都道府県 兵庫県
助成額 1,000,000円
活動開始日 2023/10/1
活動終了日 2024/9/30
助成金で行った活動の概要
本事業では、2つのアウトリーチを柱に活動を行った。情報や物資を直接届ける直接アウトリーチと、インターネットを介した情報の伝達やネットワーク構築のためのインターネットアウトリーチである。
直接アウトリーチでは、主に神戸近郊にコミュニティがないエスニシティ(ミャンマーとネパール)のコミュニティづくりを行った。どちらも近年来日者が急増したために、エスニシティ内でのつながりが薄く、悩みを抱えても個人で対処するしかない状況にあった。
ミャンマーは技能実習生や日本語学校学生が多く、若年ながら横のつながりが希薄であった。また地域にミャンマー物資を販売している場所も少ない。そのため、キーパーソンを中心にミャンマー食材を集め配布すること、横のつながりをつくることを目的にミャンマー交流会を4回実施した。回を重ねるごとにニーズが表出され、ミャンマー料理を食べる、スポーツ大会やミャンマー語でのカラオケ、生活ルールに関するガイダンス実施など内容も充実していった。
ネパールは年齢層の幅が広い。その中でも若年層には「家族滞在」の在留資格をもつ人が多く進学や就職の際に課題を抱えやすいが、キーパーソンが一人で対応している事態が見られた。そのため、若年者が自分の状況や課題を出し合い情報を交換すること、横のつながりをつくることを目指す集まりを3回行った。食糧支援には否定的な文化背景があったため、その場で食べられる食事の提供や学業に使える物資の提供がメインとなった。
その他、ベトナム、中国内モンゴルのグループへは子どもの食糧や遊びを通じた居場所づくり、日本社会とのつながりづくりとしてウクライナは「文化交流会」を6回行った。
インターネットアウトリーチでは、多言語情報サイトへのミャンマー語とネパール語表示の追加、ミャンマーとネパールの各言語のSNS開設の2つに取り組んだ。
多言語情報サイトの整備は下記の理由で大幅に遅れてしまったが、既存の情報を外国ルーツ住民に届けるため、HP自体と記事内容の多言語化を進めた。
翻訳者が各グループでよく聞かれる質問や悩みを取り上げ、新規の情報収集と記事化も行った。SNSでは、両エスニシティで使用者が多いFacebookアカウントを作成した。多言語情報の公開が整備されるまでは主に交流会に関する情報を発信した。
活動日数 127日
支援対象者実人数 126人
支援対象者延べ人数 338人
参加ボランティア実人数 41人
参加ボランティア延べ人数 237人
本助成金による活動の成果
まず各エスニシティに配慮した直接的支援を行った。食糧支援、服や生活用品などの物資提供、居場所づくりなどである。特にミャンマーやネパールなど同じエスニシティをもつ人との関係性が希薄な人にとって交流会は情報交換の促進や、関係性を拡大し孤立の予防になった。アンケートによって参加者の知人への食糧支援につなげることができた。アルバイトや緊急の住居探し、在留資格の相談と弁護士への依頼、仲介会社とのトラブル相談など、具体的な相談と解決の場となった。
特にミャンマーグループでは、助成期間終了後もコミュニティ活動を継続する基盤を整えることができた。回を重ねるごとに周知範囲が広がり、知人がまったくいなかった人が来始めたことに表れている。その間に、当初より活動を担ってきたキーパーソンのほかに、コミュニティサポートに関心をもつ人が現れた。
中国内モンゴルやウクライナのグループでは日本社会とのつながりがほしいというニーズが表出され、料理教室や文化交流会という形で相互がかかわる場を設けた。内モンゴル、ベトナムでは子どもへの支援を手厚くしたいというニーズがあり、内モンゴルの子どもたちには食糧支援、ベトナムでは遊びと食事を共にする場づくりを行った。各グループの特徴的なニーズに応じて、必要な場所を創出した。
インターネットアウトリーチでは、社会資源の整備が追い付いていないミャンマー、ネパールへの支援を拡充した。これらの言語で情報提供するサイトは少なかったが、情報から取りこぼされる人の軽減につながった。コミュニティの中でいろいろ尋ねられる立場にあるキーパーソンも知らなかった情報を今回の翻訳過程で獲得し、コミュニティに還元する状況もあった。HPの活用運用には至らなかったが、情報を届ける基盤を整えることができた。
