都道府県 神奈川県
助成額 2,500,000円
活動開始日 2024/6/1
活動終了日 2024/11/30
助成金で行った活動の概要
【A相談支援・情報支援・ニーズ調査活動】
①対象者・・・被災者・避難者(広域避難含む)・支援者・支援団体・被災者、避難者の血縁者・石川県出身者(首都圏在住)
②地域・・・ 奥能登4市町及び七尾市・石川県全域・富山県・首都圏
③方法・・・*アウトリーチ(訪問)による対面相談・情報支援 *イベント・お茶会等においてのセラピープログラムの提供を通してのコミュニティ支援・傾聴と相談援助 *技術系・作業系の現場に於いての傾聴とそれにつながる相談援助 *電話・メール・SNS等による相談支援
④その他(人材育成活動)・・・自らも被災しながら支援を行う当事者(ピアサポーター)・支援初心者・ボランティア希望者に対して、対面・zoom等で講習・勉強会を行い、活動に対するピア的なスーパービジョン(仲間目線によるアドバイス)を行った。
【Bコーディネート活動】
①連携調整・・・地元行政・社協・支援団体・住民組織等が対象。
②建築士等の専門家・技術系・専門ボランティアの現場へのコーディネート
③ソーシャルケースワーク・・・訪問活動で得たニーズに対して資源や人材をつなぎ対応
④後方支援者間の連携調整(例・石川県人会メンバーと後方支援団体など)
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【支援体制】
訪問活動等の現場は1~3チームで活動(人数は2~6名)。状況に応じてボランティアに応援を要請。
相談支援を行うカウンセラーは、基本的に現地1名・後方1名
【その他】
訪問活動においては、「支え合いセンター」などが訪問活動をしていない地域を選んで行い、可能な限り社協・ 支援団体などと情報を共有した。
活動日数 132日
支援対象者実人数 102人
支援対象者延べ人数 258人
参加ボランティア実人数 36人
参加ボランティア延べ人数 125人
本助成金による活動の成果
【全体の総括】
*特に、山間部や小集落に於いての訪問活動に於いては「赤い羽根」の支援のもと活動していることを明示することで、高齢の被災者から理解と協力が得られ活動がしやすくなった。
*活動を進めるうち、後方支援者・企業等より募金が集まり、7月・8月の活動経費の大部分をまかなうことができた。以下に支援項目ごとの成果を記す。
①相談支援・・・「心の問題」としては、「うつ」「燃え尽き」「関係性」「精神疾患」等。詳細は下記活動報告書に記載。「その他の相談」としては住宅・支援制度に関する相談が圧倒的に多く、こちらに関しては専門家のつなぎを含むケースワーク等で対応。延べ件数243件
②訪問・アウトリーチ活動・・・孤立傾向の在宅被災者を主に訪問し、個別のニーズに対するきめ細やかな支援を行った(③のBに一例を記載)。また、その際に配布した情報資料の「瓦版」は地元住民が発行するミニコミ誌の資料(輪島市・能登町)や、仮設住宅の行政による説明会(七尾市)その後の自治会形成など(七尾市他)にも活用された。在宅被災者への訪問件数は延べ126回。
③コーディネート活動
【A:近隣の市民ボランティア等】・・・奥能登への支援を希望する、中能登・金沢・南加賀エリアに在住する多くの市民ボランティア・ボランティア希望者と繋がりを作ることができた。今後の可能性が期待される。
【B:技術系・専門ボランティア】・・・公費解体等の遅れによる技術系の活動ニーズの高まりを受けて、技術系のボランティアや建築系の専門家をコーディネートする活動を行った。対象は、専門工具を使用する、社協ボラセンが介入できない危険作業を伴う案件、及び家屋修繕に関する専門相談案件である。また関連して、損壊判定に納得できない方のためには、(自己予算・自主事業として)柱・壁・床・外構部の測量作業(傾き・沈み測定)と内閣府判定基準の説明、家の強度に不安を抱える方には、基礎や外構部へのコンクリート打設などによる応急補強工事を行った。
【C:炊き出し・イベント・コミュニティ支援】・・・協働企画の際に心掛けたことは「住民主体性の担保」である。あくまでも我々は「脇役」に徹することで、被災住民間の「自助・共助」のレベルアップが目的との意識を共有し活動した。
事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
【総合的な課題】①公費解体の大幅な遅れ、②マンパワー不足による復旧活動の遅れ、③9月の大雨による多重被災・・・に起因した「災害サイクルの混乱」があげられる。
これにより、本来あるべき「復旧期・復興期」に、心理的な「幻滅期」が、オーバーラップし、物理的援助・福祉的援助双方の活動を複雑化・長期化させている。
また、上記③の地域では、「茫然自失期」が続いたまま、冬を迎える被災者の方が12月になっても依然多くおられる。
【団体活動としての課題】
①最近では、SNS等で活動報告を日報のように上げるのが当たり前になっているが、特に心理的な相談支援においては内容がデリケートなものが多く、「見えやすい・分かりやすい」活動報告をリアルタイムで提示することが困難である。コーディネート活動に関しても、団体や地域の内部事情や裏事情と関係するものが含まれることが多く同様の側面がある。
②「対人援助」・「相談援助」を基本の活動とするため、「一般系・作業系」以外を希望するボランティア希望者の中から選別・育成しながらの活動展開となり、体制固めに時間を要した。
・・・現在では、新たな拠点(輪島市河井町)も整備され、ボランティアもある程度固定化し、「準メンバー」的な位置づけになっている。
【今後の取り組み】
現地体制も固まり、同様の事業継続が基本であるが、上記「活動成果」③のAで記載した、【石川県内・近隣県在住の市民ボランティア】の育成と組織作りのサポートを通して「地元復興力の底上げ」は実現可能であると、今回の活動を通じて確信した。今後は被災者で構成される自助団体や、支援に積極的なピアサポーターとの連携を構築し、長期視点での「地域共助で行う災害ケースマネジメント」を目標にする。
助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://ryokusuinomori.wixsite.com/mysite
寄付してくれた人へのメッセージ
寄付者の皆様へ。
能登半島への支援にご協力くださり誠にありがとうございます。
2024年12月現在、緑水の森支援活動は*輪島市河井町拠点をベースとしての在宅被災者への訪問活動と越冬支援*内灘町液状化地域にて専門家(弁護士)相談会の開催*珠洲市保育園のクリスマス会への支援等、継続活動を行っております。
報道等でご存じかと思われますが、特に豪雨災害後の多重被災地域における被害は甚大で、
人々の「心の復興」には長い時間がかかるでしょう。
当団体の本来の活動は「心の問題」に対する相談支援で、とても地味な分野です。
大きな災害の後の「心の問題」は多岐に渡り、人々の分断や対立につながることも多く、
この「心の災害」は、来るべき復興の大きな妨げになります。
「心の災害」を「防止」・「軽減」する活動・・・私たちは「心の防災」と呼んでいますが、こんな分野の災害支援も存在することをご承知おきいただけたら幸いです。
これからも能登の人たちと共に活動を継続いたします。
今後とも末長い応援をよろしくお願いいたします。