都道府県 東京都
助成額 590,000円
活動開始日 2024/1/11
活動終了日 2024/12/31
助成金で行った活動の概要
被災地では、地域が積み重ねてきた生活や生業と共に、その「思い出」も急速に失われてしまう。石川県輪島市門前町にて、懐かしい記憶を思い出し語っていただける「思い出サロン」活動を実施した。門前地区に関する記録(郷土に関する文献や写真、映像など)を収集し展示、ご覧いただくことで、記憶を思い出し話していただく。また地元の方からも資料を募り、必要に応じて消毒・クリーニングして保存・伝承できるようにする。具体的には以下の活動によって、地域コミュニティの再生に貢献することを目指した。
本活動は、地域の実態に合わせて主に次の内容により構成された:
1)「門前思い出サロン」の開催
2)地震・豪雨に伴うお宅・公民館等からの思い出や地域の歴史に関する資料の回収・整理
3)地震・豪雨に伴う思い出の資料やご遺影のクリーニング・仏壇清掃
4)被災した集落のお祭りについての出張思い出サロン、および関連資料の整理
1年に及ぶ本事業の中で、今次の能登半島の二重被害が、地域の歴史や伝承の「危機」であることを、繰り返し痛感させられてきた。その点、初期から被災したお宅や公認館などから、「思い出」の品や地域の記録を回収したり、その整理や保存の支援を行うところから活動をはじめたことは、とても有効であったと自負している。発災直後は、駒澤大学生と共にボランティアとして繰り返し門前町に入り、地域に関する資料(地域のお祭り等の写真・映像など)が残っている場合はクリーニングさせていただき保存できるようにした。その後、落ち着き始めた4月から、總持寺通り商店街主催「門前マルシェ」にて「思い出サロン」を毎月定期開催し(輪島市櫛比の庄「禅の里交流館」内)、他にも地域の公民館や仮設集会所などでも活動を実施した。9月水害後は、被災された方々にとってまさに「思い出」の核心である被災されたお家のご先祖様のご遺影のクリーニングや仏壇の清掃も要望を受けて、学生ボラを派遣して行なった。「思い出サロン」等でのお話を通して、門前町はお祭りが盛んで、人々のアイデンティティとなっていることが判明してきた。そこで「思い出サロン」の出張版として、町内の祭りに参加し、そこで思い出の写真を持参して楽しんでいただく出張版を開催することで、思い出の伝承とコミュニティの記憶や地域の人々の思い出を支えるお手伝いをさせていただいた。
活動日数 42日
支援対象者実人数 136人
支援対象者延べ人数 218人
参加ボランティア実人数 125人
参加ボランティア延べ人数 151人
本助成金による活動の成果
1)「門前思い出サロン」の開催
輪島市櫛比の庄禅の里交流館にて4月から毎月「思い出サロン」を開催し、6月からは總持寺通商店街主催の「門前マルシェ」に出展させていただいた。仮設住宅への入居が始まってからは、門前町の仮設集会所などでも開催した。
2)地震・豪雨に伴うお宅・公民館等からの思い出や地域の歴史に関する資料の回収・整理
2024年1月から「シャンティ国際ボランティア会」等と連携し、門前町内において被災した方のお宅から思い出の品等を取り出し整理する支援を並行して行った。12月末までにのべ40件程度のお宅や公民館等の片付けを行い、のべ151人の学生ボラを派遣した。
3)地震・豪雨に伴う思い出の資料やご遺影のクリーニング・仏壇清掃
9月水害後はまず緊急対応で、被害の大きかった諸岡地区深見や、七浦、浦上地区へ泥かきなどを行った。一方、床下の泥はかき出されても、貴重な思い出の品であるご遺影が放置されたままのお宅が多く、カビが生えたり、仏壇も泥が溜まっていたりしたため、消毒・乾燥しクリーニングを行った。
4)被災した集落のお祭りについての出張思い出サロン、および関連資料の整理
「思い出サロン」の延長で地域の祭りに参加し、思い出の写真を持参したり展示したりする出張版を開催した。皆月山王祭では旗持ちをしつつ集会所や公民館において思い出の写真を見たり、昔話に花を咲かせる機会を設けることができた。諸岡の松明の夕べでは花火の警備などを行うとともに、出張版という形で昔の話を歓談する機会を設けた。黒島天領祭では地元の方から提供いただいた写真を印刷して展示し、思い出を振り返る貴重な機会を得た。
