新型コロナウィルス感染下において、名古屋地区の大学院留学生が効果的・組織的に日本社会の実像を理解し、専門家・地域の人々と交流する一方、研究活動を通じて日本での広がりのある留学体験をするための支援事業

団体名 特定非営利活動法人 Nagoya Ryugakusei Net

都道府県 愛知県

活動開始日 2022/10/1

活動終了日 2023/9/30

助成金で行った活動の概要
「赤い羽根共同募金会」の「外国にルーツをもつ人々への支援活動応援助成」プログラムによる助成を受けた結果、バスをチャーターした1日単位の研修プログラムを提供することができた。事業は、"Explore Japan"というテーマで実施した。2022年の12月30日には、年末の地域行事「餅つき」に大学院留学生が午前午後の2回に分かれて参加し、町内会の方々と交流した。この「餅つき大会」は、名古屋市守山区で日本の家族、親族、職場、近隣の多様な人間界の中で20 年以上にわたって行われてきた行事である。新型コロナに対する諸対策をとったうえで、餅米の蒸しあがるのを身近にみて、杵をとって、こねるところから餅つきに参加し、更に、丸餅の形にして、各自自宅に持ち帰ることができた。イベントの終了間際には、留学生に同伴した子供が滞在期間が長くはないのに日本語で小学校校歌を披露したりして、参加者全員が楽しんだ。大学以外で日本社会と触れ合う機会が少ない留学生にとっては、繰り返し話に出るほどの貴重な経験であった。
 2023年に入ると、日本の航空宇宙技術の発展を展示する岐阜県各務原市の「そら博」訪問の際には、定員をはるかに越える参加希望者があり、NASA勤務経験のある日本人専門家の解説付きの企画を2 回開催(3 月16 日、4 月10 日)することとなった。その後、「名古屋の都市計画と街並み保存:PartPartⅡ都市センターと有松」(6 月6 日)、「戦後の経済発展と公害:四日市から学ぶ」(7月28 日)、「名古屋の上下水道:PartⅢ岩屋ダムと犬山取水口」(8 月7 日)等の行事を開催することができた。これらの行事の実施に当たっては、名古屋都市センター、名古屋市上下水道局、四日市公害と環境未来館の協力によって専門家による詳しい説明を受けることができた。専門家による詳しい説明は、整然としており、また方法も多様であったので、留学生たちにとっては興味深くかつ理解しやすく、それぞれの関心にしたがって日本理解を深めたものと思われる。また、「そら博」を始めとしていくつかの施設や公共機関では、大学院留学生だけでなく、当NPOの関係者、賛助会員やボランティアの入場料を免除していただくなど、心のこもったご支援をいただいた。