SNS運用では、Facebookの登録者はどちらも220名前後になった。ミャンマーは神戸近郊に在勤在住の人のみ友達となっている。当初は想定していなかったが、SNSに併設されているメッセージ機能での相談も3件受けた。インターネットを活用した情報提供と相談の仕組みを構築することができた。
相談の中でも数が多かった住宅に関して、外国人への物件提供と契約の適正化を企業メセナとする不動産業者との連携締結を行った。助成事業は、外国ルーツ住民が抱える課題へ対処していくための新たな課題発掘と課題軽減のスタート地点となった。
事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
コミュニティづくりで想定していた困りごとは、食糧や情報が不足していることであった。しかし、聞き取りを重ねる中で表出されたのは、専門的な力量や知識、ネットワークが求められるアルバイトや緊急の住宅探し、在留資格の相談などであった。アルバイト探しでは、あまり話さなくてもよい職種がいい、面接の応募方法もわからないなど文化的背景が異なる故の特別ニーズがあった。家探しでは緊急シェルターではなく、長く住める外国人でも契約できる家を探したいなどの相談が多く出された。こうした生活課題の背景に、日本語学校の変化が挙げられた。従来は日本語学校が手厚く対応していたが、来日者の急増を受け、日本語学校が十分に対応できない、もしくは人権感覚をもたない場所が増えているという。アルバイトの紹介が追い付いていない、ビジネスの利益のために、本人が望まない専門学校への進学を強く勧める、虚偽の条件を伝達し劣悪な環境の寮に居住させるなどである。よりニーズが高く、専門性の必要な住宅や求職に関する相談に対応できるようにする必要がある。同時に、日本語学校を監督する省庁や県との連携など是正活動も行いたい。
エスニックコミュニティの自立へ向けた支援も求められている。ネパールのコミュニティでは大学生がキーパーソンとなり本事業を進めた。だが、次年度からは社会人となりコミュニティを支えていくことは困難だろうと話している。支える人が変わり助成期間が終了しても自分たちの居場所、自助グループとして活動できるようにするための伴走支援も行いたい。
多言語ホームページを活用した情報提供ではHPの仕様変更に時間がかかってしまい、個別の記事を届けることができなかった。記事の公開以前に、ホームページ自体の多言語化や翻訳チェックが遅れの原因になった。言い換えれば、今回の事業で記事活用の土台は整備することができたため、全国的に広げるための工夫が今後の課題である。
SNSはその特性上、似た属性の人が集まりやすかった。若者のフォローが多いと若者には広がるが、その他の年齢層には広がりにくい。それはジェンダーの点でも同様である。各エスニックグループに特化したアカウントづくりと、一定の層に広げることには成功したが、エスニシティの中での多様性に配慮したSNS作成や運用へと発展させたい。
助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://www.facebook.com/profile.php?id=61554561012764
https://www.facebook.com/profile.php?id=61555922964403&locale=ja_JP
寄付してくれた人へのメッセージ
外国ルーツ住民は社会の色々なところで、いまだ不利な状況に置かれ、暮らしにくさを抱えています。情報が届かず困ったときに相談場所がわからない、日常の小さなことも解決方法を探すことに苦労しているなどです。今回の助成事業では、ホームページやSNSの整備による情報発信の基盤を整えたり、孤立予防のためのネットワーク構築をしました。その結果、生活に困っていた留学生や日本語学校の学生、大学生への物資・食料・情報提供支援などを実施することができました。社会で暮らす一人ひとりが安心できる環境を整えることは、誰にとっても安心できる社会づくりにつながります。皆様のご寄付のお陰で、言語がわからない、働き先を見つけられられない、住居探しが難しいなどの課題に対応することができました。ありがとうございました。
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