戦争避難民と「仮放免」中の難民認定申請者のための生活支援事業

団体名 わたぼうし教室

都道府県 神奈川県

助成額 840,000円

活動開始日 2022/10/1

活動終了日 2023/9/30

助成金で行った活動の概要
2022年10月以降、わたぼうし教室はさまざまな背景を持ち来日した難民・仮放免者に対し、生活支援や住宅支援などを行った。日本においては難民・仮放免者の方への公的支援に限りがあり、在留資格上、就労制限から経済的困難を抱える難民・仮放免者の方が多数存在し、わたぼうし教室はこのような経済的困難を抱える難民・仮放免者の世帯・個人への支援を実施した。
具体的には難民・仮放免者の方たちに来日の経緯、これまでの生活状況、現在の経済状況や生活状況についての聞き取りをした上で、それぞれの世帯・個人の課題やニーズを把握し、必要に応じて住宅探しなど住まいの確保と家賃支援、生活に必要な市役所でのさまざまな手続きや相談のサポート、難民・仮放免者の方の子どもの小学校・中学校・保育園等教育機関での手続きや各機関とのコミュニケーションの支援、食料品の確保の支援、生活に必要な家財道具の確保の支援、医療アクセスを促すための支援などを行った。また必要に応じ、役所や学校などへの同行・通訳支援を実施した。ほかに役所等との電話でのやり取りなどをし、難民・仮放免者の方による役所等とのやり取りの円滑化を支援した。
さらに難民申請中の女性が妊娠中であったことから、妊婦健診を受けられる病院の確保、分娩予約の取り付け、役所での母子手帳、妊婦健診受診券の取得の支援、病院への同行支援、病院での医師・看護師・助産師との会話のサポート、市役所での同行支援、妊娠期間中に必要なマタニティウエアや赤ちゃん用品など必要な物品の確保などの支援を行った。
また、前述した通り、対象となる難民・仮放免者の世帯では在留資格上の問題から就労に制限があり、困窮状態にあるため、わたぼうし教室では聞き取りをして事情を把握した上で、経済的困窮状態にある難民・仮放免者の世帯・個人に対し、毎月の生活費支援を実施した。同時に難民・仮放免者の方の中には経済的困窮状態を理由に医療にアクセスできない人が少なくないため、健康状態が悪い人もいる。そのため、わたぼうし教室は医療機関へのアクセスを促すために医療費支援を行った。
そのほか日常的に携帯電話、メッセンジャー、LINEなどを通じて難民・仮放免者の方と連絡を取り合い、状況に応じて相談を受け助言をするなどの必要な支援を実施した。

