能登半島地震被害における被災者支援活動

団体名 HART関東

都道府県 東京都

助成額 2,580,000円

活動開始日 2024/4/5

活動終了日 2024/12/31

助成金で行った活動の概要
令和6年1月1日に発生した能登半島地震、および、9月に発生した豪雨被害により、二度の孤立を被った輪島市門前町において、4月以降、月二回の頻度で、地域住民および行政職員等の支援者を対象に、鍼灸マッサージによる支援活動を行いました。具体的には、公民館に地域住民に参集いただいての施術活動、役場での職員及び一般市民対象の施術活動、他団体主催のサロン活動とのコラボによる施術活動、豪雨被害後の避難所での施術活動などです。
受療者の多くは高齢者で、インフラが整わない環境での被災生活や、進まない自宅の片付けや農作業などの負担により、心身に持続的なストレスを受けておられます。医療資源が充分とは言えない地域にあって、東洋医学による施術と傾聴活動を定期的・継続的に行うことで、地域に寄り添い、安心を提供できるよう心がけました。また、セルフケア教室を開催したり、地元鍼灸院の協力を得て情報提供を行ったりと、私たちの活動終了後も皆さんが健康を管理できるように努めました。
被災した地元鍼灸院に対しては、必要に応じて物資を提供したり、他のボランティアの皆さまと一緒に泥だし・清掃を行うなど、事業再開のお手伝いをさせていただきました。
支援者支援としては、自ら被災しながら休日返上で震災・水害対応に追われる行政職員、他県から来て不慣れな環境で長期滞在しながら支援を続ける応援職員や仮設住宅建設従事者へのケアをさせていただきました。 活動にあたっては行政、社会福祉協議会、石川県鍼灸師会・鍼灸マッサージ師会、他の支援団体との情報交換・連携に努めました。
こうした積み重ねがコミュニティ再建の一助となれれば幸いです。

