都道府県 京都府
助成額 615,721円
活動開始日 2022/2/14
活動終了日 2022/9/30
助成金で行った活動の概要
この事業では、外国人女性が生活困難や危機を乗り越える力や知識を身に着けるため、様々な活動を行った。
まず、コロナ禍で判明した日本在住外国人女性のデジタルディバイドの問題。来日して間もない、また日本に長く住んでいる外国人女性両方の中には、十分なインターネットスキルを持っていない女性たちがいる。この女性らは自分で情報を調べることができず、オンラインミーティングにも参加できない。この女性たちにインターネットスキルを教えるため、ボランティア養成連続講座(2回)を開催した。この講座を受けたボランティアが8回、計42名の女性にグーグルレンズや、グーグル翻訳の使い方、オンラインミーティングの参加のし方などのインターネットスキルを教えた。
次に、外国人女性に十分な情報が伝わらない、必要な支援が届かない状況の改善。まず、自治体や国際交流協会などがどのように外国人住民向けの情報を発信しているかを調べるため、八つの都府県で、21回のフィールド調査を行った。その後、日本のどこにでもある、身近な相談相手や場所として、民生委員制度や社会福祉協議会を紹介する動画を英語、中国語、「やさしい日本語」で作成した。外国人女性が自分でこの動画を作成するための4回の動画作成講座も開催した。
そして、DV被害の早期段階での防止啓発。まず、日本でDV被害に遭った外国人女性を対象にした、オンラインアンケート調査やインタビューを行った。32名の外国人女性が調査に回答し、7名がインタビューに応じた。調査で判明したのは、外国人女性がもっと早くにDV被害に気付けたら良かったと感じていたことである。早い段階で相手から離れることができたならば、少ない困難やダメージで済んだかもしれないことを彼女らが訴えていた。そのため、外国人女性が早い段階でDV被害に気付けるように、DV被害の早い段階でのレッドフラッグ、特に精神的なDV被害についてのチラシ、カードや動画を作成した。また、DV被害に遭っている外国人女性がDV被害者支援に関する資料を持ち歩くのは危険なため、DV被害と直接関係のない、当団体のホームページに飛ぶQRコードが記入してあるカードも作成した。
国内・海外で行われるDV被害者、セクハラ・パワハラ被害者支援について調べた。今後、この情報を整理し、より役に立つ情報や支援団体・機関の連絡先が当団体のホームページに多言語でアップロードする予定。
活動日数 112日
支援対象者実人数 82人
支援対象者延べ人数 135人
参加ボランティア実人数 13人
参加ボランティア延べ人数 60人
本助成金による活動の成果
インターネットやアプリが苦手な外国人女性は、その便利さを発見し、少し自信を持って、使えるようになった。例えば、長く日本に住んでいる外国人女性が日常会話が上手であっても、読み書きがでず、日本滞在が長いので、母語に翻訳してもらっても、新しい単語が多く、内容がわからないという悩みを持っていた。そこで、グーグルレンズの文章を音声にする機能を使い、読めない日本語の文章をわかるようになった。妊娠中の若い外国人女性は、住んでいる地域に同じ国の出身者がおらず、初めての出産を迎えていたので、不安だったが、インターネットミーティングの参加の仕方を学んだので、他の地域に住んでいる同じ国出身の母親のグループとつなぐことができた。インターネットスキルは情報を調べるときに重要であるが、外国人女性にとって、人とつなぐため、ネットワークをつくるための大切なツールでもあった。
外国人女性にとって、役所に相談するのはハードルが高く、悩んでいても、相談に行けない。また、文化交流の色合いを持つ国際交流協会も多いので、相談できる場所として思いつかない。そのため、民生委員や社会福祉協議会を、日本のどこでもある身近な相談相手や場所として、外国人女性を支えるネットワークに含めることが重要と考えた。外国人にこの仕組みを紹介するのは、当事業が日本で初めてである。さらに、外国人女性自身が動画のスクリプトを書き、自分でカメラを動かして、撮影するのは、彼女らのエンパワーメントにつながり、外国人女性たちが見たい動画に出来上がっている。
DV被害者当事者の体験談から生まれたチラシ・動画内容が、外国人女性の心に訴える力を持つ。インタビューに応じた被害者が、このように他の外国人女性を支援できたことで、彼女らのエンパワーメントにつながっていった。チラシのデザインまで外国人女性の好みを表しているので、このプロジェクトに参加したボランティアの外国人女性が支援を受ける側から支援をする側に変わり、日本で生きていくため、より自信を付けた。
事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
都府県のフィールド調査で見えてきたのは、外国人支援体制には自治体によって大きな差があるということだった。ホームページのデザインが古く、使いにくいことが多い。しかし、紙媒体のものをたくさん活用しているわけでもない。チラシを置くスペースがないか、あっても狭い。さらに、その自治体内に限った活動が多く、自治体、或いは県を超える協力体制が見当たらない。
外国人女性にインターネットスキルを教える事業を開催した結果、支援機関・団体のスタッフは、外国人女性の細かいニーズを把握していないことが明らかになった。例えば、「インターネットスキルを外国人女性に教えたいのですが、インターネットスキルが足りていない女性はいますか?」と尋ねたら、「みんな、スマホを使っているから、教える必要がない。」と返ってきた。しかし、そこにいる外国人女性に尋ねると、「SNSを使っているが、自分のメールアドレスがわからない。日本人の夫がすべて設定したから。」、或いは、「インターネットで検索はできるが、オンラインミーティングの参加方法がわからない。」と返ってきた。さらに、ネックになっているのは支援者自身のインターネットスキル不足である。特に日本語教室のボランティアには高齢者が多いので、アプリの使いこなし方を知らず、言語アプリは日本語の勉強の邪魔になるという先入観を持つ。これから、パルヨンは外国人女性に直接教えるのだけではなく、その支援者もインターネットスキル講座の対象に加えるべきである。
DV被害に対するアンケート調査やインタビューで判明したのは、外国人女性には、身近な家族や、昔からの友人などが日本にいないため、サポートネットワークが弱いというとである。そこで、警察にDV被害を訴えるが、警察の中立的な態度がDV被害者の外国人女性には冷たく見え、この人たちは助けてくれないという印象を与えてしまう。そのため、警察からの安心感を与える言葉掛けも重要である。また、日本に身近な家族がいないため、海外にいる家族との連絡が大事である。しかし、シェルターに入るとそれまで使っていた携帯電話を使えなくなる施設もある。そのため、家族との連絡が取れなくなる恐怖から、シェルターに入らない女性もいる。外国人女性には、彼女らの事情を配慮したシェルターが必要である。また、付き合っているボーイフレンドのDVから逃げたい女性、同居しているボーイフレンドからDVを受けている女性や、子供のいない、DV被害者の既婚女性の支援も重要である。母親や子供の支援のみを重視している日本の支援制度に不満の声を上げる外国人女性もいる。そして、日本では心理的カウンセリング費用が高いため、経済力のないDV被害者の外国人女性に、無料の心理的カウンセリングの機会を提供したい。
助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://paruyon.com/akaihane-project-2-finished/
https://paruyon.com/events/video-filming-course-part-2/
寄付してくれた人へのメッセージ
みなさまの寄付のおかげで、外国人女性に、日本での生活をより豊かに、より安全にできるインターネットスキルを教
えることができました。また、日本に身近な家族がいない外国人女性に、民生委員制度や社会福祉協議会を紹
介することによって、彼女らのサポートネットワークをより強くしました。外国人女性の会パルヨン一同、また日本在住
外国人女性全員が、みなさまの優しさに感謝しております。ありがとうございました!