また地域関連資料を募る中で、お宅や公民館等施設の片付けや、毎月の「思い出サロン」の際に、写真等をご持参くださった。被災でカビが生える等、損傷を受けた資料を保存し、今後も地域で使用できるよう、クリーニングなどの対応を行った。祭祀用具は、研究会にて防虫や乾燥、消毒等を行い可能な範囲での保存を行った。
事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
今後の課題は、さらなる地域関連資料の収集と「思い出サロン」の継続開催である。
1)地域関連資料のさらなる収集・保存これまで地域関連資料を収集し、また地域の方がお持ちの資料のクリーニングによる思い出の記録・保存支援を行なってきたが、地域の日常に関する資料がまだまだ収集できていない状況である。特に總持寺通商店街では、昨年秋頃から商店街の今後に向けた話し合いが行われており、禅の里交流館管理部長・宮下杏里さんからは、「門前の歴史資料を見てこれまでの門前での営みを思い出しながら、今後の總持寺通商店街について考えたい」とお話をいただいたものの、總持寺通商店街の昔の写真が不足している。さらなる資料の収集・保存のためには、地域の方がお持ちの門前町に関する資料をさらに募る必要がある。公費解体が進み、地域の景色が大きく変化する中で、これまで門前町で積み重ねられてきた日常や、地域のお祭りなどの様子がわかる資料は、今後も地域のコミュニティを維持・継続する上で重要な役割を果たすと考えられるため、思い出サロン開催と並行しながら、今後も資料収集と保存の支援を継続し、地域の復興へ貢献したい。
2)禅の里交流館・仮設集会所等での「思い出サロン」の継続 「思い出サロン」にて、地域の方から様々なお話を伺った。「前回(2007年)の地震をきっかけに、總持寺通りが観光的に美化され整備されていったが、それ以前は商店街が地域の商店街として生きていた」「昔はユイと言って、みんなで田んぼ仕事を手伝った」「ここの獅子舞は、他の何にも勝るものだった」。能登半島地震・豪雨を経験した門前町は、ともすると「被災地」としての門前町のみ、人々の記憶に刻まれかねない。しかし地域が何を大切にしてきたのかは、門前の人々がこれまで共にしてきた日常や、お祭りにこそ表れていることを、お話を伺う中で確信してきた。地域の風景が変化していく中、地域の核となる行事や、これまで続けられてきた生業を、今後も何らかの形で残していきたいと考えている方も多く、被災しながらもなんとかお祭りを続けている地域や、これまで中断されていたお祭りを再開した地域もある。「被災地」としての記憶のされ方にあらがい、コミュニティの要を残すお手伝いとして、今後も「思い出サロン」を継続していきたい。
助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://monzen.learningcrisis.net/
寄付してくれた人へのメッセージ
この度、皆様からのご寄付を賜り、能登半島地震・豪雨の被害にあった輪島市門前町にて「思い出をつなぐサロン」活動をさせていただいた。地震から1年以上、そして豪雨から半年以上が経過しているものの、門前町にはまだまだ地震と水害の跡が残っている。支援の手が回っておらず、また地震・水害と度重なる被災により地域の疲弊と人の流出が見られ、これまで続けてきた生業や、お祭りや獅子舞の継続が困難になっている。そのような地域の要であった祭りや獅子舞の再開の目処が立たず、また、仮設住宅への入居が始まり地域がバラバラになる中で、これまでに保たれてきたコミュニティが、実質的に失われつつある様子を目の当たりにしている。しかしそのような中にも、なんとか地域の要であるお祭りや獅子舞を継続し、コミュニティの維持・継続に務める地域の方を目にしては、その思いに胸を打たれつつ、地域がどのような思いで地域の記憶や祭り、獅子舞を残そうとしているのかを汲み取りながら活動を進めてきた。
門前町は、若年層の流出による過疎化と、被災によって地域が失いたくなかったものを失わざるを得ない経験を何度もしてきた地域である。本研究会は、これまで地域コミュニティの維持・継続に貢献することを目的とし、活動を行ってきた。微力ではあるが、地域の方がこの場所で生きてきたこと、文化を育んできたことを思い返す機会となり、そして、地域とともに生きてきた門前の方々とその歴史の記録・保存に少しでも貢献できるよう、引き続き支援活動を行っていきたい。この度のご寄付・ご助成に、重ねてお礼申し上げる。