介護施設で働く外国人介護スタッフを支援するための社会発信事業

団体名 特定非営利活動法人 介護保険市民オンブズマン機構大阪

都道府県 大阪府

助成額 2,086,026円

活動開始日 2023/10/1

活動終了日 2024/9/30

助成金で行った活動の概要
介護施設で働く外国人介護スタッフを支援するために、また施設へのアンケート調査を通して外国人介護スタッフ受入れの現状と課題を把握し社会発信していくために、下記の事業を実施した。
❶応援隊活動:養成講座を受講して活動の趣旨や方法を習得した「応援隊」が、月に1回定期的に外国人介護スタッフと日本語で面談し、日本語のサポートや悩みごと等の聴き取りと施設への橋渡しを行う。支援対象者数(外国人介護スタッフ)延べ37人、活動応援隊員数26名、受入れ施設数延べ12か所。
❷応援隊ミーティング:応援隊員が一堂に会し、活動内容の共有や情報交換、応援隊員の交流を図る。日本語や介護などの専門家から助言を受ける機会も設ける。年間5回、ハイブリッドで開催。
❸企画委員会:事業の運営・展開等について検討する。メンバーは、施設関係者・日本語教師・地域福祉関係者・研究者・事務局員(2名)の7名。下記「④第4期応援隊養成座」「⑤施設アンケート調査」「⑥報告書作成」についても、それぞれの立場から活発に協議・検討を行った。年間5回、オンラインで開催。
❹応援隊養成講座:新たな活動の担い手を育成するため「第3期応援隊養成講座」を12月に開講(23年度)。また24年度事業として「第4期応援隊養成講座」開講に向けて募集要項を作成し、関係各所に配布。6月~7月にかけて「第4期養成講座」を実施した。
❺施設アンケート調査:アンケート項目を検討し、大阪府内の特養・介護付有料764か所を対象に、外国人介護スタッフ受入れや支援体制、課題を尋ねる調査を実施し、111か所から回答を得た。大阪市・大阪府・大阪市老人福祉施設連盟・大阪府社会福祉協議会老人施設部会の後援も受けた。
❻報告書の作成および社会発信:上記⑤のアンケート調査結果をまとめ、見えてきたことや課題を浮き彫りにした。また巻末資料として、応援隊活動を紹介。対応してきた外国人介護職員の困りごとに関する主な事例も掲載した。また府内の特養・介護付有料、研究者、マスコミ等に配布するほか、マスコミやSNSで報告書に関心のある人が入手できるよう広報し、社会への発信と活動の周知につなげていくよう努めた。

