オーバーエイジで来日した外国籍生徒等が学べる状況を高校内外につくる事業

団体名 認定特定非営利活動法人茨城NPOセンター・コモンズ

都道府県 茨城県

助成額 2,432,616円

活動開始日 2023/10/1

活動終了日 2024/9/30

助成金で行った活動の概要
茨城県県西地域には、近年、パキスタン、アフガニスタン、スリランカ、インドなどから来日する子が増えています。15歳以前に来日した場合は、公立中学校に就学できますが、タイミングが悪い年齢を理由に就学できません。そのような場合でも日本の高校に入りたい場合、誰かが高校選びや受検手続きの支援をしたり、日本語や教科の学習の場をつくる必要があります。茨城県の県西地域には、外国籍生徒を重点的に受け入れる高校が2022年度にでき、実際に1学年の3分の1が外国籍生徒という状況になっています。受検のハードルが下がったのはいいことですが、そもそも高校で何を学習するのかもわからいまま日本語ゼロに近い状況で入学した場合、入学後に不適応になりやすい状況があります。
そこで、当会は2023年10月から2024年2月の受検まで、常総市と、筑西市でこうした受検生向けの教室を運営しました。クラスでは、日本の高校の仕組み、高校の選び方、茨城県の外国人特例選抜のしくみについて説明しどの高校を受検するかを保護者も含め検討しました。多くは通えて、外国籍生徒への配慮があり、且つ入学可能性がある高校を選びました。次に、願書を取り寄せ記入の仕方を教えたり、日本の中学校に入れなかった生徒には、母国から中学校の卒業証明書を取り寄せるなど受検申請手続きを個別に行いました。外国人特例選抜は3教科の学科試験と面接なので、面接に備えるための練習を何十回もくり返し行いました。一部の生徒は1次試験で落ちてしまいましたが2次支援で救われなんとか30名全員が高校に入ることができました。
 当会は、こうした生徒が入学した高校にも通訳や相談支援で関わりました。2024年の夏には、こうした外国籍生徒の仲間づくりと地域参加のために、地域にある世界のお店などを取材して紹介動画を作成する活動も企画して行いました。2024年も8月から受検に向けた学習会がスタートしています。
さらに在留資格の問題をクリアしないと就学、進学できない世帯もあるので弁護士などを交えた相談会も行いました。親が難民申請中特定活動の場合、就労できないために経済的に厳しくなるほか、住民票がないことから就学、進学できないケースもあります。そのようなケースにいくつもよりそい相談支援を行ってきました。

活動日数 60日

支援対象者実人数 50人

支援対象者延べ人数 600人

参加ボランティア実人数 8人

参加ボランティア延べ人数 150人

本助成金による活動の成果
当会は以前から、日系ブラジル、フィリピン人向けの学習支援は行っていましたが、パキスタン、アフガニスタン、スリランカといった国から来た生徒向けの本格的な教室運営は初めての試みでした。パキスタン出身のスタッフがいたことで、生徒や保護者とのやりとりがスムーズにできたことで参加する生徒が増えたと思います。スリランカの生徒は英語が話せる生徒が多かったですが、パキスタン、アフガニスタンの生徒への指導ではウルドゥ語やパシュトゥ語を交えた方が伝わりやすかったです。
 従来活動してきた常総市に加えて、昨年はスリランカの人が急増している筑西市でも夜間に教室を開催することができました。地元の国際交流ボランティアの方々が会場手配に協力してくださり、日本語指導にも協力していただきました。常総教室にも元校長先生がボランティアで参加してくれたり、日本語学校の先生、留学生、高校の先輩など多様な人が協力してくれました。このように、コモンズスタッフ以外に多くのボランティアと共に活動ができたことも大きな成果だったと思います。教科学習に関しては数学の言葉が理解しにくいため、英語の対訳がついた解説書を作成しました。また社会科の歴史も学習が難しいのですが、用語を覚えやすくするためのカード教材も作成しました。
 2024年の8月に行った、外国籍高校生による常総市の世界のお店の紹介動画作成活動では、日本語はあまり話せなくても、母語を生かして、母国につながるお店、料理、などを日本人に紹介することができ、多様な世界とつながっている生徒たちの強みが生かされました。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
土曜日に開催した教室には、古河市など車で1時間もかかる地域からも生徒が集まりました。中には2時間以上かけて自転車でくる生徒もいました。それほどこの地域にはオーバーエージの学びの場が少ないのだと思います。水曜の夜に行った教室には、スリランカの生徒が多くきてくれましたが、近隣にいるはずのパキスタンの生徒は殆ど来ませんでした。告知の難しさを感じました。母国語が話せるキーパーソンが教室にいることが重要だと再確認しました。
 県西地域にある高校にはパキスタン、アフガニスタン出身のオーバーエージの生徒が増えています。常総市にある公立の夜間中学校の生徒も7割がパキスタン人です。高校はもちろん、夜間中学も教科を学ぶ場であり日本語を教える場ではありません。けれど生徒の多くは、安く日本語を学べる場として通ってきている現実があると感じます。もちろん教科学習に熱心に取り組む生徒もいますが、日本語力が乏しい生徒の中には教科学習についていけず問題行動を起こす生徒もいます。生徒も教員もストレスを感じている状況が問題です。
 こうしたことを防ぐには、高校などに入る前に、オーバーエイジの若者や社会人が高い月謝を払わなくても通え、週に数時間とかではない日本語教室が増える必要があります。茨城は人口が分散し公共交通も限られているので教室ができても通えない生徒がいます。そうした生徒には、オンラインで日本語を学べる環境も必要になります。
 さらに、オーバーエイジでなくても学校に通えていない外国ルーツの子も多くいます。難民申請中の家族の場合、2,3カ月の短期の在留資格しかないため住民登録ができません。そのために就学通知が来ないのです。住民登録できていても、経済的理由で就学できない、幼い弟妹の子守や家事手伝いで就学できない、女子という理由で学校に行かせてもらえない子もいます。そうした状況を行政もなかなか把握しようとしていない状況があります。
わたしたちは、このような不就学状況にある子が就学できるよう、教育委員会への働きかけを行っていきます。住民票がなくても就学したり、就学援助が受けられるようにすることが必要だからです。当会が運営するシェアハウスに入居することで住居を明確にして就学支援も行います。
女子を日本の学校に通わせられないというパキスタンの保護者にもムスリムコミュニティを通じて働きかけを行ったり、女子が家を出て来られる場を作ったりして行こうと思います。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://www.npocommons.org/blog/2110/



寄付してくれた人へのメッセージ
皆さまの御支援により、学校に入りたいけれど入れない、日本語や教科を学べる場がないという子どもたちの支援を続けることができました。このような子の多くは長く日本で暮らしていきます。そうした人財が学ぶ機会を得て社会の担い手に育つことは社会の将来にとっても意味があると思います。このような場を地域に広げて行くためにも引き続き御支援くださいますようお願いします。

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