新型コロナウイルス感染拡大で住居を失った難民申請者のための住居支援事業

団体名 特定非営利活動法人 難民支援協会

都道府県 東京都

助成額 3,000,000円

活動開始日 2021/4/1

活動終了日 2021/12/31

助成金で行った活動の概要
日本で暮らしている難民は、平常時でも経済的に苦しく、病気になっても簡単に医療機関を受診できないなど困難な生活を強いられていたが、コロナ禍ではさらに窮地に追いやられている。本事業では、「居場所」とは安心して過ごせる場所・状態と捉え、医衣食住がある程度満たされること、人とのつながりを実感できることなど、取り残されず暮らせる居場所の提供をめざして活動した。 1)相談業務と情報提供日々の相談業務では、電話、事務所での対面やオンライン面談、Eメールなど状況に応じて相談者が安心して話せる環境を整えて話を聞き取っている。役立つ情報を提供して、市役所、医療機関、フードバンクなどにつながるよう支援を行った。また、メールアドレスの登録がある難民申請者には、コロナ感染予防対策など重要な情報を随時配信した。 2)食料支援食料・生活必需品などの物資の調達、提供、送付を行った。協働先のフードバンクを紹介して相談者がみずから食料を受け取りに行けるようにするほか、本助成金を活用して事務所でも常に食料を補充して来訪者に手渡すようにした。遠方に暮らす方やコロナ感染の可能性を心配する基礎疾患のある方、コロナ陽性で自宅療養している方には、食料を送付した。また、炭水化物に偏らないようタンパク質源となる食材や野菜などを安価で豊富に調達できるよう協働先を開拓する活動を行った。 3)住居支援野宿状態に陥るとコロナ感染の可能性が高まることから、野宿者を出さないようにするため、ホステルや本助成金を活用して当協会が運営する短期宿泊施設(以下、シェルター)及び連携団体のシェルターなどを手配・提供した。住民登録はあるが失職して家賃の支払いができなくなった方からの相談には、住宅確保給付金制度など自治体の救済支援策の情報を提供したほか、必要に応じて電話通訳などの支援を行った。 4)医療支援医療保険に加入できないが慢性疾患の治療を希望する方には、無料低額診療【注】を実施している医療機関を探し受診時に通訳同行を行った。また、新型コロナウイルスワクチンは、在留資格の有無に関係なく接種できることになっているが、住民登録のない場合には、接種券が届かない。そのため、接種券取得、実施予約、問診票記入支援などワクチン接種実現に向けた支援を行った。実際に感染症状のある方には、発熱外来の医療機関を探し、治療や自宅療養を可能にする支援を行った。【注】無料低額診療事業とは、社会福祉法第2条第3項第9号に基づき、生計困難者が、経済的な理由によって必要な医療を受ける機会を制限されることがないよう、無料または低額な料金で診療を行う事業のことである。(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/01/dl/s0121-7d.pdf