活動日数 115日

支援対象者実人数 37人

支援対象者延べ人数 182人

参加ボランティア実人数 26人

参加ボランティア延べ人数 183人

本助成金による活動の成果
❶課題だった応援隊と受入れ施設とのコミュニケーションが進むようになった:事務局が施設の担当者に直接依頼したり、応援隊にも意識して施設と面談を持つよう呼びかけたりしたこともあり、施設と応援隊とのコミュニケーションかなり進むようになってきた。2024年3月に実施した受入れ施設アンケート(回答10施設、複数回答)では、「とてもよかった」(4件)「よかった」(5件)と9割の施設から好評価を得た。応援隊が外国人職員の困りごと等を施設に橋渡しすることによって「自分たちが知らなかったこと・気づかなかったことに触れる機会となる」(7件)「外国人職員への対応について改めて考える機会となる」(5件)「詳しく尋ねられることもあるが、信頼関係を築く上では必要なことだと思っている」(2件)などの回答を得ることができた。
❷日本語だけでなく、暮らしや健康に関する相談も寄せられるようになってきた:応援隊受入れ施設において、応援隊活動が浸透するにつれ、支援対象の外国人介護スタッフから、家族のことや健康に関することなど、日々の生活の中での困りごとの話も寄せられるようになってきた。以前は「日本語上達」や「介護福祉士国家試験受験」など、資格取得のニーズが多かったが、23年度以降は、帯同した家族のこと、夜勤対応の難しさ、腰痛の悩みなど、仕事や暮らしに関するさまざまな困りごとも表出されるようになってきた。
❸外国人介護職員受入れアンケート調査で、興味深い結果を引き出すことができた:多くの施設が外国人スタッフの定着には「きめ細かな声掛け」が欠かせないこと、また制度的には「在留期間の長期化」を望んでいることが明らかになった。一方で、地域社会や市民を巻き込んで外国人スタッフを支援していこうという意識はまだ希薄であることが明確になった。都道府県では外国人の受入れ調査を実施しているところもあるが、上記のように他にはない興味深い結果を引き出すことができた。
❹「外国人介護職員受入れアンケート調査報告書」という成果物の発行により、社会発信の足がかりとすることができた:総選挙の影響で掲載日未定であるが、朝日・毎日の各紙で紹介されることが確定。また、11月には「西宮市権利擁護支援者養成研修」や「日本レセプト学会国際学術大会」、12月には「日本認知症ケア学会関西ブロック大会分科会Ⅲ」で、紹介・発表の機会が設けられている。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
❶応援隊活動における「聴き取りと橋渡し」方法のマニュアル作成:「成果」①で記したように、当初の課題であった「応援隊と応援隊受入れ施設との話し合い」は、かなり進むようになった。しかし、まだ十分と言えない。例えば、外国人介護職員への聴き取りに関しては、面談の中で少し“気になる”言葉が出てきた場合、そこをもう少し掘り下げて聞いてみることによって、困りごとや課題が浮かび上がってくることもあると思われるが、スルーしている場合がある。また、外国人職員の困りごとを施設に伝える際、対応への方向性を詰め切れなかったり、施設で検討・対応されたのかフィードバックをもらっていなかったりするケースもある。こうしたことを防ぐにはどのようにすればよいのかについて、一定のマニュアルを作成し応援隊と共有していく。
❷応援隊活動の介護現場関係者への周知:応援隊活動についての市民への認知度はある程度維持できている。これまで4回にわたって応援隊養成講座を開講してきたが、毎回30人前後の応募がある。それに対して、介護現場の関心は依然低い。当団体では23年度に活動案内パンフレットを作成して配布したり、大阪府社会福祉協議会老人施設部会や大阪市老人福祉施設連盟を通して応援隊活動を紹介してもらったりもしているが、反応は芳しくない。そのためこれからは、「本助成で行った実施事業⑥」の報告書の配布やアンケート調査結果をもとにした講演会やYouTubeでの配信などで、さらに周知を図っていく。また、上述のアンケート調査で、施設から「外国人向け研修があればよい」という要望も寄せられた。高齢化率が低い国から来た人々は認知症理解が十分でない場合もある。そこで、来年度は「認知症」をテーマに、「”やさしい日本語”で学ぶ認知症ケア」を「大阪市認知症介護指導者」の方々と連携して開講。こうした研修の開催も活用しつつ、介護関係者への応援隊活動の周知と理解につなげいていく。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://o-netnpo.site/



寄付してくれた人へのメッセージ
 日頃より私どもの活動にご支援いただき、誠にありがとうございます。コロナ禍の2021年11月に第1期応援隊養成講座を開講し、翌年4月から介護施設で働く外国人スタッフの方々と日本語での対話を通して、市民が関わる活動を進めてまいりました。面談する外国人スタッフの方々も応援隊員と顔なじみになり、最近では暮らしに関わる相談も徐々に寄せられるようになっています。
 コロナ禍の影響もあったかと思われますが、当初は「自宅と職場の往復だけ」の方が大半でした。しかし、最近はテーマパークに出かけたり、日本語での意思疎通がある程度できる方々などは、自分で住まいを見つけてきたり、クルマの免許取得に挑戦したり…と、日本での暮らしに慣れ、「労働者」としてだけでなく「生活者」として過ごしている様子も、応援隊との面談から感じられるようになっています。
 これからも応援隊との面談が、外国人スタッフの方々にとって、ひとときのリラックスタイムとなり、晴れやかな顔で職場に戻れるよう支援を続けていきたいと思います。今後とも私どもの活動を応援してくださいますよう、どうぞよろしくお願いいたします!

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