コロナ禍において生活や活動に困難な変化が起きてしまった人や世帯、団体等に対し、食品を無料で譲り渡すことによる食卓の豊かさ、生活状況や栄養摂取の改善を通じて、この困難な時期を前向きに乗り越えられるよう、「ひとりじゃないよ」と心で添うフードシェアリング事業。

団体名 フード・シェアリング・ジャパン

都道府県 岡山県

助成額 120,027円

活動開始日 2020/9/1

活動終了日 2021/3/31

助成金で行った活動の概要
当団体では、活動開始以来、スーパーマーケット6店舗、豆腐製造店1店舗、酒屋1店舗、JA(農協)直売所1か所が提供してくださっていましたが、現在では、農林水産省のフードバンクマッチング事業等により、東京都の食品取扱い会社や航空会社、全国展開している高級生食パン屋等からも食品をいただくようになりました。2021年2月より食品提供してくださるスーパーマーケットが9店舗増加し、食品を福祉団体等に寄付する量が増えています。新型コロナにより生活に支障が出る(もしくはすでに出ている)可能性がある個人や世帯を支援している団体、NPO法人、社会福祉協議会等に食品を寄付していましたが、2021年2月よりコロナ禍により生活困窮となった世帯に対しての直接寄付も開始いたしました。私たちは通常、週5日間食品の受け取りや配達を行っておりましたが、食品取扱い量の増加により、現在では週7日食品寄付の活動を行っています。主な食品はお野菜やお豆腐、冷蔵食品を含み、適切な温度管理の元、支援団体や世帯に迅速に配達しています。素早く食品をそれを必要とする方々の元へお届けし、食品提供企業等にもそれを報告することで、フードバンク活動の透明性を共有、証明し、お互いに強固な信頼関係を築いています。食品を必要としている団体や世帯へすぐに配送するという、この機動力を支えているのは岡山県内のそれぞれの地域で福祉活動を展開しているメンバー(当団体構成員)の存在なしには語れません。現在食品の寄付活動を行っているメンバー8人のうち、3人は岡山市、倉敷市、総社市で子ども食堂を運営する代表を務めており、各地域の福祉団体や社会福祉協議会等と連携が取れています。また、農業を営んでいるメンバーは、農業仲間に声をかけ、廃棄予定であった野菜等をいただき子ども食堂に寄付する活動をし、自らも生活困窮世帯であったメンバーは、その生活過程の中で出会った生活困窮の状況にある30世帯に直接食品を寄付しています。このようにメンバーひとりひとりの個性を存分に活かし、食品を福祉的支援が必要な団体や世帯に寄付する活動の展開こそ、私たちの活動の最大の強みです。また、当団体代表は昨年世界フードバンク留学を経験し、世界の11のフードバンク団体を視察、活動に参加しました。この経験を活かし、運営団体と連携して、2020年11月から岡山市北長瀬にて、コミュニティフリッジという公共冷蔵庫を通じてのコロナ禍世帯支援を開始しました。 このように、私たちはメンバーひとりひとりの機動力と発想力を最大限生かし、世の中に貢献する活動を継続しています。

活動日数 135

支援対象者実人数 1479

支援対象者延べ人数 9792

参加ボランティア実人数 12

参加ボランティア延べ人数 270

本助成金による活動の成果
本助成金による活動の成果として、最も大きい事柄は「活動範囲の拡大」が挙げられます。本助成金による食品運搬にかかるガソリン代の助成のおかげで、岡山市、倉敷市、総社市、吉備中央町のそれぞれの拠点にいるメンバーがそれぞれ最寄りのスーパーマーケット等で食品を譲り受け、それを必要としている福祉団体等に迅速に対応する際、「その運賃代」を気にすることなく活動出来たことは、収益事業ではない非営利活動を行う私たちにとっては、とても心強い事柄でした。当団体の本拠地がある岡山県吉備中央町から、福祉活動を行っている団体は最低でも、片道30キロ以上走らなければならず、市街地に入ると、その往復にかかる時間は4時間を超えることも多い状況でした。2020年4月時点でこの活動に関わるメンバーは2人程度でしたが、現在では8人程度まで増加しています。これにより、以前は代表自らが吉備中央町の拠点から約30キロ離れた総社市、60キロ離れた倉敷市水島地区などへ走行していましたが、現在では、各地点に拠点となるメンバーがおり、走行距離、時間ともに団体メンバーと共有することが出来るようになり、活動のための移動距離、時間の短縮が出来、活動の効率化により、食品の寄付先団体も増加しています。また、2020年9月からは東京都に「フード・シェアリング・トーキョー」という関連団体を設立しました。これは早稲田大学、明治大学の学生6人で結成された団体で、私たちが食品を郵送し、東京都町田市の子ども食堂へ食品の寄付を開始しました。10月には両大学の学生を対象に、コロナ禍による生活困窮学生に対し食品の寄付を行いました。「活動範囲の拡大」「メンバーの増加」「食品寄付先団体の増加」は、本助成金により、食品運搬にかかる経費を考えることなく、「支援」に集中にすることが出来たことによる成果です。本当にありがとうございます。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
事業を実施する中で見えてきた課題としては、「要支援世帯に対しての直接寄付の方法」を実現していかなければならないことです。私たちの活動は2020年10月頃までは、食品の寄付先を児童養護施設、子ども食堂、福祉団体、社会福祉協議会といった「団体」に限ってきました。しかし、11月頃からメンバーの運営する子ども食堂を通じて、要支援世帯への直接寄付(いわゆるパントリー方式)を開始してみました。すると、子ども食堂を通じて食品を受け取る=子ども食堂の方々と顔見知りになる=やがて自らの境遇を打ち明け、抱える問題を共有し、その改善策を一緒に探る=当事者の生活状況を改善するために専門家を紹介=生活状況が改善し、前向きになる、といった事例が出てきています。また、2021年2月から要支援世帯の自宅へ直接食品を寄付する活動を開始しました。現在、食品を直接寄付している要支援世帯は30世帯に上ります。犯罪経験があり仕事に就けていない方、子どもの登校拒否ならびに障害児のケアのため働けない世帯、精神的病をもっている方、病気により仕事に就けない方、定年退職後に娘の育児放棄により孫を育てなければならなくなった方等、その状況は様々です。今後は、各地域で世帯支援を行っている個人、団体との連携のさらなる強化を視野に入れ、ひとりでも多くの方々に対する直接支援を開始します。その方法のひとつとして、現在の案では「コミュニティフリッジ」の活用が挙げられます。これは地域の皆で、未開封の食品を持ち寄り、冷蔵庫を中心とした小さな拠点に置くことで、「食べられるけれどいらないものは寄付を」「必要なものは受け取って」という、食品を通じた支え合いの取り組みで、2012年にドイツで始まりました。当代表は、2020年にドイツ、イギリス、デンマーク、オーストラリアの11のフードバンク団体への視察や研修を行いました。このコミュニティフリッジについてもイギリスの運営団体と連携し、そのノウハウを使った国内第一号の「北長瀬コミュニティフリッジ」の展開についてアドバイザーとして参加しており、その実現までのノウハウを持っています。北長瀬コミュニティフリッジは現在、岡山市内約350世帯のコロナ禍による困窮世帯を対象に食品を寄付しています。この現状を参考に、さらに気軽に多くの人の生活支援になる取り組みとなるよう、これからも活動を展開してまいります。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://www.facebook.com/FoodsharingJapan/