家族のための健康テーマパーク 中高生も立ち寄りやすい  「ふぁみりーあったか保健室」

団体名 One Nurse

都道府県 愛知県

助成額 1,608,095円

活動開始日 2021/1/16

活動終了日 2021/12/19

助成金で行った活動の概要
昨年より、新型コロナウイルス感染拡大による自粛生活が断続的に続いています。令和2年は自殺者数が前年より増えました。その内訳を見ると、19歳以下の子ども、性別では女性が多くなっています。ということは、中学生高校生の女の子の自殺が急増しているということです。専門家によるとその原因は虐待や性的被害が原因なのではないかと言われています。自殺の4~6割はうつ病が原因だと言われています。生きることが辛いと感じ自死を考えてしまう状況は、うつ病を発症しているか、うつ病の未病状態であると推測されます。うつ病は症状を自覚できにくい疾患です。なので、自分がメンタル不調に陥っていることに気づけないのです。また、うつ病は脳の機能障害なので「自分が自死を考えてしまうのは、うつ病の症状かもしれない」というような客観的な思考ができにくくなっていることも問題を解決しにくくしています。このような状況にある人には、医療的な知識を適切に用いた対応が必要です。私たち市民活動団体One Nurse は看護師の団体です。看護師は病んだ人だけではなく健康な方も対象にケアでき、子供からお年寄り全ての年代を対象にできる知識技術能力があります。その能力を、生きること辛いと感じている人々の支えとして役立てたいと思いました。有志で商業施設内で「健康ナースステーション」という保健室的な活動を行っていたことも役立ちます。保健室活動によって、地域住民の健康の底上げにしたい、ストレスを抱えている人に気づいてもらいセルフケア方法を伝えたい。そんな思いから、2020年から出張型の保健室活動を行いました。

活動日数 20

支援対象者実人数 524

支援対象者延べ人数 524

参加ボランティア実人数 3

参加ボランティア延べ人数 3

本助成金による活動の成果
「ストレスや血圧測定してみませんか?」と声をかけると、道行く人が立ち止まってくれます。結果をお話ししながら「気になることがあれば看護師が伺います」と伝えると、気軽に相談してもらえました。全体的に、10~50歳までの方はストレスが高く、死亡原因の第1位・2位が自殺の年代と合致しており、測定した方にはアドバイスを十分行えました。関東地区では、東京都荒川区まる福ホームクリニックをメインに開催し、埼玉でのイベントにも主催者から依頼を受けて活動できました。一見、健康そうな男性が高血圧を放置していたり、仕事のことで悩んでいる女性の相談に乗りました。同業の看護師も保健室を訪れ、ストレスを測定し自身の生活ぶりを振り返る機会にしてもらいました。東海地区では、2~4月は名古屋市の金山総合駅の屋外でテントを張り開催しました。自粛生活が続き、心配で病院にも気軽に行けず、医療に関して孤立化している年配者が測定や相談に多く並びました。6月以降、社会福祉法人やNPOからの協力依頼が増えました。特にひとり親家庭を支援する団体からは2度依頼を受けました。ひとり親家庭の親御さんは、ストレス測定に興味を持つ方が多く「自分が倒れたら子どもが困るから測定してほしい」と言っておられ、健康が大事なことは理解しているが、なかなか生活改善できず仕事や家事育児に忙殺されている姿が印象的でした。当然ストレスが高い方が多く、都度、アドバイスを行いました。保健室活動は、病院に行かずとも健康について生活改善の方法を知る機会になり、地域の中で家族が気軽に立ち寄れる場、特に頼れる人の存在が少ない方々の健康の底上げにつながったと感じます。特に、以下の効果があったと感じます。 1.測定を促すと予定以上に多くの方が参加してくださった。 2.測定結果に沿ったアドバイスを行い健康の維持向上に役立ててもらえました。 3.ストレス状態を数値で見える化し個別相談に、そしてメンタルヘルス不調予防に繋げられました。 4.新型コロナウイルス感染予防についての啓蒙。 5.病院以外で看護師と接することが、看護師になりたいと思う子供達の希望になった。ひとり親家庭のイベントでは、「看護師さんになるにはどうしたらよいか?」という質問が多くありました。子どもたちが資格取得を目指すことは貧困の連鎖を断ち切ることにもつながります。長期的に考えて大きな成果だったと考えます。

事業を実施する中で見えてきた課題と今後の取り組み
1.開催場所について関東では定期開催させていただける場所が決まっていましたが、東海地区では決まらず、都度ご依頼を受ける形になりました。感染対策のために予定していた保健室も7回ほどが中止になりました。そんな中、複数のNPO法人や社会福祉法人から、「この時期だからこそ十分対策を取って開催したい」と言っていただけたことは、コロナ禍で地域や人との交流を断たれている人を救いたいという共通する思いを感じました。とても感謝しています。場所に関しては、企業やNPOが行うイベントで定期的に開催できるよう、今後も思いを共有できる団体様と情報交換していきたいと思います。 2.若者や女性との接点人通りの多い場所で保健室を開催し、若者や女性に活用してもらいたいと思っていましたが、結果的には高齢者の割合が多くなりました。ひとり親家庭を支援している団体社会福祉法人愛知母子寡婦福祉連合会様のご依頼で、イベントで保健室を開催させていただいたときは、子育て世代の女性がほとんどでしたので、依頼をいただく団体によるものと考えました。また、春日井市のNPO法人あいちかすがいっこ様からは、生理の貧困問題解決のための「女性のつながりサポート事業」で保健室のご依頼を受けることにもなり、後半、趣旨に等しい活動が展開できたと思います。来年度も継続した連携を維持したいと思っています。 3.新たな課題貧困家庭というとひとり親家庭が思い浮かびます。貧困による過重労働や将来への不安によるストレスなどにより健康への影響も侮れません。現在の健康問題を解決することも大事ですが、貧困生活を断ち切ることを長期的に考える必要もあります。看護師になりたいと思う子どもたちに、進路の相談に乗れたことは、こうした問題を解決することにもつながったのではないかと思います。また、保健室活動を看護師になりたい子どもたちのキャリア形成の機会に活用したいと思います。 4.生活改善アドバイスや居場所作り治療を医師と共に支援するのも看護師ですが、生活に目を向けて健康な人がより健康であるように働きかけることができるのは看護師だと考えます。全国に70人以上の会員がいますが、多くの看護師が予防に携わりたいと考えています。今後も、保健室活動を複数の場所で開催したいと思います。

助成決定した活動を報告したSNSやホームページのURL
https://www.facebook.com/groups/969410313866089/search/?q=%E8%B5%A4%E3%81%84%E7%BE%BD%E6%A0%B9
https://www.facebook.com/groups/969410313866089/posts/1165166857623766/



寄付してくれた人へのメッセージ
この度は、弊団体の活動趣旨、ふぁみりーあったか保健室の目的をご理解いただき、誠にありがとうございました。弊団体は2020年10月設立しました。社会課題のための活動は日が浅く、それでも、看護師として社会に対しできることがあるのではないかと、仲間と試行錯誤しながら保健室活動を計画しました。このような団体が、皆様からのご寄付を活用させていただけたこと、心より感謝いたします。コロナ感染拡大による不自由さはまだまだ続くと思われますが、生活上の困難や孤独を感じておられる方々と接点を持ち、医療従事者としての知識や経験を支援に活かしていきたいと思っております。この1年の経験をさらに次の課題解決に役立てます。本当にありがとうございました。