アートによる被災した子どもたちの(言葉にならない)表現をひきだすプロジェクト

団体名 NPOひいなアクション

都道府県 石川県

助成額 3,000,000円

活動開始日 2024/3/1

活動終了日 2024/12/31

助成金で行った活動の概要
 被災した子どもたちの心のケアと創造的な学びを支援するために、本格的な画材を提供するプロジェクトを立ち上げました。発災直後はインフラ整備が優先されていましたが、心のケアにつながるアートを通じて、能登の復興を支援したいという思いから計画しました。支援物資としては、水彩絵具と水彩画用スケッチブックを選び、繊細な色が表現できる絵具を提供しました。アーティストら協力者との話し合いの結果、画材を届けるだけでなく、アーティストと一緒に絵を描くワークショップとして実施することにしました。当初は絵を描くことが好きな小学生から高校生を対象としていましたが、保護者や関係者からの要望により、大人も参加可能としました。テーマは「自然を描く」に絞りました。何度も被災地を訪れる中で、いつもと変わらない自然が芽吹いている能登の風景に感銘を受け、この自然から復興の力を得られるのではないかという気づきがあったからです。  また、本プロジェクトを実施する中で、(株)がゆう堂、(株)名村大成堂、アトリエぱお(広島市)の皆さんが画材を提供してくださり、パステル、アクリル絵の具、筆、画用紙など、様々な画材や道具が集まりました。これらの画材も現地で活動する団体に届け、活用されています。

活動日数 235日

支援対象者実人数 100人

支援対象者延べ人数 100人

参加ボランティア実人数 20人

参加ボランティア延べ人数 20人

本助成金による活動の成果
予定していた最初のワークショップが台風で、そしてさらに水害も起こり、追い打ちをかけるような自然の脅威に私たちもこのプロジェクトを継続できるのか不安がありました。けれども、事前に打ち合わせをしていたところから、実施を求めていただく声があがり、最終的に珠洲と輪島、そして金沢でワークショップを開催することができました。被災地の状況をみながら、ワークショップを構成しなおすなど、実施までのプロセスは困難ではありましたが、参加者の方々には、たいへん喜んでいただくことができました。ワークショップでは、アーティストと自然の花や草、虫たちを描くことにテーマを絞りました。身近なものをモチーフに選んだことで、絵を描きなれていない参加者の方も楽しんで描いていただけたようで、また描きたいと言ってもらうことができました。絵具とスケッチブックという画材をお渡しすることができたことによって、ワークショップ後も絵を描く楽しみを継続してもらえることが本事業の成果です。  また本プロジェクトを実施する中で、たいへん多くの画材の寄付をいただくことができました。それらは、被災地で活動するNPO法人ガクソ―(珠洲)と、NPO法人紡ぎ組(輪島)に届けました。珠洲では活動に参加している子どもたちが画材を使い、紡ぎ組では遠方からの学生ボランティアに活用してもらうこととなりました。日常的な楽しみを見出すことにとどまらず、本プロジェクトを介して、アートを創造することによって復興への力がつながっていくことを感じました。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
 美大進学を希望している学生さんが参加し美大出身のアーティストと話せる機会を喜んでくれたり、時間がぽっかりと空いてしまった大人の方々が、これからも絵を描いてみたいと言ってくださったり、ポジティブな楽しい雰囲気で終えることができました。「絵を描く」というアートの楽しさが復興への大きな力につながることを実感できたのが大きな成果です。現地で活動し、被災地の状況が地域地域で異なっていることも見えてきました。住んでいる人の年齢構成も異なります。その上で、自然と向き合い、絵を描くというシンプルなプログラムは、柔軟に対応できる参加しやすいアートプログラムだと感じました。である水害等のために、自然観察まで実施できなかったワークショップもありました。試行錯誤ではありましたが、一緒に楽しむことが、被災地と一緒に復興していくことにつながると信じることができました。これからも続けていく予定です。  今回は、金沢在住の協力者を中心に活動しましたが、県外のアーティストや知人たちから、参加したい、能登を応援したいという声が多く寄せられました。楽しい時間を生み出す支援活動は多くの人が協力しやすいと感じています。被災地の現状を共有し、何ができるか全国の方々に考え続けていただくためにも、県外から支援者の方にも参加してもらい、被災地で一緒に時間を過ごし、能登の将来について語り合えるような場を作っていく予定です。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://www.art-archive.net/
@hiinaaction



寄付してくれた人へのメッセージ
今回、プロが使用する本格的な水彩絵の具とスケッチブックを届け、アーティストと一緒に被災地で絵を描くプロジェクトを実施いたしました。アートがもたらす楽しさ、達成感、没入感など、今の被災地にとって大切なことであったと感じました。このような特別なプログラムを、助成金によって作ることができましたことを心より感謝いたします。そして、さらに多くの画材を寄付していただくこともでき、支援の和がさらに広がっていったことも、この助成金によってプロジェクトとして実施できたからだと感じています。このプロジェクトはさらに発展させ、能登の復興に向けて一緒に歩んでいきたいと考えています。5年、10年という長いスパンで活動していく予定ですので、今後とも見守っていただけましたら幸いです。本当にありがとうございました。