を傾け、復興への思いによりそうことができました。
災害救助法による支援の内容には、たとえば「医療及び授産」「遺体の捜索」などがありますが、「福祉」については位置づけられていません。福祉専門職は公務での支援を行いづらく、被災した福祉施設・福祉事業所は、ボランティア活動による支援に頼らざるを得ない状況に置かれることとなります。能登半島地震被災地では、介護事業が基幹産業と言われていました。しかしながら、社会福祉法人などが運営する福祉施設・事業所が被災した後に、「一般企業と平等」の支援しか受けられなかった場面が見受けられました。支援は不足していると考えられます。
そのような状況だからこそ、専門職や学生ボランティアによる支援が必要となりますが、支援ボランティアが全ての諸経費を持ち出し負担して活動を継続することは難しく、活動の継続性が担保できない状況でした。本ネットワークは本助成金により継続の可能性を得ました。
寄付者のみなさまには、あらためて感謝申し上げます。
今後の被災地支援においては、被災者への「福祉」の提供は公的支援に位置付けられる必要があると考えられます。同時に、専門職と学生がボランティア活動として支援を継続することで、復興への意欲や希望は高まります。
民間の助成金により、「災害時の福祉現場でのボランティア活動の継続」が可能となるよう、今後も変わらない支援を賜りたいと願います。