都道府県 愛知県
助成額 316,291円
活動開始日 2022/9/1
活動終了日 2023/9/30
助成金で行った活動の概要
本助成では、以下の4つの活動を実施した。
1.聞き取り調査
愛知県・岐阜県で生活する在住外国人(主にフィリピン人)、当該地域の自治体・自治会・学校・企業関係者を対象に聞き取り調査を実施した。聞き取りの際には、当団体がフィリピンでの活動で培ったフィリピン人の社会的背景(生活様式や文化)や、考え方・問題対処方法に関する洞察を踏まえて、在住フィリピン人が支援に辿り着けていない要因を把握した。
2.多文化理解フォーラムの開催
在住外国人及び各関係機関が抱える課題を共有し合う多文化理解フォーラムを、愛知県名古屋市で1回開催した。当フォーラムでは、愛知県で生活する在住フィリピン人、当該地域の自治体・自治会・学校・企業関係者の合計22名が参加し、参加者の各立場から感じる課題を共有し合った。
3.「外国にルーツを持つ者の声」の冊子の作成
上記の「聞き取り調査」及び「多文化理解フォーラム」で収集した外国にルーツがある人々が抱える生活上の課題、各関係者の立場から感得される多文化共生に係る課題、それら課題に対する提言を冊子にまとめ上げた。完成した冊子は、各関係者に配布した。
4.多文化交流イベントの開催
愛知県名古屋市で、聞き取り調査を通して関係を構築した名古屋市の自治体及び自治会、フィリピンコミュニティとの共催で、多文化交流イベントを開催した。当イベントでは、フィリピンと日本の料理や伝統芸などの紹介に留まらず、各国の価値基準や生活様式などの紹介も行った。当イベントには、在日フィリピン大使館大使や自治会長が参加するとともに、300名以上の日本人及び在住外国人が参加した。
活動日数 149日
支援対象者実人数 391人
支援対象者延べ人数 406人
参加ボランティア実人数 5人
参加ボランティア延べ人数 5人
本助成金による活動の成果
・自治体3市、学校21校、企業4社、市民団体6団体、在住外国人50名(合計84名)に対して聞き取り調査を行い、事前に設定していた3つの作業仮説の妥当性を確認できた(作業仮説:①行政を通した課題解決に馴染みがないため、支援への入り口が阻まれている、②文字を通した情報収集が困難なため、支援への入り口が阻まれている、③各機関のアウトリーチの方策が不足しているため、支援への入り口が阻まれている)。
・事実質問を通して相手に気づきを促す手法であるメタファシリテーションを通して、各対象者への気づきも促すことができた。
>>在住フィリピン人の気づきの例
・自治体は生活に必要な情報をホームページやSNSで発信している点
・特定の課題に直面した際には、この機関に相談すればいいという情報を事前に把握しておき、問題が発生した時に対応できるように備えておく必要性
>>自治体の気づきの例
・情報を「伝える」ではなく「伝わる」を意識した発信の重要性
・外国人コミュニティと連携した情報発信、居場所づくり、支援につなぐことの有用性
>>学校の気づきの例
・外国人集住地域における学校で蓄積されたノウハウは、学校内または教師内に留まっており、それらを他地域(特に外国人が散在している地域)へと共有する仕組みが必要である点
>>企業の気づきの例
・技能実習生等を受け入れ続けること自体が、開発途上国の貧困問題や経済発展に大きく寄与している点(=継続的な受け入れ、適切な受け入れ体制の整備の必要性への気づき)
・本助成で実施した多文化理解フォーラムを通して、フィリピン人女性のDVや子どもの育児や教育の課題に取り組む当事者組織の立ち上げと運営に貢献することができた。
・多文化交流イベントの開催後、在住フィリピン人より、「自分自身のルーツやアイデンティティを振り返る日になり、母国への誇りを再認識した」という声が聞かれた。また、イベントに参加した日本人からは、「フィリピンの知らない側面を知ることができた。もっとフィリピンの文化や生活様式について知りたい」という声が聞かれるなど、相互理解が促進されたことを示す言葉が聞かれた。
・本助成を通して美濃加茂市と深い関係を構築することができ、地域内の多文化共生に係る具体的な課題(フィリピン人コミュニティのネットワーク化等)を解決する事業立案につながった。
事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
【見えてきた課題】
・自治体等がホームページやSNS上で発信している情報や、チラシや広報誌等は、大多数の外国にルーツを持つ人々には届いていない。
・情報発信において、自治体としても、外国人コミュニティと連携した情報発信の有用性は認識されるようになったが、どのように外国人コミュニティと関係を構築し、連携するかのノウハウが欠如している。
・自治体の相談窓口は、外国にルーツを持つ人々の視点では、心理的安全性が確保された場になっていない(聞き取り対象者より聞かれた声の例:「拙い日本語で説明すると怒られる」、「時間をかけると周りから嫌な顔をされる」、「自分の個人情報が漏れてしまう」)。
・特に在住フィリピン人は、個人を取り巻く人間関係で生活上の課題に対処する傾向があり、その関係性の中で解決できない課題は放置され、より複雑化してしまう事例もある。
・地縁組織(自治会、町内会、子ども会等)や子育てサロンなどに、外国にルーツを持つ人々は所属していないことが多く、社会的に孤立してしまう傾向にある。その結果、生活困窮者のニーズの早期発見・早期対応に支障が生じている。
・フィリピン人コミュニティは、母国の出身地域ごとにコミュニティを形成する傾向があり、コミュニティ間で情報を共有し合ったり、支え合ったりする事例は稀である。地域内部には、そのようなコミュニティ間の非協力的関係を危惧している者がいるが、同市で生活する内部の者として、コミュニティ間の関係を取り持つための活動をするのが立場的に難しいと葛藤を抱いている。
【今後の取り組み】
生活上に必要な情報収集や課題対処において、外国人コミュニティが果たす役割が大きい点が分かったため、自治体と外国人コミュニティの連携強化に取り組んでいきたい。また、聞き取り調査をする中で、在住外国人が抱える課題には類似性も存在するので、個別具体的な課題を個別機関に留めておくのではなく、自治体や関連機関を含む関係者に共有する必要がある。課題の共有化を通して、その課題解決のための計画化、施策化、資源化へと繋ぐことが急務であると感じたので、今後取り組んでいきたい。
助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://ican.or.jp/wp-content/uploads/2023/09/ican_monthly_report_202309.pdf
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=280214831481070&id=100084776665071&mibextid=Nif5oz
寄付してくれた人へのメッセージ
この度はご寄付を通して、アイキャンの活動を応援して下さり、誠にありがとうございました。皆さまから託された温かい想いは、確実に外国にルーツを持つ方々にお届け致しました。私たちアイキャンは、約30年間に渡り、フィリピンの貧困地域の人々の生活改善に携わってきました。今後は、これまでのフィリピンでの経験を生かして、日本で生活する外国にルーツがある人々への支援活動を実施していきます。今回の活動を通して、聞き取り調査をさせていただいた自治体と深い関係を構築することができ、調査で判明した具体的な課題を解決すための事業立案に繋がりました。今後とも応援の程、よろしくお願いいたします。
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