都道府県 愛知県
助成額 2,140,000円
活動開始日 45302
活動終了日 45657
助成金で行った活動の概要
〇情報提供:支援に関する情報を掲載した情報紙「あおぞら・能登」の発行(第1~3号)、交流相談会や各種イベント案内チラシなどの支援関連情報を、愛知県関係部局(建築局、高齢福祉課)や県内各市の住宅部局などを通じて行政が把握している避難世帯へ情報提供を実施した。当ネットワークと直接のつながりができた避難世帯には、ネットワークから直接電話や郵送にて交流会等の情報提供も行った。
〇交流相談会の開催:避難者同士や支援者とのつながりを作ること、避難元や避難先で抱える課題解決のための場として、交流相談会「じんのび能登カフェ」を開催。避難者同士がリラックスして楽しく交流できるように、ランチ交流やハーブ手浴、念珠づくり等を実施した。また、石川県行政に復興状況や支援制度に関する説明と個別相談をしていただき、弁護士や司法書士、臨床心理士、在宅保健師等の専門家による相談対応も行った。
〇個別訪問(物資配布):名古屋市社協・被災者支援ボランティアセンターなごやと連携し、愛知県内の避難世帯へクオカードやお米、生活消耗品等の配布を通じた個別訪問を実施。今後の支援につなげていくため、避難者の現状把握(世帯状況、罹災証明書発行の有無、公費解体など各種支援制度への申請の有無、今後の住まいの見通し、その他困り事など)を行った。当ネットワークでは、避難世帯の個人情報を持っていないため、行政の住宅部局の協力を得て、行政から公営住宅避難世帯に対して訪問調整や訪問同行などをしていただいた。また、個別訪問時に当ネットワークへの避難者登録を任意でしていただくことで、避難世帯と直の関係性を築いていった。
〇支援制度等の情報提供および説明、申請業務のフォロー:「被服・寝具その他生活必需品の給与(災害救助法)」や民間支援団体による家電支援の申請サポートなどを行った。公営住宅の無償提供に関しては、行政との情報交換を随時行い、延長等に関する情報提供を行うなどした。
〇県・市町村、専門家等との情報交換:愛知県や避難者がいる市町村を訪問し、避難者や支援に関する情報交換および意見交換を実施した。避難者一人ひとりの生活再建に向けた個別支援に心がけるため、専門家や支援者関係者と避難者が抱える諸問題の課題解決や課題提起、支援の提案をする会議や意見交換を実施した。
活動日数 168日
支援対象者実人数 89人
支援対象者延べ人数 332人
参加ボランティア実人数 55人
参加ボランティア延べ人数 66人
本助成金による活動の成果
・情報紙「あおぞら・能登」を発行することで、避難者に当ネットワークの交流相談会や個別訪問(物資配布)、愛知県の相談窓口など、愛知県内の支援に関する情報を届けることができた。当ネットワークとしては、当初は避難者の個人情報を持っていなかったが、愛知県関係部局(建築局、高齢福祉課)や県内各市の住宅部局などの協力を得て情報提供ができたことにより、避難者本人または受入家族から問合せや相談が入るようになり、避難者との関係作りにつながった。
・交流相談会を開催することで、石川県行政に仮設住宅入居や公費解体についてなど、公的支援の手続きに関する確認や相談ができたり、弁護士等に被災した自宅や土地のこと、保健師に健康についてなど、様々な悩みや疑問を専門家に相談してもらうことができた。避難者からは「心配事、気にかかっていた点を相談でき、何をしなければいけないかわかって良かった」という声があり、避難者が抱える不安の解消につなげることができた。同郷の避難者同士が集うことで、慣れ親しんだ地元の言葉で気兼ねなく話をすることができたり、同じように避難している人がいることを知ることで、避難者の孤独感を癒すことにもつながった。
・お米や生活消耗品の物資を配布することを通じて、避難世帯への個別訪問をすることができ、避難者の生活状況や支援制度の活用状況、今後の住まい見通し、抱えている課題や心配事などの現状把握をすることができ、安否確認や個別支援につなげていくための信頼関係作りにつながった。訪問のアポイント調整を行政を通じて行うことで、避難者が安心して民間支援を受け入れるきっかけとすることもできた。また、当ネットワークへの避難者登録をしてもらうことで、避難世帯と直接つながる関係性を築いていくことができた。
