仮設住宅の環境改善と孤立防止に向けたコミュニティづくり

団体名 特定非営利活動法人レスキューストックヤード

都道府県 愛知県

助成額 2,900,000円

活動開始日 45352

活動終了日 45504

助成金で行った活動の概要
助成事業実施期間である3月1日~7月31日の間に、下記の事業を遂行した。 1.収納棚の取り付けチームの募集と結成 ・期間:3月1日~7月31日 ・対象:DIYが得意なRSYボランティア、仮設入居者でチームへの関わりを希望する方など26名・のべ237名が活動。 ・内容:コーディネーターの調整のもと、主に土日の週末型で取り付け作業を実施。1世帯に対し技術系ボランティア2名、補助・ニーズ聞き取りボランティア1名を派遣し、取り付け時の安全対策の徹底と共に、家主が安心してボランティアを受け入れられる環境づくりと生活課題に関するニーズの聞き取りの機会となるよう努めた。 2.収納棚設置希望調査 ・対象:仮設住宅入居対象となっている全戸(532世帯) ・内容:2月29日の最初の仮設住宅入居をスタートに、町が開催する入居者説明会に参加し申し込み用紙を配布したり、入居後に個別訪問をしたりして、全ての世帯に漏れなく意向調査を行った。また、申し込みを希望する世帯に対しては、コーディネーターが事前訪問を行い、棚の取り付け数や設置日時、設置場所などの希望を聞き取り、ボランティアがスムーズに活動できるよう世帯ごとに指示書とりまとめた。 3.棚の取り付けと交流会の開催 ・対象:棚の取り付けを希望する世帯 ・内容:毎週土日を主な活動日とし、ボランティアは2~3チームに分かれ、指示書に基づき各5~6件の取り付けを行った。補助・ニーズ聞き取りボランティアが家主と話す中で、仮設住宅の物理的環境の不具合(例:段差、手すりの位置、風呂が深すぎて入れない、玄関網戸の付け替え、キッチン棚の開き戸の付け替え、時計等をかけるフックの取り付け、屋外の共用通路に雨が溜まり滑りやすい等)に関する困りごとが明るみになり、町や社協に報告すると共に、町の承諾のもと可能な限り改善に向けた簡易修繕を行った。また、訪問時には、集会所等で実施される催し物などを案内し、声かけや移動時の送迎などを行った。 4.収納棚設置後のフォローアップヒアリング ・対象:棚の取り付けを行った世帯 ・内容:取り付け後の不具合や、その他暮らしに関するお困りごとなどについて相談があった場合はフォローアップを行った。内容を取りまとめて簡易補修や、町、社協等の関係機関への相談・対応につなげた。

活動日数 104日

支援対象者実人数 262人

支援対象者延べ人数 285人

参加ボランティア実人数 26人

参加ボランティア延べ人数 237人

本助成金による活動の成果
・2007年能登半島地震をはじめ、過去の災害では仮設住宅の物理的環境の課題による暮らしにくさ、孤立・孤独による引きこもり、アルコール依存、生活不活発など心身の健康被害、孤独死など数々の問題が指摘されてきた。そのため、町・社協らと予測される課題を共有し、入居時の生活サポートや収納スペースの拡張、人の繋がりづくりの必要性などについて共通認識を持つことができた。これが下地となり、今回の事業は両関係機関が好意的に受け止めて下さり、町主催の入居説明会への参加や簡易修繕に関する県との調整、ボランティア募集など様々な場面で連携・協力を得ることができた。結果として事業全般について被災者からのクレームや作業時の事故、混乱もなく、スムーズな対応に繋がった。 ・町内532世帯のうち、約半数が棚の取り付けを希望され対応することができた。また、コーディネーターが指示書を作成し、普段からDIYが得意なボランティアが継続的に関わったことで、安全面への配慮と、家人の困りごとの相談や棚以外の簡易修繕の要望にも最大限に答えることができた。 ・部材は今回の地震で大きな被害を受けた穴水町内の木工所に発注し、ぬくもりある県内産の木材を取り寄せると共に、木工所の再建支援の一助となった。 ・技術ボランティアと補助・ニーズ聞き取りボランティアの3名を派遣することにより、家人の心身の健康状態や暮らしぶりがよく見えるようになり、行政や専門家による介入、生活支援相談員による見守り等の必要性が高い方については、町主催の「災害ケース検討会議」に上げるなど、課題の早期発見や連続性のある支援のきっかけにもなっている。 ・棚の取り付けを通じて訪問の機会が増えることで、ボランティアへの信頼の醸成や新しい仮設コミュニティでの不安の解消、その都度発生する困りごとや公的支援制度、集会所等での催し物の情報提供等も併せて行うことができ、幅の広い支援に繋がった。 ・申し込みを通じて、お名前、住所、電話番号、個別の生活課題など、支援が必要な個人が特定できる情報をボランティア再度でも把握することができ、以降の継続支援にも役立つことが期待できる。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
・今回の活動を通じて、仮設住宅の物理的環境の課題は、収納スペースの拡張だけでなく多岐にわたることが明らかになった。これらの情報は、国や行政機関、社協、NPOらと共有し、次の災害でも繰り返し発生する可能性が高いものであると認識の上、改善や早期対応に向けた検討と具体的な改善策の提案が必要である。 ・家人の生活スタイルや身長、年齢など、快適な生活空間を作るために必要な棚の形状や配置は個別に違うため、できるだけ選択肢を増やし対応できるよう部材の選定などを見直す必要がある。 ・当初作業には被災者自身にも関わって頂く予定であったが、新たな生活に慣れることが精いっぱいであった方が多く、これらの体制を十分つくることができなかった。(ご自分で設置できる方については、部材のみの提供も受け付けた) ・1回の取り付けに伴い、1世帯当たりに関わる作業量(①事前打合せ日の調整②下見③指示書の作成④部材の用意⑤当日取り付けの指示)が多いため、コーディネーターの業務日数が予定よりも増加した。しかしこれら丁寧な活動が、被災者との信頼関係の構築と事故防止、きめの細かいニーズ対応につながっていたと考えると適切な対応であったと認識される。そのため、今後は人員体制の見直しと共に、コーディネーターや技術ボランティア、ニーズの聞き取りなどに関わるボランティア研修会の実施し、担い手の育成にも尽力していきたい。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://rsy-nagoya.com/rsy/



寄付してくれた人へのメッセージ
この度は皆様のご寄付により、応急仮設住宅で新生活を始められる被災者の方々の不安の解消や生活環境の改善に直接つながる支援を行うことができました。応急仮設住宅での生活はしばらく続く見込みですが、この事業で生まれた被災者の方々との信頼関係を下地に、孤立・孤独を防ぎ、少しでも快適な暮らしを営むことができるよう、サポートを続けていきたいと思います。ご寄付頂いた皆様に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。