都道府県 東京都
助成額 1,000,000円
活動開始日 2022/1/4
活動終了日 2022/9/30
助成金で行った活動の概要
日本で暮らしている難民は、平常時でも経済的に苦しく、病気になっても簡単に医療機関を受診できないなど困難な生活を強いられている。新型コロナウイルスの感染が拡大して3年目となり医衣食住のニーズが更に高まっている。こうした中、本助成を活用してこれまで以上に質・量を拡充して難民への生活支援を実施した。
1) 相談業務と情報提供
日々の相談業務では、電話、事務所での対面やオンライン面談、Eメールなど状況に応じて相談者が安心して話せる環境を整えて話を聞き取っている。役立つ情報を提供して、市役所、医療機関、フードバンクなどにつながるよう支援を行った。また、メールアドレスの登録がある難民申請者には、コロナ感染予防対策など重要な情報を随時配信した。
2) 食料支援
食料・生活必需品などの物資の調達、提供、送付を行った。提供食料については、フードバンク、企業、生活協同組合などにはたらきかけ、炭水化物に偏らないようタンパク質源となる食材や野菜などを安価で豊富に調達できるよう努めた。本助成金を活用して当協会事務所でも常に食料を補充して来訪者に手渡すようにした。遠方に暮らす方やコロナ感染の可能性を心配する基礎疾患のある方、コロナ陽性で自宅療養している方には、食料を送付した。
3) 住居支援
野宿状態に陥るとコロナ感染の可能性が高まることから、野宿者をださないようにするため、本助成金を活用してホステルを提供した。また当協会が運営する短期宿泊施設(シェルター)及び連携団体のシェルターなどを手配・提供した。住民登録はあるが失職して家賃の支払いができなくなった方からの相談には、住宅確保給付金制度など自治体の救済支援策の情報を提供したほか、必要に応じて電話通訳などの支援を行った。
4) 医療支援
新型コロナウイルス感染予防として、ワクチン接種の補助を継続した。新型コロナワクチンは、在留資格の有無に関係なくだれでも接種できることになっているが、住民登録のない場合には、接種券が自宅に届かない。そのため、接種券取得、実施予約、問診票記入支援などワクチン接種実施に向けた支援を行った。実際に感染症状のある方には、発熱外来の医療機関を探し、治療や自宅療養を可能にする支援を行った。
また、健康保険に加入できないが疾病治療が必要という方には、無料低額診療【注】を実施している医療機関を探し受診時に通訳同行を行った。
【注】無料低額診療事業とは、社会福祉法第2条第3項第9号に基づき、生計困難者が、経済的な理由によって必要な医療を受ける機会を制限されることがないよう、無料または低額な料金で診療を行う事業のことである。(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/01/dl/s0121-7d.pdf
活動日数 182日
支援対象者実人数 626人
支援対象者延べ人数 1929人
参加ボランティア実人数 0人
参加ボランティア延べ人数 0人
本助成金による活動の成果
1) 相談業務と情報提供
助成期間中の事業活動日数は182日。そのうち、木曜日と祝日を除く平日の146日間は事務所での相談業務を実施した。626名の難民申請者が相談に訪れ、対面での相談を行った。助成期間中の新規登録者は119 名で、活用可能な社会資源の情報を提供した。メールアドレスのある登録者には、一斉メールという形で新型コロナウイルス感染症の緊急対策や新型コロナワクチン接種に関する情報7件を送信した。
2) 食料支援
当協会事務所に来訪された496名に食料品や生活必需品を提供した。遠方在住もしくは基礎疾患があるため来訪が難しい方への食料送付は合計で359件となった。提携先団体の予備の食料等を無償で提供いただく代わりに郵送費を負担しているが、本助成金で238件分の送付・運搬費用を賄うことができた。食材調達においては、栄養のバランスを考慮しただけでなく、難民申請者の多くはアフリカ・中東・アジアの国々出身であるため、常日頃から食べなれた食材、宗教上の制限に配慮したハラル食品などを提供できるよう心掛けた。
3) 住居支援
助成期間中、あらたに20名の方たちにホステルやシェルターの提供を行った。当該事業でめざしていた「コロナ禍で野宿者を出さない」という目標は達成できた。また、その後、より安定した生活が営めるような支援も必要である。新たに入国して難民申請をしたばかりの方には、公的支援への申請手続きやシェルター退去先の物件探しなどを手伝った。