・「被災地では受けられる物資支援が、避難先では受けられないことについて困っている」という声が多く聞かれたが、行政に相談して「被服・寝具その他生活必需品の給与(災害救助法)」を申請できるようにしたり、民間支援団体による家電支援の申請サポートを行なったり、避難先社協と連携して物資支援を行うなどして、様々な方法で物資のニーズに応えていくことができた。
・行政や専門家等と避難者や支援に関する情報交換や意見交換をすることにより、お互いに協力し合いながら支援をしていける関係性を築いていくことができた。
事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
・当初は能登半島地震広域避難者とのつながり作りが課題であったが、行政を通じた情報提供(4回実施)、行政や社協、専門家等と連携した交流相談会の開催(3回実施)、避難者の把握と信頼関係構築のための物資等配布を通じた個別訪問等の活動ができたことで、現在までに26世帯とつながることができた。しかし、愛知県内公営住宅への避難世帯でも未把握世帯があること、岐阜県や三重県への避難世帯や親せき宅等に自主避難している世帯、高齢福祉施設に2次避難している人については、殆ど状況が不明であることから、引き続き行政や支援関係者と連携し、実態把握を進めていく必要がある。
・避難者は、仮設住宅が決まって帰還する人もいれば、避難元での生活再建は難しいと定住を決めた方、今後の見通しが立っていない方など、それぞれ状況が異なる。また、避難元の住宅や土地に関する不安や避難先での生活に対する不安の声、生活物資の支援や同郷の避難者との交流を希望する声などを聞いており、心身の健康に心配がある世帯や福祉支援が必要な世帯も見えてきていることから、一人ひとりに応じた支援を継続して行っていく必要がある。
・能登に帰還した世帯が避難元での支援にスムーズにつながるよう、避難世帯の把握情報や支援経過をまとめた個別カルテを、連携している帰還先の地元社協等に共有できるようにし、地元での見守りが継続されていくように取り組んでいく。
・災害救助法による被服・寝具その他生活必需品の給与は避難先でも申請することができたが、避難先行政によっては申請を受ける枠組みがないということで申請ができなかったり、公営住宅の無償提供の期間も避難先行政で異なったりと、避難先で受ける支援に差があることも課題となっている。それぞれの避難先地域で実施されている支援の好事例や避難者の声を行政や支援関係者と共有していくことで、広域避難者に対するよりよい支援体制をつくっていく必要がある。そのため、支援に関わった専門家等と意見交換を実施し、能登半島地震避難者支援の取り組みと今後の課題をまとめた報告書を作成していく予定である。
助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://rsy-nagoya.com/rsy/blog/2024/09/noto-nw-aichi.html
寄付してくれた人へのメッセージ
この度、皆様からのご寄付・ご支援によって、能登半島地震による広域避難者への支援活動をさせていただていること、心より御礼申し上げます。
当団体は、東日本大震災の広域避難者支援を13年継続してきていますが、住み慣れた土地から離れた広域避難の場合、支援情報が届きにくく、相談先もわからず、これまでのコミュニティからも分断されてしまうため、孤立状態に陥るリスクが高まります。特に今回の能登半島地震による広域避難者は、高齢者が多く、我慢強い気質もあり、避難者本人から連絡があることは殆どないため、積極的なアウトリーチによる支援が必要となります。能登半島地震によって東海地方に避難した方々の状況を把握し、避難先や避難元の行政および社会福祉協議会、専門家(弁護士・司法書士・臨床心理士・保健師等)と連携しながら、一人ひとりに応じた生活再建の支援を継続して実施していきたいと思います。
また、災害における広域避難者支援については、まだまだ社会的に知られていない分野であり、支援体制も整っていません。しかし、今後の災害でも広域避難・2次避難者がでてくることは当然予想されるため、今回の能登半島地震の広域避難者支援の経験なども踏まえて、今後の支援の在り方や地域社会の理解促進にも努めていきたいと思っております。今後ともご支援とご協力をどうぞよろしくお願いいたします。