海外につながる子とその家族のため相談支援とオンラインサロン事業

団体名 Art Lab Ova

都道府県 神奈川県

助成額 1,567,808円

活動開始日 2020/3/1

活動終了日 2021/3/31

助成金で行った活動の概要
【目的】 ①日本語の読み書きができない親のための書類の代読や代筆、情報や必要な物資の提供。 ②外国につながる家庭内の暴力や精神的な病の問題に介入する。 ③外出が制限されているこどもたちのためにオンラインサロンを常設する。 【取組】 ① 経験豊富な支援者が時にはそのネットワークを生かしながら関わることで、日本語の読み書きができないことで受けている家族とこどもの不利益を軽減する。 ② 家庭内の暴力の多くは依存症など精神的な病によるものも多いが、主に言語の問題で病院などの支援施設を利用できない場合が多いので通訳や翻訳などを介して、専門家とつなげることにより、こどもたちへの暴力や精神的な病の連鎖を断ち切りたい。 ③ 外出が制限されていることで、家庭の内外に不満や問題があるかもしれない子のSOSが見えなくなり孤立している状態をオンラインでつながることで少しでも外とつなげたい。

活動日数 188日

支援対象者実人数 58人

支援対象者延べ人数 3,760人

参加ボランティア実人数 4人

参加ボランティア延べ人数 195人

本助成金による活動の成果
・LINEとWeChatに登録し、こどもたち(30人)や、こどもの親たち(7人)とIDを交換し、横浜パラダイス会館にてプロジェクションをしてコロナ渦で居場所に来れない子たちと居場所を共有。オンライン越しに、雑談をしたり、しりとりやお絵描きゲームなどをしている。正月にはオンライン越しに一緒に書初めもした。 ・日常的にもSNSを通じて近況情報を得ている。例①リストカットやオーバードーズなど見守りの必要な小学生の様子も定期的に見守ることができた。例②家族全員がコロナに感染してしまった中学生から情報を聞いて、必要な食料や、けん玉・ルービックキューブなどのおもちゃを差し入れることができた。例③不登校でひきこもっている子ともやりとりをしている。 ・こどもの親たちともSNSでつながったために、日本語の話せない母親たちとチャットが可能になり、様々な危機を救うことができた。例①コロナ渦で失職したこどもの家族たちの休業支援金の申請をした。例②コロナ渦で収入が激減した家族のVISA更新のために入管に手紙を書いた。例③妊娠のわかった母親のために病院と区役所に付き添い諸々の手続きをした。例④帰宅が遅い娘を心配した母親に警察に行くことなどのアドバイスをして一緒に娘を探した。例⑤時短要請に従っている飲食店の協力金申請をした。 ・翻訳アプリでは伝わらないことやわからないニュアンスがあるが、月に1-2回中国語の通訳・翻訳のできる日本人に来てもらって、中国出身の母親たちと直接話してもらうことで、より込み入った話にまでつなげることができた。例①うつ病のシングルマザーと思春期の息子たちの間に入って解決策を模索している。例②こどもの予防接種についての情報を翻訳してもらった。 ・幼稚園~中学3年生までの中国、ネパール、フィリピンの子の学習支援を個別にしている。 ・地道な活動を継続し、随時地元の小学校や中学校と情報を共有してきたことにより、ある家族を巡って小中学校教員、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーなどの専門家が集うカンファレンスに呼ばれるようになり、より活発に学校などと情報交換をしている。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
課題◆日本語が母語でない人たちのうつ病、統合失調症、依存症などの精神の病の治療は、今の日本の現状では、ほぼ不可能に近いことがわかってきた。例①アルコール依存症の祖父のいる中国人の家庭。祖父はアルコールを飲むと毎晩祖母に対して殴る蹴る暴言などの暴力を繰り返している。小学生の孫は祖父を殺したいと口にする。こどもの母親はいつか祖母が祖父に殺されると危惧している。祖母はPTSDを抱えている。しかし、中国の農村部出身の50代以上の人々は、たいてい学校教育を受けておらず、文盲だという。それでも横浜市内には中国語対応の医師や医院、医療通訳者もいるので、関係機関をつなげようとしたが、祖父母は中国語といっても出身地方の方言しか解せず普通語(標準語)がわからないというので、つなげることができなかった。現在、祖父はコロナ渦で失職したために中国に一時帰国し、家族は束の間の平穏な日々を過ごしている。祖父は本来中国で治療ができるといいのだが、地方では「アルコール依存症」という病気自体が知られていないために、祖父もその自覚がなく、自ら医者に行くことはありえない。例②うつ病のシングルマザーと思春期の兄弟の根深い問題に立ち会った中国語の通訳と翻訳をする支援者よると、文化大革命の影響を受けた世代の人は自分の気持ちをうまく表現できないことが多く、中国国内でも親子など家族間の確執が社会問題になっているという。 以上のような問題は、一朝一夕にはどうにもならないが、学校や国際交流協会などと情報を共有していこうとしている。今後の取り組み◆①休業支援金申請をしたことから、中国人の母親がずっと月60時間の残業代が未払いだったことと雇用保険も入っていなかったことが判明したので、一緒に労基署やハローワークに行くことになっている。②中国人の母親の出産の手伝い→出産には通訳が立ち会えないので、出産に必要な言葉をパネルにして、指さしで医療者たちと意思の疎通を図る。③高校受験を控えているこどもたちのサポート。④5歳になっても言葉が出ていない子の支援。など。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://www.facebook.com/kidsinparadisehall/