木育でつなぐ 子どもたちの笑顔と地域の絆プロジェクト

団体名 公益財団法人オイスカ

都道府県 東京都

助成額 1,540,320円

活動開始日 2024/9/2

活動終了日 2025/3/27

助成金で行った活動の概要
被災地では緊急性の高い支援が優先され、インフラの整備も遅れている中で「子ども達が安全に遊べる場所がない」「子ども達と向き合う余裕や環境がない」という声を受け、2024年9月~2025年3月にかけて「木育を通じた支援」として①国産材を活用した木製玩具の寄贈 ②木育ひろばの開催(沢山の木のおもちゃで遊べる場の提供)③木育ひろば開催のノウハウの提供(木育スクールの開催)を行った。
9月には七尾、輪島、珠洲を訪問し、実際のニーズ調査を行いながら6カ所を訪問。親子で木のおもちゃで遊べる広場を開催しながら、必要なところにつみ木や木製玩具などを寄贈した。またオイスカの活動を知った現地の方と情報交換を継続し、被災地で今、求められている活動を模索した。
被災地では本格的な冬を迎える前に子どもたちへの支援が求められていると分かり、主となる活動地を珠洲市に定め、12月に自治体や地域で活動する団体の方々と連携し、震災後、珠洲市唯一となった保育園でつみ木のワークショップを開催した。また珠洲市から二次避難されている先で親子に遊びの場やつながりの場を提供する団体とともに木育ひろばを開催するなど、地域の方々と共に遊びの場の企画運営を行った。
さらに3月には、今後も持続的に活動ができるよう、必要な木製玩具の寄贈と併せて地元の保育士や地域で活動する団体、学生らを対象に木育スクールを珠洲市、金沢市で開催した。「木育ひろば開催のポイント」に加え、「日本の森や林業の話」、専門家による「木のおもちゃが子どもの育ちに与える影響」などの講座に参加して貰い、日常の保育やそれぞれの活動に木育が取り込めるようなノウハウを提供した。また普段は接することがなかった参加者を繋ぎ、今後の連携の可能性を示唆することで今後の実施体制づくりも行った。
加えて、能登ヒバを使ったつみ木を地元の方に製作してもらい、その寄贈をすることで地域の産業の復興の一助とする流れを作り、今後も継続的に仕事を依頼できる体制を作った。能登ヒバ材を活用し、それが循環して被災地の森林整備に繋がる流れを引き続き支援する。

活動日数 35日

支援対象者実人数 125人

支援対象者延べ人数 130人

参加ボランティア実人数 0人

参加ボランティア延べ人数 0人

本助成金による活動の成果
子どもたちは日々成長していく中で、「目の前のことに追われ子どもに目を向ける時間が作れない」「安全に外遊びができない」ことで、幼少期に身につける情緒の安定や、探求心、創造力、環境への興味関心を育むことができないのではという親としての不安を抱える声が多くあった。その中で、香りや音、手触りなど五感を刺激し、また直接木の温かみや自然を感じることができる木製の玩具での遊びの場づくりは、大変喜んでいただくことができた。
また地域で活動する団体や保育施設へ木製玩具の寄贈ができたことは、次の動きに繋がる大きな一歩となった。ひとつひとつ丁寧につくられる木のおもちゃは高価であるため、家庭や施設で沢山揃えることは難しい。寄贈をすることで、地域で子育て支援やコミュニティーの再生に向け、行動を起こそうと頑張っている方々の活動の後押しにつなげることができた。実際に「自分たちのような小さな団体は「もの」が揃えらない。「もの」があるからこそ活動ができるのでとてもありがたい」とのコメントをいただいている。また一部地域では避難により子どもの人数が減少し、支援も行き届きにくいことから「取り残されている」という孤立感を感じておられたが、おもちゃを届けたことで、新たに子ども達の集まる場が生まれている。
そして、「もの」だけの寄贈にとどまらず、それを自分たちの実施したい活動や暮らしに取り入れ、継続的に活用していただけるよう、木育スクール開催による人材の育成までを一貫して行うことができた。
スクールでは、大学関係者(教授・学生)、NPO法人、行政関係者、保育士等、様々なバックグラウンドを持った関係者が集まり、木育のノウハウを学ぶと共に、復興に対する思いや、今後の方向性も発表しあった。そしていかにして協力体制を構築していくか等の話しをする時間も設けることができた。この事業をきっかけに人と人を繋ぐことができたことは、大きな成果であった。
なお、寄贈したつみ木の一部は、石川県の県木で能登地方を代表する木材である「能登ヒバ」を使い、地元の方に製作してもらった。これらのことにより、おもちゃを作るところから木育を実践する人材までを地域の中でできる仕組みをつくることができた。この仕組みを活用し、早速石川県の行政関係機関が同様のつみ木を6000個制作する動きをしていることから、今後も取り組みの拡大が期待できる。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
本活動をとおして様々な立場の人から話しを聞くことで見えた課題は、担い手不足や人手不足である。被災地域は、被災前から過疎地域であり、高齢者が多いこともあり大きな活動を展開していくことは難しい。また震災を機にさらに人の流出が加速している。一方でそれぞれの地域を想い、またコミュニティーの再生、復興のために何かをしたいと動いている人が沢山いることも分かった。今回開催した能登での木育スクールを機に想いを持った人と人が繋がったことにより、個々がバラバラに持っていた「人、物、資金」を有機的に活用し、協働できる可能性が出てきている。実際に参加した方からは、「個々の小さな目的は違えど、大きな目的は同じで全部つながっており、何かできなくてもつながり続けることで新しい知恵がでてくると感じた」との感想が聞かれた。具体的には、被災地周辺でニーズがある場所での木育ひろばの企画調整を地域のNPOや任意団体に行ってもらい、その実施や運営に学生の主体的な参加を促す。そのためには学生に対する木育スクールの開催を通して実施ノウハウと経験の場が求められている。また木育ひろば実施のためには運営資金と充分な木製玩具やつみ木が必要であり、そのための資金を行政が助成するなどの地域の中での繋がりや仕組みづくりをサポートしていくとともに、引き続きオイスカ側でも助成金や企業支援を獲得しながら、具体的な支援を継続していく。また、今回は試験的に石川県内で県産材のつみ木の製作を試みたが、製作者へのヒアリングにより「大型機械が必要となる複雑な製品の制作は難しいが、つみ木の制作であれば今後も可能」「単なるボランティアではなく、働いて対価を得ることで生きがいにつながっていく」との意見が聞かれたため、今後は継続的に能登でつみ木を作ることを推進することで、地域産業の復興の一助にもなることを期待している。今後も人と人をつなげ、木育を通した心の復興、地域産業の復興のための協力を継続していきたいと考えている。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://oisca.org/yamanashi/2025/03/27/mokuiku250326/
https://oisca.org/blog/noto0327-1/



寄付してくれた人へのメッセージ
今回の助成を通して、「被災地にニーズがあり、今すぐにでも動きたい!」という思いを行動に移すことができました。資金が潤沢でない我々のような団体にとって、思いだけで動くことが難しい中、その思いを汲み取っていただき、サポートをいただけたことをとても有難く思います。活動の際、被災地で助成金での実施であることを伝えると「多くの方に能登のことを考えていただけて嬉しい」と言っていただきます。活動実施団体だけでなく、その奥に多くの方のご寄附があって成り立っていることは、被災地の方も繋がりを感じられる仕組みだと思います。引き続きのご協力をよろしくお願いいたします。