被災者の命を守る越冬支援事業

団体名 一般社団法人sien sien west

都道府県 石川県

助成額 496,608円

活動開始日 2024/9/1

活動終了日 2025/3/31

助成金で行った活動の概要
 七尾市内において、被災された方々が安心して生活を送り、再建を進められるよう、生活環境の改善を目的とした越冬支援活動を実施しました。2024年10月には、当団体が運営事務局を担う「民間災害ボランティアセンターおらっちゃ七尾」が開所し、活動範囲を石崎町から七尾市全域へ拡大しました。
 本活動では、在宅で暮らす世帯や、仮設住宅およびみなし仮設住宅で生活を続ける方々を主な対象としました。在宅避難者の中には、家屋の傾きによって建具が動かない、窓やドアに隙間があり冷気が入るなど、十分な環境で生活を続けている方が少なくありませんでした。工事が間に合っていなかったり、再建に踏み切れず悩んでいるケースもあり、越冬に適した生活環境が整っていない状況でした。
当団体は、こうした状況をふまえ、七尾市社会福祉協議会、地域包括支援センター、地域支え合いセンター、民生委員などとの連携を通じ、要配慮世帯の情報共有と定期的な見守りを行い、支援が必要と判断された世帯に対して対応しました。
センター開所以降、住民から隙間風の侵入や建具の不具合、床の撓みの相談が多く寄せられるようになり、大工・建具ボランティアによる応急修理の依頼が増加しました。
・大工案件
床・壁・窓などの応急修繕、解体によって失われた洗濯スペースの再設置、階段の補修、お風呂の内壁修理などを実施しました。寒さ対策や、危険な箇所の安全確保といった応急的な修理を、大工ボランティアを中心に行いました。
・建具案件
センター開所後は、地元の建具ボランティアも活動に加わり、地震による建物の歪みで開閉できなくなった襖や戸の調整を行いました。家屋内での不便を解消するとともに、作業支援の現地調査に同行し、判明した建具の不具合についても対応しました。
・支援物資貸出
セラミックヒーターや毛布、布団などの貸出を行い、仮設住宅での寒さ対策や、ライフラインの不備がある世帯、資力が乏しい方の引越し後に不足していた布団の補填など、緊急的な支援を実施しました。
これらの活動は、当団体の訪問チーム(災害支援ソーシャルワーカーを含む)と、大工・建具ボランティア、七尾技術チームに属する専門団体が連携して実施しました。被災された方々が冬を越えるなかで、「小さな安心」をひとつずつ積み重ねる支援を継続して行いました。