活動日数 183

支援対象者実人数 597

支援対象者延べ人数 1054

本助成金による活動の成果
1)相談業務と情報提供助成期間中の事業活動日数は183日。そのうち、木曜日と祝日を除く平日の149日間は事務所での相談業務を実施した。597名の難民申請者が相談に訪れ、対面での相談を行った。助成期間中の新規登録者は103名で、活用可能な社会資源の情報を提供した。メールアドレスのある登録者には、一斉メールという形でコロナ緊急対策やワクチン接種に関する情報19件を送信した。こうした情報発信をきっかけに連絡が取れなくなっていた方からの相談を再開できたケースもあった。2)食料支援来訪された方457名に食料や生活必需品を提供した。遠方在住もしくは基礎疾患があるため来訪が難しい方への食料送付は合計で280件となった。本助成金で56件分の送付費用を賄うことができた。難民申請者の多くはアフリカ・中東・アジアの国々出身であるため、常日頃から食べなれた食材、宗教上の制限に配慮したハラル食品などを調達するよう心掛けている。なかでも年末年始には、アフリカ食材のフフの粉やカルダモン・シナモンなどのスパイスを購入し、寄贈などでいただいた手袋・マフラーなどと合わせてギフトセットを提供した。困難な暮らしを強いられる中、ひと時でも笑顔で新年を祝う言葉を交わすことができた。3)住居支援助成期間中、あらたに8名の方たちにホステルやシェルターの提供を行った。コロナ禍で野宿状態に陥らないようにすることが喫緊の課題であるが、その後、より安定した生活が営めるような支援も必要である。難民申請者向け公的支援への申請手続き、シェルター退去先の物件探し、及び疾病のあるシェルター利用者には治療に専念できるような支援を継続した。また、定期的にシェルターを訪問して、衛生的で安心して過ごせる環境の維持に努めた。本助成金で掃除機を新たに購入できたことも衛生管理に大きく寄与した。4)医療支援当協会と連携して難民の無料医療相談を定期的に実施しているクリニックが主体となり、新型コロナワクチン接種を実施した。メールアドレスのある登録者に対して一斉メールで接種希望者を募り、接種券の発行申請の段階から支援した結果、33名が2回ワクチン接種を終えた。在留資格のない方への接種券発行に関しては、自治体によって対応が様々であったが、厚生労働省の事務連絡通知を参照しながら丁寧な説明をした結果、希望する方たちへのワクチン接種券の発行が可能となった。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
1)食料支援活動の一環として、連携団体からの食料調達にとどまらず、こども食堂の運営者のネットワークに働きかけ、難民申請者が各地のこども食堂のパントリーで食料を受け取れるよう連携ができた。そのネットワークに参加していた企業からも食料を定期的に寄贈いただけることになった。また、生活協同組合から予備青果を譲り受ける取り組みも始めた。こうした協働先を開拓する活動は、単に物資調達の拡充にとどまらず、食を通じてより多くの市民が日本に暮らす難民を支え、難民への理解が深まることになる。今後は、こうした取り組みを拡大して、より多くの地域のフードバンクやこども食堂など食料提供団体と難民が直接つながれるようはたらきかけをしていく。2)住居支援活動については、提供できるシェルターには限りがあるため、現在住む家がある方には、できるだけ居住が継続できるよう自治体による支援の申請手続きを補助し、他団体主催の家賃支援プログラムを申請支援して、一人も野宿状態に陥らないことを目指した。しかし、こうした措置も限定的なものに過ぎない。また、一時的に雨風はしのげても未払いが続けば水道・電気・ガスといったライフラインが止まってしまう。就労や在留資格が制限されている難民申請者にとって生存権すら保障されていないという制度的な問題が浮き彫りになっている。今後は、これまでの活動を継続しながらも、食料支援団体にとどまらず住居支援団体など共通した課題での他団体とのさらなる連携を模索していきたい。3)コロナ感染対応の中で、発熱外来受診後、基礎疾患があるのに自宅に返されてしまった陽性患者や保健所から全く連絡がない自宅療養者など、公衆衛生の観点からも感染者すべてに提供されるべき医療措置が施されなかった事例が複数あった。直ちに医療機関にはたらきかけて入院治療できた場合もあったが、自宅療養後、後遺症が続いている方もいる。感染予防対策と共に感染後の医療機関や保健所との連携も一層重要となる。また、健康保険に加入できない難民の方たちの疾病治療を実現するため、無料低額診療を実施する医療機関及び医療ソーシャルワーカーとの連携の強化と拡充を目指す取り組みが重要になる。 2022年1月からも貴団体の助成をいただいており、貴重な資金を大切にして本事業で得た成果を活かし、難民の方たちがより安心して暮らせるよう活動していきます。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://www.refugee.or.jp/about/information/2022/04/akaihane2021/



寄付してくれた人へのメッセージ
この度は、私たちの活動にご寄付いただきありがとうございます。私たちは、日本で暮らす難民・難民申請者を支援する団体です。母国での紛争や人権侵害から日本に逃れてきた難民の方たちの尊厳が守られ、安心して、ともに暮らせる社会を実現することを目指して活動しています。日本では難民として認められることがほとんどなく、多くの難民申請者の方たちが、母国に送り返されてしまうのではないかと不安を抱きながら、最低限の生活を営むことも保障されずにいます。こうした方たちの生活を支える活動は、みなさまからのご寄付なしには成り立ちません。あらためて、みなさまからのご寄付に感謝いたします。