多文化人材を活用した多国籍炊き出しによる被災者支援

団体名 一般社団法人多文化人材活躍支援センター

都道府県 佐賀県

助成額 1,930,000円

活動開始日 2024/6/1

活動終了日 2024/12/31

助成金で行った活動の概要
本事業では、被災者支援で外国人住民が活躍する場をつくろうと、近隣県の外国人住民や、輪島市在住の外国人住民による炊き出しを実施しました。能登半島地震を受け、輪島市内では震災前197人いた外国人住民は、2024年9月には87人まで減少。技能実習生の実習先の変更や日本航空学園のキャンパス移転による留学生の減少などが原因とみられます。新たな実習生の受け入れなどで少しずつ回復しているものの、外国人住民が「見えない」ことが課題と感じていました。代表理事は、2024年2月から輪島市内に滞在し、厚労省の被災高齢等把握事業で輪島市内の在宅避難者の全戸調査を担当していましたが、ほとんど外国人住民からアセスメントを取ることができませんでした。そこで、食糧支援としての炊き出しを隣県の外国人住民の力を借りて実施すると並行し、輪島市内の外国人住民に食材を提供し、母国の料理を振る舞う「外国人住民の居場所づくり」も実施しました。途中、なかなか炊き出しができる団体が見つからなかったり、奥能登豪雨の影響で輪島市内の受け入れ環境が整わないなどの影響はありましたが、計7回の炊き出しを実施し、9つの国の料理を提供することができました。関わったボランティアは述べ101人に上り、計約430人に料理を提供することができました。

活動日数 42日

支援対象者実人数 5,500人

支援対象者延べ人数 430人

参加ボランティア実人数 93人

参加ボランティア延べ人数 101人

本助成金による活動の成果
成果としては大きく3つあります。
1つ目は、地震と奥能登豪雨の二重被災により、「ゼロよりもマイナスに落ちてしまった」とメンタル面で落ち込みを見せた被災者のメンタルケアとして、外国人住民の炊き出しがとても有効だったことです。多くの被災者が、料理を受け取る際に「どこから来たん?」などと声をかけ、「本当に遠くから来てくれてありがとう」と感謝の言葉を掛けてくれました。被災地が決して見捨てられておらず、「国を超えて多くの人が被災地に寄り添っていると実感できる活動をする」という当初の目標を大きく達成することができました。なかなか定性的なもので、指標で図ることは難しいですが、多くの「ありがとう」を生み出すことができました。
2つ目は、輪島市内の外国人住民の実態把握に努めることができた点です。前述のように、全戸調査を行いながら外国人住民が見えてこないことを危惧しておりました。ただ、料理という集まりやすい題材であったため、多くの外国人住民がボランティアとして参加してくれ、どのような生活をしているのかをインタビューしたり、アンケートを取ったりできました。
そして3つ目は、外国人住民の居場所づくりをできた点です。技能実習生も寮が全壊して避難所生活となったり、仮設住宅で生活したりしており、なかなか外国人住民が集まる場がありませんでした。今回、炊き出しという形で場を提供したことで、久しぶりに母語でゆっくり話せる環境をつくれたことは、母国を離れた日本で被災した外国人住民のメンタルケアにもつながりました。また、仮設住宅で、そこに住むカンボジア人技能実習生におかゆをつくってもらったり、ベトナム人技能実習生に揚げ春巻きをつくってもらうなどし、イベントではなるべく、日本人住民に顔を覚えてもらえるように対話の時間も設定しました。今後、同じ“市民”として、スーパーで会った際に挨拶をしあうなど、関係性をつくってもらえたらと願っています。そして、大きかったのは参加した外国人住民たちが「とても幸せでした」と話してくれたことです。母国の料理をつくり、「おいしい」と言ってもらったことで、彼女たちの自尊心の向上にも繋がりました。地震という大きな悲劇はありましたが、それでも「輪島で暮らしてよかった」と言ってもらえる環境づくりに向けた素地をつくれたと自負しています。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
今回、奥能登豪雨という想定していなかった二重被災が発生し、当初計画の炊き出し実施回数をこなすことができませんでした。ただ、その分、外国人へのニーズ調査などに活動の時間を充て、戸別訪問や聞き取りの活動を通して、外国人住民の居場所づくりの重要性が明らかになりました。一方で、奥能登地域では行政の国際課も国際交流協会もなく、外国人住民が困りごとを抱えた際に相談できる体制がありません。金沢市には相談窓口等がありますが、直線距離で100㎞離れ、車で2時間かかる奥能登地域では、なかなか対面での相談ができず、困り事があった際に即対応できる体制がありません。また、今回はハラルカレーを富山ムスリムセンターにつくってもらえ、ほかもベトナムやタイ、カンボジアなど仏教国が多く、宗教上の食のタブーはありませんでした。ただ、今後、さらに外国人住民の出身国も多様化し、特に水産加工が多い奥能登地域では、インドネシア人の技能実習生・特定技能外国人の受け入れが増えることが考えられます。その際、インドネシアで多いムスリムに配慮したハラルフードの備蓄などが必要となると考えられます。アンケートでも、「次の災害への備え」に不安を持つ話もあり、外国人住民に配慮した災害備蓄や防災訓練などが求められると思います。今後、南海トラフ巨大地震の発生などに備え、近隣県で災害が発生した際に炊き出しでサポートしあうような取り決め、協定などを結び、発生直後からこのような炊き出し活動ができる体制づくりを進めていければと思っております。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://www.facebook.com/multiculturalactivesupport/



寄付してくれた人へのメッセージ
この度は寄付を通じ、能登半島地震で被災した外国人住民への支援活動をご支援いただき、ありがとうございました。災害が発生した際は、スピードとスケールが求められ、多様性への配慮はおろそかにされがちです。例えば、ムスリムが滞在する避難所で、豚肉やアルコールを使った弁当しか提供できなければ、彼らが食事を取ることもできなくなってしまいます。
現在、日本国内の外国人住民数は過去最高を毎年更新しています。2024年6月には、350万人を超える外国人が日本で生活しています。人口減による働き手が進む中、外国人材の受け入れは、さらに加速することが予想されます。そこで南海トラフ巨大地震のような大規模災害が発生したら、さらに混乱が予想されます。 今回、輪島市で外国人住民の居場所づくりを行えたことは、今後の災害にそなえたモデルになると自負しております。奥能登で外国人支援に特化した活動をする団体は数少なく、その一翼を担えたことを誇りに思っております。このような活動ができたことは、寄付をいただいた皆様のおかげです。引き続き、能登への温かいご支援をどうぞよろしくお願いします。