活動日数 185日

支援対象者実人数 18人

支援対象者延べ人数 27人

参加ボランティア実人数 32人

参加ボランティア延べ人数 62人

本助成金による活動の成果
 本活動では、七尾市内で被災された方々が安心して冬を越し、再建に向けた生活の一歩を踏み出せるよう、生活環境の改善を目的に支援を行いました。活動の成果は以下のとおりです。
・大工案件8件(延べ15回活動)
 大工ボランティアが月1回七尾を訪れ、壁や床、窓の仮補修、ズレた階段の修繕、浴室内壁の補修、失われた洗濯場の再設置などに対応しました。制度を活用しつつも経済的負担が大きい世帯には、可能な限り無償対応を行い、安全で少しでも快適な住環境を整えました。また、業者対応が遅れている世帯に対し、センターが応急的な修理対応の可能性を広報したことで、地域包括支援センターや民生委員からの相談を含め、依頼がありました。
・建具案件7件(延べ8回活動)
 センター開所後、地元の建具ボランティアとの連携が始まり、地震で動かなくなった襖や戸の調整を実施。住民からは「こんなことも頼めるんだ」といった声もあり、生活の中で諦めていた不便が安心に変わる場面が生まれました。また、建具ボランティアが現地調査に同行することで、不具合に気づいても言い出せなかった住民の相談につながることもありました。
・支援物資の貸出4件(延べ4回活動)
 仮設住宅のエアコンがキッチンにしか設置されておらず、寝室で寒さに困っていた世帯には、どの部屋でも使いやすいセラミックヒーターを貸出。また、ライフラインが不十分な自宅で冬を越す高齢者に毛布を貸し出し、地域と連携して定期的な見守りも実施しました。資力が乏しく布団が用意できなかった世帯にも布団や暖房器具を貸出し、新生活への不安を軽減することができました。
 本事業では合計19件・延べ27回の活動を実施し、延べ62名のボランティアが関わりました。住民の暮らしの中に入り込みながら、「今の困りごと」に対応することを通じて、これからの再建を一緒に考える土台づくりになりました。地域内外の人の力をつなぎ、住民にとっての「生活再建の一歩」となったと感じています。同市は見た目の被害が少なく、生活が続けられるため、困り事や不安を打ち明けにくい住民が多いです。大工や建具といった専門性のある支援が、住民の住環境の改善と心の安心につながり、「頼ってもいい」「これからの生活を考えられる」気持ちを後押しするものとなりました。地域内外の人の力が集まり、被災地に信頼と希望を生む活動となりました。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
 本事業を通じて明らかになった課題は、大きく2点あります。 
第1に、大工や建具職人など、応急修理に対応可能な専門人材の確保が十分ではなかったことが挙げられます。月に数日間のみ滞在可能なボランティア人材に限られていたことから、修繕の必要な世帯に対して迅速に対応することが難しく、支援が行き届かなかったケースも多く見受けられました。七尾市内では約21,000棟以上が被災したとされていますが、6か月間で対応できた修繕件数はごく限られており、地域全体のニーズとの間に大きな隔たりがあることを痛感しています。 
第2に、住民から寄せられる支援依頼の多くが、「被災家屋の片付け」「家財移動」など生活に直結した一般的な作業支援に集中している現状があります。これらの支援も重要ではありますが、人的資源が限られるなか、応急修理との両立が難しく、結果として住環境の改善が後回しになる場面が少なくありませんでした。今後は、住民からの多様な要望に対し、活動全体の優先順位や支援体制の見直しを行い、限られたリソースを効果的に活用していく必要があります。 
また、今後の支援継続においては、制度上の期限を見据えた対応も求められます。応急修理制度の完了期限(2025年12月31日)や公費解体の申請期限(2025年8月29日)が迫る中、多くの住民が住まいの維持や再建に関する重要な判断を迫られます。制度の切れ目によって支援から漏れてしまう世帯を生まないためにも、越冬支援終了後も切れ目のない継続的な支援が必要です。特に、要配慮世帯や、「どうにかしたいが自分たちでは動けない」と感じている情報弱者への対応は、今後さらに重要性を増すと考えています。
また、梅雨時期や夏にかけて、住環境が整っていない家屋における衛生・安全面での課題が顕在化することも想定され、早期の対応が求められます。 
今後は、現在実施しているローラー訪問活動を通じて、一軒一軒の状況を丁寧に把握しながら、修繕などの支援が必要な世帯の具体的なニーズを数値化・可視化していきます。そのうえで、対応可能な専門人材の確保と調整体制を強化し、次の冬季に向けて、より多くの住民が安心して暮らせる住環境を整えられるよう取り組みを進めてまいります。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://oratchananao.hp.peraichi.com/
https://www.facebook.com/oratchananao?ref=embed_page



寄付してくれた人へのメッセージ
 このたびは、私たちの活動にご理解とご支援を賜り、心より御礼申し上げます。
皆さまからのご寄付は、令和6年能登半島地震により被災した七尾市内の住民の方々に対して、越冬期の生活環境を少しでも改善し、安心して冬を過ごしていただくための支援につながりました。
 在宅や仮設住宅で避難生活を続けている方々の中には、ドアが閉まらない、窓から冷気が入る、床がきしむなど、日常生活に支障をきたす住環境で冬を迎えた方が少なくありませんでした。そうした状況のなかで、皆さまのご支援により、大工や建具のボランティアによる応急修繕、暖房器具や寝具の貸出など、具体的かつ実用的な支援を行うことができました。
 ある家主さんからは「まさかこういうこともお願いしていいなんて思っていなかった」と驚きと安堵の言葉をいただきました。困っていることを声に出しにくい状況がある中で、支援のきっかけを届けることができたのは、皆さまのお力添えがあったからこそです。  活動を通じて改めて感じたのは、「支援は人のつながりによって支えられている」ということでした。物資や技術の支援はもちろんですが、それ以上に「誰かが気にかけてくれている」、「たくさんの方に元気をもらえる」という感覚そのものが、再建に向かう大きな後押しになるのだと実感しています。  私たちはこれからも、一人ひとりの生活の中にある困りごとを丁寧に拾い、必要な支援につなげていきます。そして、まだ支援の情報が届いていない方のもとにも手が届くよう、できることをもっと発信していかなければならないと感じています。  支援活動は今後も続いていきます。次の冬が来るまでに、少しでも多くの市民が前を向いて生活できるよう、活動を重ねていきます。そして、七尾に目を向けてくださる方、七尾の復興を想ってくださる方が、少しずつでも増えていくことを願っています。  皆さまからの温かいご支援が、七尾のまちに「希望」と「つながり」を生み出しています。改めまして、深く感謝申し上げます。