都道府県 愛知県
助成額 2,929,853円
活動開始日 2023/10/1
活動終了日 2024/9/30
助成金で行った活動の概要
1.困窮する外国にルーツがある人々への生活相談・翻訳・通訳支援
パートナー団体のNPO法人ブリッジの拠点で、フィリピンにルーツを持つ住民を対象に、週3日の生活相談を実施した。当団体のみで対応できない相談ケースは、必要に応じて繋ぎ先に同行したり、事前に相談者の主訴を繋ぎ先に伝えておく等の対応を行った。各相談ケースは、相談者の属性(国籍、在留資格、性別等)と課題をウェブシステム上に記録するとともに、対応の経過などを追えるように記録をつけた。
2.フィリピンにルーツがある人を支援する人材育成
生活相談時には、美濃加茂市在住のフィリピンにルーツを持つ者も週1回程度同席してもらい、面接技法、ケースマネジメント、ケース記録をOJT形式で教授した。また、行政職員、NPO法人ブリッジ、当団体で開催している月1回のケース会議にも、フィリピンにルーツを持つ者に参加してもらい、困難事例の対応方法を学ぶ機会を提供した。
3.各圏域における支援ネットワークの構築
区・自治会の圏域、小学校区の圏域、町村・市の圏域の3つの圏域内・間において、関係者との意見交換を重ねて、支援ネットワークを構築した。区・自治会の圏域においては、2地区の自治会とまちづくり協議会の役員との打合せを2回行い、各々が多文化共生分野で抱えている課題を聞き取り、当団体がその課題に対して貢献できることの共有を図った。また、2つのフィリピンコミュニティとも打合せを行い、関係を構築した。小学校区の圏域では、重層的支援体制整備事業を受託している3つの事業所との関係構築を行い、各事業所との連絡会議を2回実施した。町村・市の圏域においては、美濃加茂市の福祉課が主催する多領域連携会議に当団体も合計3回参加し、市内で活動する福祉・保健・医療事業者とのネットワークを構築した。また、市の多文化共生プランの策定を行う多文化共生プラン策定員会に2回参加し、生活相談の個別課題の共有、課題解決のための対応に関する提言を実施した。
4.外国にルーツがある人の受援力強化のためのワークショップ
NPO法人ブリッジと協働して、主にフィリピンとブラジルにルーツがある住民を対象に、日本の制度・サービスや課題に応じた相談先を学ぶワークショップを合計4回開催した。その内1回は、多文化交流イベントのブースの中で実施し、多くの住民が参加できるように工夫した。
活動日数 174日
支援対象者実人数 338人
支援対象者延べ人数 628人
参加ボランティア実人数 10人
参加ボランティア延べ人数 27人
本助成金による活動の成果
1.困窮する外国にルーツがある人々への生活相談・翻訳・通訳支援
・フィリピンにルーツを持つ人々が集まる教会や飲食店等での生活相談のチラシの配布や、フィリピンコミュニティのリーダーを通した他の住民への周知を通して、制度・サービスにつながっていない人々とつながることができた。
・生活相談ケースを、集計や分析が可能なウェブシステム上に蓄積したことで、岐阜県美濃加茂市で発生している課題の傾向をつかむことができた(子どもの日本語・不登校、生活困窮、金銭の貸し借りによるトラブルが比較的多い)。
・生活相談における同行支援や通訳支援を通して、市内の弁護士、行政書士、各種病院とも関係を構築することができ、気軽に相談ができる間柄になった。
2.フィリピンにルーツがある人を支援する人材育成
・本事業を通して育成したフィリピンにルーツがある者が、NPO法人ブリッジの理事に就任して、今後も生活相談に対応していくことになった。
・本事業を通して育成した者が、独自でフィリピンにルーツを持つ親子を対象にしたワークショップを実施するようになった。また、当団体とともに外国にルーツを持つ若者を対象にしたキャリア支援の立ち上げに関わっている。
3.各圏域における支援ネットワークの構築
・各圏域において、多文化共生を推進するために重要な関係機関とネットワークを構築できたたともに、フィリピンコミュニティとの関係も構築することができた。
・美濃加茂市福祉課が主催する「多領域連携会議」や、教育と福祉が連携する「家族を支える連携会議」に、外国人支援の代表として当団体が招待されるようになった。
・本事業を通した当団体による生活相談の実績が美濃加茂市まちづくり課多文化共生係に認められ、当団体の事務局長が多文化共生プランの策定委員として委嘱された。策定委員として、生活相談で把握した個別課題を行政にも共有し、行政として対応すべき課題として、計画化・資源化を提言できるようになった。
4.外国にルーツがある人の受援力強化のためのワークショップ
・フィリピンとブラジルのコミュニティを代表する住民の日本の社会保障制度に関する知識が向上した。
・コミュニティリーダーを通して、当団体や市内の他機関に生活課題を抱えた住民が紹介されるケースが観察されるようになった。
事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
岐阜県美濃加茂市は、外国人固有の課題に対する支援(通訳・翻訳支援など)は充実しているが、普遍的な福祉課題の支援の多文化化が不十分である。例えば、同市では令和6年度より重層的支援体制整備事業が本格実施となったが、外国人支援は明確に位置付けられていないとともに、外国人支援に対応できる福祉専門職と外国人課題を地域内でコーディネートできる人材が不在している。そのため、本事業を通して構築することができた関係機関とのネットワークや連携会議の場を通して、当団体が持つ外国にルーツを持つ人々の社会・文化的背景、外国人支援のノウハウの共有を今後図っていく。
また、本事業における生活相談を通して、以下の3つの制度の狭間の課題を把握した。
①母国から中高生の年齢で日本に呼び寄せられ、学校の授業についていけず不登校・非行に繋がってしまう青少年
②文化資本格差やロールモデルの欠如により、無意識に人生の選択肢に制限を設けてしまう外国にルーツを持つ若者
③適切な日本語・母語支援を受けることができない外国にルーツを持つ幼児
しかしながら、同市において、上記の3つの課題に対応する制度・サービス(例えば、日本語教育を含む学習支援の場、居場所、キャリア支援、母語支援等)の整備は不十分である。一方で、日本語教師の資格を持って外国にルーツを持つ子どもたちの支援をしたいと思っている者や、若者へのキャリア支援をしたいと考えている外国にルーツを持つ住民などが同市にはいるが、その人々が持つ資源がつながっていない、または資源を活用する場が地域にないがために、上記3つの課題が放置されている現状を把握した。そのため、今後、当団体は住民にとって身近な中間支援組織として、課題の解決に資する資源を持つ住民同士をつなげて、新たな社会資源を創出する役目を担っていく予定である。
助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://ican.or.jp/wp-content/uploads/2024/08/2023_ICAN_AnnualReport.pdf
https://ican.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/ICAN_ChildrenVoices_vol79.pdf
寄付してくれた人へのメッセージ
この度は、ご寄付をいただき誠にありがとうございました。お預かりしたご寄付を通して、外国にルーツを持つ人々の生活相談を実施することができ、日本での生活の中で抱えた課題の解決につなげることができました。また、地域内の関係機関とのネットワーク構築を通して、外国にルーツを持つ者たちが取り残されないような仕組みを整備できたとともに、外国にルーツを持つ者に対する日本の制度・サービスへの理解を深めるワークショップを通して、課題の予防にも貢献することができました。現代の日本社会は、外国にルーツを持つ人々との共生をなくして成り立ちません。国籍や属性関係なく、お互いが支え合いながら生活できる社会を、今後とも皆さんとともに作っていけたらと思っております。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
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