4) 医療支援
当協会と連携して難民の無料医療相談を定期的に実施しているクリニックが主体となり、3回目の新型コロナワクチン接種を行った。要望に応じて、5歳以上の子供の接種も実施できた。
高血圧症や糖尿病などの慢性疾患については健康保険に加入できない方でも無料低額診療を提供している医療機関で治療することができた。本助成事業期間中に無料低額診療や近くの医療機関受診等のため、スタッフが同行したケースが102件に上り、同行のための交通費は本助成金で賄われた。
事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
生活困窮する難民の数が増加し深刻化している。当協会に来訪できない方には、宅急便で食料等を送付しているが、その件数が、前年同期比1.5倍になっており、増加傾向は変わらない。コロナ禍であるがために失職・時短で生活が困窮しているという難民の方には、生活困窮者自立支援制度など自治体の救済策を案内する。また、初回難民申請者には、難民事業本部の公的支援が可能である。しかし、難民申請を複数回し、どうしても帰国が困難な事情がある方たちは、生存が脅かされるほど生活が困窮している。周りの知り合いや支援団体からの支援も限界に近いというケースも顕在化している。
新型コロナワクチン接種に関して、在留資格のない方への接種券の発行申請をするにあたり自治体の対応が様々ではあったが、厚生労働省の事務連絡通知を参照しながら丁寧な説明をすれば理解を得られることが分かった。同様に、発熱外来でのPCR検査費用と陽性結果後の処方薬代は在留資格の有無にかかわらず公費となるが、個別に説明して理解を得ることができた。こうした公費負担は公衆衛生の観点から妥当であるが、そもそも国籍や在留資格の有無に関わらず全ての人が健康保険に加入できることがより重要であることが明確になった。また、無料低額診療を実施する医療機関のソーシャルワーカーと話し合う中で、病院側の負担が増大しているために無保険の外国人患者の無料低額診療は受け入れないという医療機関が増えていることが分かった。
くしくも助成期間中、ロシアの軍事侵攻によりウクライナから多くの避難民の受け入れが進んでいる。受け入れに前向きな自治体・企業・個人の方からの問い合わせが当協会にも数多く寄せられた。紛争や迫害から逃れてくる人たちに支援の手を差し伸べようという機運が高まっているが、他方、ミャンマーやアフガニスタン、アフリカ・中東諸国などから逃れ日本に留まっている難民への支援が行き詰っている現実がある。
今年10月11日以降の入国制限措置が解除され、それに伴い新規入国者および難民申請者の数も増えることが予想される。今後は新たに入国して難民申請をした方たちへの緊急支援を行いながら、これまで以上に困窮している難民への生活支援を継続することになる。外国人支援の団体はもとより、生活困窮者支援・住居支援団体・医療ソーシャルワーカーなど分野ごとの専門機関との連携を深める取り組みをこれまで以上に進めていく
助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://www.refugee.or.jp/about/information/2022/10/akaihane2022/
寄付してくれた人へのメッセージ
この度は、私たちの活動にご寄付いただきありがとうございます。
私たちは、日本で暮らす難民・難民申請者を支援する団体です。母国での紛争や人権侵害から日本に逃れてきた難民の方たちの尊厳が守られ、安心して、ともに暮らせる社会を実現することを目指して活動しています。
今年3月以降、多くのウクライナの方たちが紛争を逃れるために来日されています。世界ではウクライナ以外の国や地域でも、紛争や人権侵害で母国を追われた人たちが増えていて、日本にも自力で逃れて来ています。それでも、日本では難民として認められることがほとんどなく、多くの難民申請者の方たちが母国に送り返されてしまうのではないかと不安を抱きながら、最低限の生活を営むことも保障されずにいます。こうした方たちの生活を支える活動は、みなさまからのご寄付なしには成り立ちません。あらためて、みなさまからのご寄付に感謝いたします。