活動日数 251日

支援対象者実人数 39人

支援対象者延べ人数 1520人

参加ボランティア実人数 19人

参加ボランティア延べ人数 757人

本助成金による活動の成果
わたぼうし教室の支援事業により、難民・仮放免者の世帯・個人は住まいの確保、医療へのアクセス、役所での手続き、妊娠時の医療機関での妊婦健診の受診、出産準備が実現できた。
日本において不動産会社との契約にはさまざまな要件があり、難民・仮放免者の方が住宅を自力で借りることは極めて困難である。こうした中、わたぼうし教室の支援により支援対象となった難民・仮放免者の世帯・個人は物件探し、不動産会社での手続き、家具・生活用品の確保などが可能となり、住まいの確保が実現できた。また難民・仮放免者の方は在留資格上、就労の制限があることから、安定して家賃・生活費の支払いをすることが困難である例が少なくない。わたぼうし教室の生活費支援により、支援対象となった難民・仮放免者の方たちは家賃支払いやそのほかの生活費の支払いにおける負担の軽減ができた。
また、日本の役所、小学校、中学校、医療機関は多言語対応がほぼなく、制度・仕組みの複雑さもあり、難民・仮放免者の方たちは必要な公的サービスや教育、医療にアクセスすることが難しい。わたぼうし教室が同行通訳支援を実施したことで難民・仮放免者の方たちは必要な公的機関や医療機関とのやり取りが行えたほか、制度・仕組みを理解でき、必要な公的サービスや医療にアクセスすることができた。
とりわけ子どもの医療へのアクセスや妊婦さんの妊婦健診、出産準備は緊急性が高く、科ならず医療アクセスが必要な反面、当時者だけで必要な医療につながることは難しく、わたぼうし教室の同行通訳支援や医療機関とのやり取り、医療費支援が子どもや妊婦さんの医療アクセスを実現させた。
またわたぼうし教室は役所や医療機関とのやり取りを丁寧に実施し、難民・仮放免者の方たちの状況を役所や医療機関の職員に理解していただくことができ、後に難民・仮放免者の方たちが必要な公的サービスにアクセスするのを促した。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
わたぼうし教室の一連の活動で見えたきた課題は、第一に支援の長期化に対する支援体制の整備である。日本では難民・仮放免者の方に対する公的サービスが限定的であり、かつ難民・仮放免者の方は在留資格上、就労が制限されるため、難民・仮放免者の世帯・個人への支援は時に年単位で必要な例も少なくない。支援の長期化が見込まれる中では、日本政府や自治体の社会福祉制度の活用の可能性を探る必要があり、例えば住宅確保給付金の活用や就労支援、就学援助、生活保護など社会福祉制度の活用が望まれる。ただし社会福祉制度は住民登録に基づき提供されるため、在留資格上、住民登録ができない難民・仮放免者の世帯・個人は社会福祉制度の申請さえできない。しかし医療、住まい、食料、教育へのアクセスは人間の基本的人権であり、人道的観点からもすべての人がアクセスできるようにする必要がある。わたぼうし教室では公的な社会福祉制度の対象になりにくい難民・仮放免者の世帯・個人を最優先し支援してきたが、今後も公的な社会福祉制度の利用可能性をできるだけ探りながら、公的な社会福祉制度ではカバーされない難民・仮放免者の世帯・個人が生きていくために必要な基本的なニーズ(住まい、食料、医療、教育など)を充足するための持続可能な支援体制の整備を検討していく。
わたぼうし教室の活動で見えてきたもう一つの課題は、難民・仮放免者の世帯・個人において健康問題をかかえる方が多数出ていることである。難民・仮放免者の世帯・個人ではときに10年以上にわたり、ひどい場合は約20年にわたり在留資格がないために住民登録ができず、住民票がないために健康保険がないという事例も珍しくない。健康保険がないために医療にアクセスできず、結果的に健康状態がさらに悪化する。また難民・仮放免者の世帯・個人は戦争など生命の危機からの避難を経て、日本で経済的困難を抱えるため、精神的負担が大きく、メンタル面の重大な課題を抱える人も少なくない。在留資格に起因する医療アクセスの制限がこのような悪循環を生んでおり、人道的見地から、対策が必須である。わたぼうし教室では今後、難民・仮放免者の世帯・個人の医療アクセスの改善に向けた支援の在り方を検討し、すべての人が必要な医療にアクセスできるよう支援できる体制の構築を目指したい。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://smart-frog-qpfgq.mystrikingly.com/
https://wataboushiymis.wixsite.com/my-site-1



寄付してくれた人へのメッセージ
日本では難民・仮放免者の世帯・個人への公的支援が限られており、戦争・紛争など生命の危機から避難してきたり、なんらかの理由で出身地に帰国できなかったりする方たちは、住まい、食料、医療、教育など人間が生きていくのに必要な基本的な資源にアクセスすることができない状態にあります。
お金も健康保険もないため健康状態が悪化しても病院に行けない。妊娠したけれどお金がなくマタニティウエアや赤ちゃん用品を買えない。家賃が払えない。住まいがそもそもない。食料がない、といった状況に難民・仮放免者の世帯・個人は直面しています。
こうした中、皆さんの募金は難民・仮放免者の世帯・個人が生きていくための住まい、医療、教育、食料などの面での支援に使わせていただいております。本当にありがとうございます。皆さんの思いが、基本的な生活さえままならないという人間としての最低限の権利さえ守られていない難民・仮放免者の世帯・個人の命を支えています。

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