活動日数 8日

支援対象者実人数 125人

支援対象者延べ人数 125人

参加ボランティア実人数 16人

参加ボランティア延べ人数 30人

本助成金による活動の成果
大学院留学生は、専門的な研究に従事するため、広く日本社会を知り、人々と交流して日本をより深く知る機会が想像以上に限られている。研究の背景にある企業活動、社会の構造、人々の意識と発想、地域のつながりなどを体験的に経験することがそれぞれの留学生の留学経験を豊かにし、大学院留学生が研究成果を将来の社会に還元するきっかけとなることが期待できる。今回の事業活動では、さまざまな専門領域の大学院留学生が国籍を越えて交流する機会を提供した。その中で、地域の人たちと年末行事で交流し、日本の文化や習慣を肌で感じる機会は、非常に好評であった。日本の戦後復興と航空宇宙産業の発展さらにその産業を支える地域の企業の様子を知る機会には、留学生から「自分の孫の代には自分の国でも宇宙ロケットを成功させたい」などのコメントがあった。名古屋の都市計画については、実際に計画実施を担当した専門家が歴史を振り返り、多様な努力を解説し、留学生からは多くの質問があった。東海道の旧宿場町が現代に生きる試みの成功例と失敗例を比較する機会ともなった。名古屋の上下水道に関する企画では、名古屋市の岐阜県における水源の確保、木曽川からの取水、浄水場での浄水施設の見学、「できたての水道水」の体験、下水処理施設の見学、処理水の放流される川での魚類の確認など幅広い体験の機会を提供した。大学院留学生のほとんどは、日本式の浄水管理(蛇口の水をそのまま飲める)は初体験であり、母国の水管理を考え直すきっかけとなったり、ロックフィルダムに大きな関心を示した土木専攻の大学院留学生もあった。四日市の公害とその後を学ぶ企画では、四日市公害訴訟を支えた研究者の解説、四日市市の公害克服の努力の説明、四日市コンビナートの歴史的展開を現場を訪問して学ぶ機会を提供した。大学院留学生からは、日本の公害とその克服のための努力が自国の経済発展の今後を考える上で貴重な体験であったというコメントがあった。寄せられたアンケート結果から見ると、参加者は、多忙な教育研究スケジュールを調整して参加し、専門外の知見を広めることができたように思われる。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
キャンパス外で大学院留学生が日本社会の歴史、文化、習慣、企業活動などに触れる機会は、彼らの留学体験を豊かにし、研究の将来についてのさまざまなヒントにもなっている。研究のプレッシャーからの快適な息抜きの機会にもなっている。今回実施した企画は、参加した大学院留学生におおむね好評であり、継続する意義がある。今後の課題は、社会が新型コロナの影響から解放される中、このような体験的日本理解の機会をより多くの大学院留学生に提供するためのアイデアと体制の強化が必要である。今回は、20名程度の参加者を数名のNPO関係者が面倒を見るというやり方であったが、参加者が50人(大型バス1台)の規模になると、支援者の増員が不可欠である。加えて、日本人学生や社会人の参加を増やす仕組みも必要である。より多くの日本人学生や社会人が企画に参加すれば、「国際交流」への敷居がより低くなることが期待できる。当事業は、大学キャンパス外の日本の有り様を短期間のうちに体験できる機会を提供することを一つの目標としている。「日本の有り様」は、さまざまなものが考えられるので、「名古屋の上下水道」のような形で一つのテーマである程度まとまった体験機会を設計することが重要になる。当NPOでは、考えられるテーマについては、検討チームとNPOの定例運営会議などで議論して、年間計画を立てている。このやり方は、日本社会のある側面の専門家がいる場合には有効であり、NPOとして多様な専門家の支援を得る努力を続けたいと考えている。企画したイベントの中には、「餅つき行事」のように、新たに来日した大学院生に対する日本理解導入研修の機能を持つものがあるので、地域団体と連携して、毎年開催する努力を続ける必要のあるものがある。当NPOは、地域や企業、文化団体と連携して、今回実施した企画群を継続させ、その発展を試みようと考えている。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://nagoyaryunet.org/wp-content/uploads/2023/10/3%E5%B9%B4%E6%AC%A1%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8.pdf
https://nagoyaryunet.org/wp-content/uploads/2023/03/Newsletter_JP_No3.pdf



寄付してくれた人へのメッセージ
新型コロナウィルス感染下において、名古屋地区に限らず、日本で学ぶ大学院留学生は、大学キャンパス内にいわば「閉じ込められ」キャンパス内でさえ自由に交流できない状況にありました。留学は、留学先の国の人々と対面し、社会を見聞することで貴重な体験を生み出します。赤い羽根を通じて提供していただいたご助成により、さまざまな国から名古屋地区に留学してきた大学院生とその家族に広がりのある留学体験をするための機会を提供することができました。バスの日帰りツアーは、参加者が研修・見学先だけでなく、バスの車内でも国際交流することを可能にしました。その結果、自分の専門を越えた知人友人をつくったり、思いもかけない日本の一面を発見することができた留学生や日本人参加者は少なくありません。皆様が提供してくださったご篤志が将来、国際的に活躍する若い人たちに得難い日本体験の機会を与えております。助成を受けて、事業を実施したNPOとして、質の高い活動の実現をご支援下さったことに厚く御礼申し上げます。

受付日時