活動日数 50日

支援対象者実人数 150人

支援対象者延べ人数 426人

参加ボランティア実人数 11人

参加ボランティア延べ人数 114人

本助成金による活動の成果
・震災後・豪雨災害後に二度孤立集落となるなど、アクセスが悪く、支援の入りにくい地区で、定期的・継続的な活動を行うことができました。医療資源の乏しい地域の住民の皆さまのニーズに、ある程度お応えできたのではないかと思います。
・施術後のアンケートでは「楽になった」「体も気持ちも軽くなった」という声を多くいただきました。震災前からの慢性的な症状の改善や、被災後に気になるようになった症状の改善に繋がったケースも少なからずありましたが、症状が改善しなくても「楽しみにしている」と毎回受療してくださる方も多くおられました。
・施術以外でもお手伝いできることは何でもご協力させていただくというスタンスで活動させていただいたため、健康以外の心配事・困り事の相談をお受けすることも度々ありました。家屋の修理・清掃、支援物資の在庫整理、他団体による炊き出しの手伝い、人探しなど、ちょっとしたことを施術活動の合間にではありますがお手伝いさせていただきました。定期的・継続的に通ったことで信頼関係が構築され、安心に繋がったと感じます。
・他の支援団体や行政のご協力を得ることで、在宅被災者・避難者・支援者と、幅広い支援対象の皆さまに支援を届けることができました。
・地元の鍼灸師会・マッサージ師会、鍼灸院に挨拶に回り、私たちの活動が被災者支援だけでなく、被災地の同業者の復興も応援するものであることをご理解いただきました。豪雨災害で鍼灸院が被災した際には事業再開に協力させていただきました。また、承諾を得て、輪島市内の各鍼灸院の情報を、私たちの活動で受療される皆さまに提供させていただきました。
・活動を通して知り合った地元在住のジャーナリストの方に、当会主催のオンライン研修・活動報告会でご講演いただきました。被災地からの生の声を全国の参加者にお届けすることができました。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
・当団体は小児臨床を得意とするメンバーが多く、これまでの災害支援でも親子ケアに力を入れてきました。能登でも当初は親子ケアを中心に考えていたのですが、私たちがアクセスできた地域では子どもの人口が極めて少なく、子どものニーズを拾えませんでした。一方で高齢住民・支援者のニーズが高いことがわかり、支援対象を急きょ変更して活動を行うことになりました。奥能登全体では子どものニーズがないわけではないことが後にわかりましたが、その頃には子ども支援に人員を投入するだけの余力がなく、断念せざるを得ませんでした。
・災害支援ではいつものことですが、無償での活動が被災者の自立を妨げないようにすることが課題です。いつまでボランティアとして介入を続けるのか。被災者が有償で地域の鍼灸院を受療したいと思えるようにするには、どんな風に環境を整えればよいのか。地元の鍼灸師会・マッサージ師会、開業鍼灸師の皆さんとの情報交換を継続しながら最善策を探っています。
 一方で、私たちが支援している地域はもともと病院も鍼灸院も近くになく、地域の鍼灸院を受療すること自体、容易ではないことも事実です。それを考え、住民の皆さんが健康を自己管理できるようになることも重要と思われました。そこで活動の中でセルフケアの方法をお伝えするよう努めています。いずれにせよ、活動を通して知り合った能登の皆さまとの関係性は今後も大事にしていきたいと思います。
・月二回の活動参加者を確保するのが課題でした。仕事を数日間休んで関東から奥能登までボランティアに通えるメンバーが少なかったことが最も大きな要因と思われます。奥能登の活動における安全の担保を疑問視する意見もありました。活動の意義や目的を充分に理解せずに参加してメンバー間で誤解が生じたケースもありました。結果的に11月後半以降の3回の活動予定は中止せざるを得ず、その点では被災地のニーズに充分にお応えできなかったことが悔やまれます。
・助成金申請時に予想していなかった支出や、申請したのに支出のなかった経費がありました。次回以降の申請の際に、反省材料として生かしたいと思います。
・これらの課題を含め、災害支援で得た経験や教訓を次の世代に伝えられるよう、災害研修プログラムを構築・提供することに取り組みます。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://hart-kanto.com/



寄付してくれた人へのメッセージ
関東・関西のメンバーが奥能登まで通うのに、往復の旅費を助成金でまかなえたことは大変ありがたいことでした。これがなければ、月2回の活動を継続することはできなかったでしょう。また施術に必要なディスポーザブル鍼や消毒用具・不織布マスクなどの消耗品も助成金から支出することができ、施術に欠かせない安全な環境を確保することができました。施術を受けて下さった皆さまの笑顔と、「楽になりました」「身も心も軽くなりました」という声を、ご寄付してくださった皆さまにそのままお届けしたく存じます。
奥能登の復興にはまだまだ時間がかかります。私たちが支援に入っている輪島市門前町七浦地区は、今も主要なアクセス道路のトンネルが昨年9月の豪雨災害で不通になったままで、ところどころ道路が削れて道幅が半分になっているような山道を遠回りするしか地区に出入りする方法がありません。この道がアウトになれば、震災時、豪雨災害時に続いて三たび七浦は孤立することになります。その不安を抱えながら、ほとんどが高齢者(集落に現在未成年はひとりもいません)である住民の皆さんは、そこに留まり、生活されています。病院に通うにも、車で1時間、2時間かかります。最も近い鍼灸院は被災して、10月からやっと仮店舗で週に2日だけ営業を再開しましたが、トンネル不通のため、そこまで片道車で30分かかります。運転できない住民の皆さんは、誰かの車に乗せてもらわない限り、ここから出かけることもできません。そんな限界集落ですが、地震で数メートルも隆起した海岸の奇景を生かしたジオパーク構想を活路に、若い人たちを呼び戻そうと夢を描き、被災生活の傍ら奮闘・奔走している住民の方もおられます。この地区の未来のためにも、温かいご支援を継続してくださいますよう、私どもからもお礼かたがたお願い申し上げます。